日記:2000年09月

最終更新:2001年11月14日 15:40



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安形氏にめいる
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09月30日
(土曜日)

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 [アウトドア] 長野県川上村といえば,高原野菜のメッカ.金峰山(こちらではキンポウサンと呼ぶ)や八ヶ岳をバックにした,緩斜面の緑の絨毯は本当に美しい.そしてまた,ここは千曲川源流の地でもある.花崗岩の美しい渓流を流れ落ちる恐ろしく冷たい青く澄んだ水が目を楽しませてくれる.

  更にもう一つ,重要な意義をこの村はもつ.夏の岩場として日本最大の規模を誇る「小川山」というロッククライミングのエリアがこの村にあるのだ.実はややこしいことにこのエリアは奥秩父の隅にひっそりと佇む通好みの名峰小川山(2418m)とはあまり関係ない場所にあり,実際には金峰山荘あるいは「廻り目平キャンプ場」周辺にボコボコ立っている花崗岩のタワーやフェースを総称して小川山と呼んでいる.

  さて,私がクライミングを始めた頃はまだ小川山にせよどこにせよ,岩場に来る人の数は少なく,環境負荷がそれほど高くなかったのだが,近年クライミングがポピュラーになるにつれて,環境負荷およびマナーの面から,地元の人との摩擦が各地でちらほら起きるようになってきた.たとえば中部地方随一の質とスケールを誇る愛知県の鳳来湖周辺の岩場群では,地元の人々とのコミュニケーション不足から,立ち入り禁止問題が生じ,現在地元の人とクライマー代表が話し合い中である(→参考資料「鳳来湖を愛するクライマーの会」).

  さて,日本を代表するこの小川山の岩場はどうだろうか?実はそれほどゴミで汚れてはいない.ただ一つ問題なことがある.トイレ問題,山用語でいうとキジである. (ここから先は食事中の人は読まないほうがいいかもしれない). ちょっと有名な岩場の近くの人目につかないところに行ってみると,あるはあるは水に溶けない紙のなれの果てが!

  ただし「物体」の方はそれほど目立たない.何かの昆虫が持っていってしまうのか,速やかに分解してしまうのか…しかしこの紙は何とかしないと異常に美観を損ねる.なんといっても地主が絶対に黙っていない. 小川山では昨年死亡事故があってクライミング禁止になりかけた歴史がある.そこでこの紙の山が問題になったらますます危ない. また,標高の高いところでは土壌自体が発達しておらず,ブツを埋めることも困難で,今後そういう場所のエリアでルートが作られたとき,現在以上に物質の分解・除去が進まない可能性は十分ある.

  そこでクライマーは,こういう危機を逆手にとって,地元との絆を深めようとした.それが,今日行われた「小川山清掃登山」だ.多くの(というかほとんどの)クライマーは,岩場の美化にはとても気を使っているのだが,それは必ずしも地元の人に伝わっているか心もとない.クライマーが自然を愛する者の集まりであることを地元にアピールし,そして「遊ばせていただいている」立場の者たちとして岩場周辺のみならずその周りの一般登山道等の清掃をクライマーが行い,地元に貢献し,あわせて地元との交流を深めよう,というイベントが行われたのだ(→参考資料「小川山清掃登山のおしらせ.」)

  ある意味で日本のクライミング界の将来を背負う大事なイベント,なのである(思えば,実行するのが遅すぎたかもしれないのだが).この日私はあまり早くいけなかったが,早朝に180人ものクライマーがあつまり,それぞれビニル袋を片手に,いつもより虎視眈々とゴミを広い歩き,あるいはキジ処理にあたった. 

  夜の宴会では,久々の再開となった友人(といっても相当年上)が,喜びの余り抱きついてきた. 念のため書くが,相手は男性である.とほほのほ

09月29日
(金曜日)

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 [研究][電子・コンピュータ] 昨日のプレゼント(他にも,うれしいメール等たくさんあった)を喜びすぎて,で結局酒飲み泊まり状態.昨晩はグラスを割ったりして大変だった.朝方頭痛に耐えて動かしたモデルは,なんだか計算が変.どんどん土が乾いてゆくのだ.???と思ったら,単純な変数記述ミスにより,なんと雨が一滴も降っていない状態になっていた.

  ちなみに昨日は,雨が6倍降ってしまう(6時間の降水量を,1時間降水量と勘違いしていた)という大バグを,宴会の最中に気づくというどらまちっくな日だった.

 [研究] 某地方国立大学からの求人の話,予想外に面白そうだった. 速攻で断る予定だったのに,なぜか一生懸命話を聞いてしまった.ただ,今やっている仕事もそう簡単に代わりの人は見つからないだろう. というわけで悩み事スタックに,また一つpushが入った.これらをpopできるのは,いつの日か?

 [研究][生活] おやつの時間の頃,火災警報が出た.いままで全く気づかなかったようなところにスピーカーがあったのだが,俄然その存在を主張し始めたのだ.ありがたいのは,自動的に「地下1階で火災感知器が作動しました」と場所を言ってくれる点だ. 係員が確認中とのアナウンスも行われた.

  研究室自体はかなり気密性が高いが,窓を開けてみると,たしかに煙の匂い. 直接の被害が来なくても,電源周りをやられて停電なんてなったら,最悪の場合(←たまたまUPSが壊れていたといったマーフィの法則的状態)サーバのHDDが飛ぶ.大事なデータとコードをすべてPCにコピーし,さらにMOに吸い上げ,靴まで履いて次の放送を待った.

  結局それは実験中にでた煙であり火災ではなかった(というアナウンスが入った).思いがけず,火災報知器がどう鳴るか勉強してしまったわけである. 次は避難訓練かな?普段は通れない非常階段をぜひ駆け下って見たいのだが… それに,ロープを持ってきて吹き抜けを懸垂下降という手もあるな(笑).

09月28日
(木曜日)

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 [森と樹][天気と季節] 生産研構内には大きなイチョウの木が何本かある.♀の木も多い.今朝は見事な秋晴れの下,構内の道の真中にたった一つだけ銀杏が落ちていた.もうそういう季節なのだな…

  いきなりであるが,むしょうに茶碗蒸しを食べたくなってしまった(笑). ちょっと風邪気味の,メランコリックな秋の日.

 [電子・コンピュータ] 感傷に浸っている暇もなく,今日はまたP氏のプログラムに大バグを見つけてしまった.データ作り直しか?まあしばらくは運用でごまかすとするかな.それとも今日夕方には研究室のパーティがあるのでそのバックグラウンドで計算しなおすかな…

 [研究][生活] 研究に関してもそれ以外の分野からも,なぜか講演依頼や助力要請が殺到.いったい何が起こったのだろう?陰謀とか権謀術数が大好きな私は,こういう場合には何者かの邪悪な意志というものを想像したくなってくる(笑). 誰だい,僕を早死にさせようとしているのは?

 [ひと] 素敵なプレゼントが2,3.まずは研究室を去る人の送別パーティで,先月末に行われた博士論文審査会で見事審査をパスした人が,「応援団の来訪には本当に勇気付けられて,いい発表ができた」と言ってくれたこと.そういえば,朝早いのに,本郷に近い人ばかりではないのに,妙に同僚ギャラリーの多い審査会だった.たぶん審査の先生方よりも多かったはずだ. この研究室は,たしかに研究自体は過酷なほど高いレベルを要求するけれど,研究生活は誰にとっても充実したものとなる.いい思い出を胸に,新生活に向かってくれることを嬉しく思う.

 [食べる・飲む] それから,赤坂の某洋菓子店のCC(チーズケーキ).こってりした舌触りの,重厚なケーキである.並んでまで買ってきてくれたらしい.感謝感激雨あられ.

  で,それをもってきてくれたのは,お世話になっている他研究室の人と,なんと私の従姉妹.従姉妹は工学部の某所で秘書をしていて,聞くと二人は何年も前から知り合いだったらしい.奇縁である. 会ったのはたぶん二年ぶりかな.昨年結婚したらしいが,そのためかますますきれいになっていた.

09月27日
(水曜日)

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 [研究] 月曜日に判明したのだが,12月に北海道で開かれるGAME集会に拉致される予定らしい.立場上これはサボるわけには行くまい.というわけで,楽しみにしていた先約は泣く泣くキャンセル.本当に,数ヶ月先の見通しがつかない仕事なのである.でも本来は,先約がそれほど多くない独り者はそういう仕事でも気楽であるはずなのだが,マーフィーの法則どおり,大事な用件・楽しみにしている用事は(他のヒマな日がいくらでもあるのに)なぜか日程が重なって来てしまうのだ.

 [アウトドア] でも,いきなりこの週末に予定が入るということはちょっと勘弁.週末には日本のクライミング界の将来を左右する重要なイベントがあるのだ.

 [文献] 夜は某集会の後研究室で泊まる予定だったが,なぜか帰ってしまい,そしてさらになぜか名著「科学少年01くん」(永野のりこ,アスキー刊)を通読してしまった. かつて「将来なりたい職業は」というアンケートに堂々とマッドサイエンティストと答えたことがある私は,この本の文学的な理系さ(ヘンな表現だが,そうとしか言い様がないのだ)に惹きつけられる.

09月26日
(火曜日)

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 [天気と季節] 今日9/26といえば,伊勢湾台風の日(1959)である.それから,洞爺丸台風(1954), 狩野川台風(1958)もそうだ.台風の大当たりデーなのである.慟哭の歴史が,我々水文研究者の胸を打つ. しかし幸いなことに,今年の今日はさわやかな晴れ.美しい青空に,水文学の将来を想った.

 [研究] 農学部に用事があったので,ついでに新しい建物「弥生講堂」を見てきた.農学部の門のすぐそばにあったそれは,木材をうまくいかした建物で,さすが農学系研究科という代物だった.さて,門のそばには農学系研究科の紹介をしている小さな建物があって,なかなか見事な展示だった.これは生産研でも見習いたいものだと思った.

  さて,修士論文中間審査会である.本来部外者が入れるかどうか分からないのだが,同僚の発表のときに入ってしまった.結論から言うと,同僚(二名)のいずれもが,見事なプレゼンを見せてくれた.とにかくこの一週間の彼らは神がかり的な成長ぶりであった.まあ潜在能力をいかんなく発揮した,ということでもあるが….めったに人を褒めない安形であるが,今日の彼らには賛辞を惜しまない.  深く深く深〜く満足して,私は本郷を去った.

 [ひと] 本郷に行くたびに,昔よく通った弥生美術館に行こうとするのだが,今日も果たせなかった.私は高畠華宵(たかばたけかしょう.1888-1966)の絵が大好きなのである.華宵の絵は,どの時代の誰の描く絵にも似ていない気がする.つまり華宵一代で見事に開花し,はかなく散っていった美の結晶というわけだ.しかしその美人画にあるのはただの美しさだけではなく,何かを秘めた顔だ(こう見えても安形は結構顔にはうるさいのだ).ちなみに目に特徴のある美人画といえば,弥生美術館は竹久夢二美術館と併設なのだが,夢二の絵はそれほど好みではない. さて,華宵の絵に出てくる女性の数々は,どこか男の子っぽい,不思議な雰囲気.生涯独身で,いつも他人には笑顔で接しながらもその実は泣き虫だったという華宵にとっては,絵の中の女性が唯一の恋人だったのだろうか.孤独の中で,まだ見ぬ理想の人を平面の世界に追い求めていたのだろうか. そもそも彼は,幸せだったのだろうか,それとも薄幸の天才だったのだろうか.

  院生時代にはすっかり夢中になってしまった華宵の絵だが,結局のところ絵は絵に過ぎない.しかし現実世界に画中の女性のような人がいないわけではないところが嬉しい.もちろん,人間の顔と性格の間には何の関係もないことは重々承知ではあるが,それでも,「生きてて良かった」と思うのは,思いがけずこういう人に会ったときである(笑).

 [生活] 愛媛にある高畠華宵大正ロマン館(ここも前から行きたいと思っているところ)の最近の特集展示は,なんと「貧乏物語」. 自分のことを言われているようで,心が痛むぞ(笑)

 [研究][ひと] お世話になっている他研究室の人が見事博士に内定したのでそのお祝い飲み会.「博士になる過程で一番辛かった時期は?」という質問が出た.私だったらどう答えるだろう?と考えてしまった.私の場合,博士課程5年+研究生2年かかって(つまり通常の倍以上だ)博士号を取ったのだが,つらいと思う時期は皆無だったのである.ただ,自らが博士に値する人間であるという自覚を持つまで待っていればよかったのだ. あえて辛かったことといえば,周囲の人間にそれを待っていてもらっていたことかな.私自身は自分に直接関する辛さはまるで感じなかったんだけど,やっぱり他の人が心を痛めているのを知るのは苦しかったものだ.

 [生活] 遅くまで皆で飲んでいた.帰りの井の頭線の中で,やっぱり帰るのヤーメタというわけで研究室に泊まることにした.もはや家はあまり意味のある存在ではなくなりつつある.ならばもう少し家賃が安いところに引っ越そうかな…

09月25日
(月曜日)

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 [ひと] うれしいことが2,3.それでもうルンルンである.こういう単純な性格に産んで育ててくれた両親に感謝だ. 実は全然解決していない問題がまだ山積みで,最近始まったばかりの苦難すらあるのだが,めげずに対抗対抗という気になってくる.どんなに苦しくても,どんなに心が傷んでいても,いつもニコニコ,マイペース.

 [研究] 嬉しいことといえば,今日あった修士論文中間審査練習会で,発表者が先週に比べて飛躍的にプレゼンを改善できていたことも,確かに嬉しい嬉しい.こういうふうに周囲の同僚が確実に力を伸ばしている姿を見るのは,心強く,励みになり,そしてなによりも嬉しいものである.

 [数学パズル] 9/1に出した問題,現在正解者1名のみ. 投票は結構多いんだけど,何か全然別の想像をする人が多い.どんな想像なのかは,青少年の健全な育成を妨げるので秘密.何を考えたんだか,非難口調のメールも来た.そりゃ誤解したほうが悪いんだってば(笑).

09月24日
(日曜日)

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 [研究][生活] 仙台から独りで帰ってきて,研究室直行.で,当然のようにお泊まり.途中は激しい雨だったが,なぜか安形が外に出たときだけはやんでいた. 朝4時ころ,研究室の流し(キッチン)の近くでゴキブリの子供が元気に走り回っているのを発見.「せっかくこの広い世界でめぐり合えたのに,もうお別れしなければならないとは残念無念.成仏成仏」と念じて(笑)丁重に葬り去ったのだが,しかし今後が不安.まだ新しい建物なのに,今後が思いやられるというものだ.

09月23日
(土曜日)

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 [研究] 学会最終日.研究討論会で地球環境がどうたらこうたらというものがあったので出席.資料を見たら,ありゃ,COP3だのCOP6だのに対応してどのような土木プロジェクトを作るかという話だった.なんだ,想像していたのとは違う.かといって別のところもそれほど緊急に聞かねばならないようなものではない.というわけで消去法的にそのセッションに出ることを選択した.

  ところが瓢箪から駒.これがなんとも抜群に面白い会だった.それまでよく理解できていなかったCOPにおける「枠組み条約(UN-FCCC)」と「議定書」(たとえば京都議定書←実はまだ発効していない!)の役割,今後の取り組み,現在の進捗状況,重要なキーワードCDM(クリーン開発マネジメント)・JI(joint implementation)などが,ESCOやGHG(温暖化ガス)などの「後々のために知っておいた方がよい」略語・術語とともに明快に語られたのであった.発表者は3人いたけど,うち独りは抜群のプレゼン能力を持っていて,こういう人ばかりいれば楽しいのだけど…なんて思ったものだった.ちなみに,OHPを入れ替えるときには,次のシートを用意してから前のシートとさっと入れ替える方がよい.前のシートを取り去って,次のシートを探して,置くというプロセスは,スクリーンに空白時間を作ってしまい,あまりよくない(意図的にやっているなら別だけど).もちろんこの人は次のシートを用意してから入れ替えていた.

  「土木の役割」については,まだ低負荷開発・技術革新等の「プロジェクト」単位にのみ関心が集まっているようで,もう少し「社会を創る」という点について押しが欲しいな,とおもっていたらフロアからそういった趣旨の質問(意見)があった.同じような問題意識,危機意識を持っている人がいるらしい.私が述べた意見は,排出権取引というマーケットが健全に機能するためにも誰かが貢献しなければならない,それが土木の役割といえるかどうかは微妙だが,社会を創る・維持するという面では絶対に見逃せない一面である,といったことだった.かつて食い扶持稼ぎにやっていた仕事がファイナンシャルリスクの計算(これは計算機屋に対してはきわめて挑戦的な課題である)であった安形にとっては,市場というものがいかに壊れてゆくかという点は重要な関心事なのだ.

  私の将来の貢献について,そのありうる一つの可能性を見出した意義深いセッションだった.こういうセッションをこの時代に開くという眼力は−誰の眼力なのかは知らないが−たいしたものである.

09月22日
(金曜日)

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 [研究][ひと] 同僚(学部4年生)が人生初の学会発表とのことで,応援がてら聞きに行く.先週の練習よりずっと上手で堂々としている.なかなかの出来栄えであった.嬉しい嬉しい. 後で聞いたら,前夜ホテルの部屋でも4回練習したとのこと.やるな,お主.

 [森と樹] 昼間に学会の時間が空いたため,前から行きたかったところに歩いていってみた.東北大学付属植物園である.学会会場からは徒歩10分もかからない絶好の位置にあった.

  ここは伊達正宗の時代からあまり斧が入っていない森林で,尾根部はアカマツ,斜面はモミの大木がボンボンたっている自然林となっている.そして「青葉山」の名前で天然記念物に指定されている.天然記念物の植物園というのはなんとも珍しい.

  都市近傍の深い森というと,藻岩山(札幌),眉山(徳島)などがある.青葉山もそれに負けずなかなかよいところではあるのだが,遠くで見るだけではその価値はわかりにくいかもしれない(アカマツが目立つごくふつうの里山に見える). ¥220払って中を歩いてみると,最大でDBH144cmに達するモミの巨樹とそれを取り巻く深い深い森が目を楽しませてくれる. 第四紀地質学と地形学をやっているとさらに楽しめる部分もある.ついでに言うと,仙台城の水源だった湧き水もあるらしい(道はないので行けない). ヒマを作って,¥220払ってでも来る価値はある,というのが見終わった結論. ただし,やたらにクモの巣と蚊が多かったので,すこし時期を考えた方がいいかもしれない.

 [ひと] 学会(特別討論会)が夕方に終わって,同僚と一緒にぶらぶら中心街方面への道を歩いていたら突然助教授に声をかけられた.飲みに誘われたのでついていくことにしたら,助教授の知り合いも合流.その人は某TV局の天気ニュースに出ているお天気おねーさんなのであった(単なる顔見世人形ではなくてれっきとした気象予報士).放送の世界の話をたくさんできて面白かった.

  よくトチるとの話であったが,なんだかコミカルな味があって,多分トチリも芸(天然芸)なのだろうな,と思った.仕事の話をするときは急に真摯な口調になるのが印象的だったけど,食べ物の話が大好きな,よく笑う明るいオネーサンであった. もっとも,仕事は(意外と仕事以外のところで)なかなか苦労が多いらしい…

 [食べる・飲む] さてその人が案内してくれた店がなかなか面白いところだった.狭い曲がりくねった路地のそのどん詰まりにある,古いけどこぎれいな木造の店である.全カウンターで,20名程度で満員.ちなみに酒は四杯まで.安形にはこれはきついっす(笑).ただ,一杯ごとに違うお通しが出てきて,どれもウマい.もちろん通常の料理(魚料理が主)も存分に楽しんだ. 普通の旅行者がこんな店知るわけがない.親切な案内に深く感謝した.

 [地理] そんなこんだで,仙台好感度急上昇中.

09月21日
(木曜日)

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 [水][天気と季節] 仙台は満面の笑みで私を迎えてくれた.

  ドピーカンの早朝は,半そででは寒いくらい.もう秋なのだ.なんと気持ちのよいことだろう. そして早朝,秋保大滝に向かう途中に見た朝霧の水田風景は,「絵のような風景」としかいいようのない見事なものであった.

  さて,例によって行った水は,定義如来の長命水.それから学会の後で行ったのが奥新川の長命水・岩清水・奥新川渓谷.ついでに奥新川に行く途中の林道法面に見事な基盤湧水を見つけた.

 [ひと] ところで,上述朝霧の水田地帯をぼーっと見ているうちに,最近答えどころか考え方すら見出せなくなっていたいくつかの問題について,一瞬のうちに光明が見えたような気がした. うち一つは事態を単純化しすぎていた.残りは複雑に考えすぎていた.もっとシンプルに事実を捉えて判断すればよかったのだ. すこし心に余裕ができると一気にいろいろなことが見えてくる. 研究で壁にぶち当たった場合,本来ならどんな精神状態でもそれなりにいろいろなことが見えていなければいけないのだけど(それで給料をもらってるんだしね),考えるべきことは必ずしも研究ばかりとは限らないのが人生の不条理である.

 [研究] 土木学会ははじめての出席.意外と学生の発表が多かった.そして質疑応答に詰まって指導教官(もちろん共著者)が助け舟を出すというのがお約束だった. なお,セッションの座長はほとんど野郎ばかりだったが,それでも出席者には予想外に若い女性が多かった(というより,若くない(失礼)女性は僅少だった).この女性陣がそのままこの世界に残ってくれれば,土木は男性社会ではなくなりはじめるのだ.

09月20日
(水曜日)

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 [ひと][地理] 仙台,というか宮城という土地にはあまりいい思い出がない.正確に言うと,思い出したくないようなモノやヒトやオモイデが(現在)宮城にたくさん存在している,というべきか.たとえば,かつて「顔も名前も思い出したくない」とか「コイツと同姓の人や同名の人はそばにいて欲しくない」というほど嫌いになった人物(今は「できたら会いたくない」という程度に格下げ.どちらにせよ,私にとっては極めて珍しいことだ)が今同県内にいる.それも二人.何人中の二名なのかは秘密だが,かなり高い確率ではある. 

  もちろん,それは宮城のせいではない. きっと,本当はいいトコロであるはずなのだ.

  明日,というか今日夕方(できたら明るいうちに…)から仙台へ出発である.入ったばかりの土木学会の,その研究発表会に出るのだ.といっても発表はナシ.いちおうどんなところか見てくる,というところだ.あと,もちろん顔見世の意味もある.生産研に安形あり! それから,求人関係で面接がある. 上記デキタラアイタクナイ氏はどちらも仙台近くにはいないらしい(詳しくは知らない.知りたくもないが)ので,まああまり気にしないことにしよう.

  今度の旅(出張)では,なんとか宮城と仲良くなりたいものだ. いくつかヒマを見つけて水を回りたいな. いい思い出が作れますように.できたら宮城県ファンになって帰ってこられますように…

  というわけで24日まで更新はストップです. しまった,そういえば名水大全表紙(家に帰らないと更新作業ができない)も変えてなかった(涙)

09月19日
(火曜日)

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 [森と樹] 気がつけば下北沢,であった.荻窪(ここまで歩いてor自転車で来る)から吉祥寺乗り換えで駒場まで来るのだけど,今日は荻窪〜下北沢間の記憶が全くないのである.考え事をしていたか寝ていたかのどちらかであるが,今日はもちろん後者(笑).ただし吉祥寺駅での記憶も全くない.よくあることとはいえやっぱり謎である.実は本当に寝たまま乗り換えたのかもしれない.

  さて,駒場東大前で降りた後ひとつ用事をこなしたが,なんだかまだ寝ぼけている(苦笑)のでちょっと寄り道して駒場公園へ.クスノキのなかなか大きいのがあるので挨拶してきた.さわやかな陽光の下の樹木はなかなかの雰囲気だった.大木と一対一の対峙. 流れる時間は貴重なものである.一気にリフレッシュ.

  本郷にいたときには,気が向くと本郷弓町のクスノキという大木(マニアには有名だろう.人によっては楠亭というフランス料理屋で知っているかもしれない)に会いに行ったものだが,駒場ではまだあそこまで大きな木を近くで見つけていない.しかし駒場公園のこの森は結構気に入っている.またふらりと来ることになるだろう. 安形が急にいなくなったら駒場IIキャンパス南縁の雑草散歩道(8/19の項参照)か駒場公園の森を探すといいかもしれない.

 [研究] SiB2の開発主体はいったいどうなっちゃってるんだ?という文句をあちこちで言いまくっていたが,どうやらSiB3というものを開発している人がいるらしい(消息筋によると,SiBのもともとの開発者はいまアストロノーツになっているという.なんとまぁ).いきなりライバル出現だ.こうこなくっちゃ.でもこれは頑張らないとイカン. また8月中旬のように身を削りながらの研究生活になるのかな?

 [生活] なんだかやたらに携帯電話がかかってくる一日だった(まだ一日終わっていないが).ある国際団体からのinvitation話,講師の依頼,旧友の懐かしい声(でも彼女は私のアドヴァイスを聞かずに崖上の家を買ったらしい.知らんぞ本当に)…私の携帯電話にはあまり着信が多くなく,10件記録される「着信履歴」には一ヶ月以上前のものまで残っているのが普通だったが,今日でだいぶ記録が若返った. (追記:さらにまたもう一件電話.某地理検定試験のスタッフ募集だった)

  ただ,電話の話をどこでするかは結構難しい.他人の迷惑にならないように廊下に出ると,かえって妙に声が反響して「こっちのほうがうるさいんじゃないか?」と気になってしまうのだ(かといって廊下を歩いて遠くに行こうとすると電波が弱くて切れそうになる).気になると部屋を出たり入ったり.しかしそれがさらに迷惑なような気がして,さらに気になってしまった.

 [研究] 召集令状が来て,学部生の学会発表&卒論中間報告発表の練習に付き合い,その後助教授の部屋に缶詰になって,今日いきなりやることになってしまった超緊急作戦会議.その結果研究上急いでやるべきことが一気に増大することが判明.明日締め切りが一つ,土木学会から帰ってきてすぐに締め切りが一つ,今月中締め切りが一つ,それから,それから… 結局,今日までは忙しいつもりだったけど実はヒマ状態だったわけだ.しかし,能力はなくならないうちに使わなきゃ,ね. それにしても,その会議に出ていた全員が,自分が身体を一つしか持っていないことを嘆いたことだろう.特に助教授は,今日は1日40時間くらいなければ足りないような仕事量だったんじゃないか?

09月18日
(月曜日)

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 [研究][ひと] さて,来週は卒論・修論両方の中間発表会がある.今日の研究室セミナーはその発表練習会だった(該当者は3名).正直言ってまだまだのできで,もしこれが発表前日だったら発表取りやめを本気で考えさせるようなものであったが,彼らの発表経験の少なさをかんがみると,1週間前でこのレベルというのは善戦といえるだろう. 発表会まではあと一週間ある.彼らなら相当伸びうるはずだ.

  しかし私自身は水曜夜〜日曜昼は仙台(土木学会)に行っているので不在.こういう若手がこういうシチュエーションで急激に伸びるのを目の当たりにするという嬉しい体験を重ねてきた私にとっては,今回も彼らの成長を近くで見るのが楽しみだったのだが,それはまあしょうがない.むしろ帰ってきてどんなに大きくなっているかを期待したいと思う.

  そしてもちろん,いつか私を越えて世界の頂点に立つことを期待する.世界の最前線に身を置くというのは,決して非現実的な将来ではないのだ.そのことはぜひ高い潜在能力を持ちながらそれを自覚できていない彼らにも分かって欲しい. ただし,オレもそう簡単には負けないよ,君(笑)

 [生活][食べる・飲む] 母が上京して私の部屋を占拠しているので,食生活はやや豊かである.私自身料理は嫌いな方ではないが,しかし永年鍛えた主婦の技にはかなうべくもない.昨晩や今朝は,どうしてこの材料でこんなものができるの?というおかずのオンパレードで,冷蔵庫にもてあましていたいくつかの食材がきれいに消えていった.あとでレシピを教えてもらうとするか.しかしテキもさるもの,「あったものを適当に使っただけ」とのたまうだろう.そしてそれは真実なのだ…でもこういう臨機応変というのはある程度の場数を踏むことが必要なのである.ちょうどプログラミングや研究発表と同じように.

 [文献][生活] それはそうと,おいしいチーズケーキのレシピも知りたいものだが,母がそんなものを作っているのを見たことはないので,たぶん教えてもらえないだろうな… (それにケーキ作るほどの時間の余裕ができたら,まず先日買った本をゆっくり味わいながら読んでしまうだろう.ちなみにこれは珍しく私が他人の薦めで買った本だが,その人の感性は結構信用しているので,期待度は大きい).

09月17日
(日曜日)

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 [ひと][生活] 実家の,かつての私の部屋で目覚めた朝.昔中学高校を過ごした部屋は私にとっていったいどんな部屋かというと,「壁のシミ・天井の模様・柱の傷を全部覚えている」という感じのものである.本当に覚えているわけではないが,しかし実感として部屋のすべてが自分の一部という感じがする. そういえば,よく布団に寝っころがって天井の模様を見ながらその数学的意味を考えるなんてことをしていたっけ. 私の原点? 言われてみたらたしかにその一つかもしれない. 

  今後は,たまにここに帰ってくると,また何か新しい思考の地平が広がってくるかもしれないなんてことを思った. 一人前の研究者としては他者に頼ると言うことはあまりいいことではないのだが,しかしこの部屋は私自身のようなものだから勘弁ね.

 [天気と季節] 変な天気であった.降っていてやんでいて曇っていて日差しが強い.天気雨のことを狐の嫁入りと呼ぶ地方があるが,もし本当にそうなら昨日と今日で狐の世界では男やもめがずいぶん減っただろう.台風の余波はいろいろなところに現れている.1945年に西日本を枕崎台風が襲って3756名の命を奪ったのは,そう,ちょうど今日だった(防災白書より). 東海地方某県庁の土木部で県道関係の現場仕事をしている兄は,最近はご存知のようなわけで,徹夜も含めて仕事がやたら多いらしい.それにしても,「カタコー」とか「ゼンドメ」といったマニアック専門用語を使って兄弟で話ができるとはなんとも痛快だ.

  さて,東名高速を走っているさいちゅう,猛烈な短期間豪雨の後晴れ上がった海面上に虹が出てきた.8月1日四国早明浦ダムで見た虹にも負けない壮大な輝き!ただ面白いことに,円弧の上部1/3が海から飛び出ているという格好だった.今年は私にとって,虹の当たり年かもしれない.虹の写真集も買っちゃったしね.

09月16日
(土曜日)

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 [ひと][生活] 最近心中ひそかに心を痛めていたことであるが,親戚の一人の健康があまりすぐれない.と思ったら,ここ数日そうとうに具合が悪化したらしい.昨日の実家からの電話では「なんとか元気なうちに康に会わせたい」なんていう言葉も出てくる始末.これは何よりも優先課題.子供の頃から私をかわいがってくれた人だ.わがまま放題のワルガキだった私(←え,今もだって?(笑))の能力と将来性を誰よりもよく理解しかばってくれたものだ.というわけで静岡に,現地での足を考えてジムニー出動だ.ついでに一日遅れの敬老の日というわけで祖父母に挨拶してこよう.帰りは明日母親を乗せて帰ってくることになったので車内を片付け,さらに部屋内も母親を泣かせない程度(笑)に片付けてから出発.

  (追補:と書いたけど,結局部屋内はあまり掃除できずに出発となった.帰ってきたとき母が卒倒しないかどうか心配だ(笑))

  さて,慌てていってみると,あれ,ずいぶん元気だぞ.「こちらの顔がわかるかどうか…」(家族から先に聞いた話)どころか,私のひねったジョーク(笑)でも大きな口をあけて笑っているじゃないか.寝たきりだったはずなのに,お気に入りの杖さえあれば,家じゅうに張り巡らされた手すりシステムに触れもしないで自力歩行しているではないか!もしかして,具合が相当悪いと言うのは両親が私を田舎に呼ぼうという方便だったのか?(笑)

  しかし聞いてみると,やっぱり本当に相当具合が悪かったらしい.しかし,昨日敬老の日ということでたくさんの親戚が見舞いに来て,さらに私の妹から贈り物が届いたら,急に元気になり始めたとのこと.しかし私は遅れて今日の訪問となったのだが,「康は来ないのか」と何度も周りに尋ねたという話には泣けた.本当,遅れてごめんなさい!

  さて,私が今日行くというニュースが両親経由で届いたら,親戚は自分で門の前まで出て行って私を待っていたのだという(最近の具合からいうと信じられないのだそうだ).私が大幅に遅れた(プレゼントとして富士宮浅間神社の湧き水を汲んでいたのだ)ので待ちぼうけとなってしまったことには,心底申し訳ないと思った.でもうれしい話ではないか. たとえ安形の来訪を心から喜ぶ表情ではあっても老衰が蝕む身体は痛々しいばかりだったが,私は確かに誰かをちょっぴり元気にしたのだ. ところで,博士号学位の学位記の写しを両親にあげていたが,両親にしては珍しくそれを親戚に見せていなかったので,今日は本物を持って行って見せた.さすがに嬉しそうだった.えへへ,ちょっと恩返し.

  実はもう一つ親類関係でとてもとてもとてもとても嬉しい話があった(あとで時間があったら概要くらいは書く.私は誰かに対してとてもイイことをして,そしてとてもイイプレゼントをもらったのだ).最近は大きな落ち込みネタが不思議なほど連続していた.10年に1度くらいはこういう体験もあるさ,というわけで慣れているつもりだったが,今回はどういうわけだか周囲の人何人かにも少なからぬダメージを間接的に与えてしまっていた(ややこしいことにそのことに対してプレッシャーを感じていた.おいおい,そんなに落ち込んでいるヒマがあるなら研究しろよ(苦笑)).オレらしくないぞまったく!もうしません.ペコリ. なんとか元気になりつつある(バッドネタが必ずしも全部なくなったわけではないが,受容キャパがいつもくらいに膨らんできていているのだ.なんでも耐えるゼ)現在,今度はそういった人々へ元気をあげる存在になりたいと願っている. 

  まだ9月は17日だが,ずいぶんいろいろなことがあった.そしてこれからまだまだいろいろなイベントがある.本当のこの9月は長い.後から思い出したときに「いい一ヶ月であった」となればいいのだけど…いや,自分の意志と力でそうしよう!

09月15日
(金曜日)

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 [研究] 昨日今日と,日本地形学連合(JGU)という,なんだか広域暴力団のような名前の,しかし実は立派な学会に行ってきた.久しぶりにフィールドの雰囲気プンプンという面々に囲まれて議論ができて,本当に楽しかった.よくみると確かにガラが悪そうなのが揃っていて,ますますマルボー系にみえた.しかしその面々にすっかり溶け込んでいる私って…(笑)

 [研究][ひと] 忙しいところ無理やり行ったのだが,やはり無理してでも行く価値のある学会だった.なんといっても活気が違う.まず理学工学農学・行政・民間など身分の種類はてんこ盛りである.発表が終わると,座長が言う前にすでに手が最低3本は上がっている!不十分な発表には即ツッコミがはいる!名誉教授の発言に若手が噛み付く!ご老体も負けじと対抗する.紳士的だけど激しい言葉の応酬.座長が止めるころには質問の挙手は普通10人以上になっている.そして,そして…懇親会は本当に懇親の場となる.年齢の壁など軽く越えて仲間として語り合える(それはご老体が無理にあわせていてくれるのではない.連中,本気で若いつもりでいるのだ).これがさっきまで激しい討議をしていた面々か? 最高であった.

 [研究] 来年,同じ会場(文京区・中央大学理工学部)で第五回国際地形学会議という大きな学会が開かれる.国際的に非常に権威ある研究発表大会だ.もちろんJGUがホストとなる.みなそれに向かって活気付いていた面もあった.JGUメンバーのほとんどは,この会で何らかの役目を持つのだ(安形の場合は,巡検案内者).

  ただし哀しいニュースも一つある.学術雑誌に対する出版助成(年間80万円程度)が,今年度から対象が英文雑誌中心となり,JGUの学術雑誌「地形」(和英混在)は助成対象外となったのだ.これで「会費値上げ」という辛い案件を,臨時の総会で議論することとなってしまった.ただ,こういう逆境には多くの学会が陥っているようである.もしかするとこれが学会の一つの転機になるのかもしれない(学会再編も現実的話題,というところもあるんじゃないか?).

  現状に対する危機意識と将来像の模索については昔から熱心な学会だったが,これを機にさらに問題意識が盛り上がるだろう.和文誌と英文誌を分けるかというテクニカルな話以前に,学界の将来像をどうするかという議論が一気に盛り上がった.もちろん今後も盛り上がりつづけるだろう.結果として雨降って地固まるということになればいいが…(しかし発表ではずいぶん雨に起因する表層崩壊や地すべりの話が出てきたぞ(笑)) まあ日本の地形と同じで,いろいろな外力を受け表面はガラガラ動きながら,でも全体として安定した状態を保っている動的平衡状態に移り行くものなのかもしれない.だとすると,明確な意志をもって,望ましい状態を作り上げたいものである.

  発表のほうは,そろそろミクロプロセス派だけでなく,現実を表現するマクロモデリング派が出てきたようで嬉しかったが,まだ不十分である.安形もいろいろなアイデアを思いついてきた.いくつ実現するかは分からないが,他の分野の人に「ん?地形学って面白いじゃないか」,地形学の人に「そうか!他の分野のこの概念と組み合わせるとこう自然が見えてくるのか!」という成果をぜひ出してみたいものだ. それは決して,私がいま主にやっている陸面水文過程モデルの仕事と方向が違うわけではない.むしろ方向は同じだ.今この時期にこういう複数の専門分野にわたった知識と技術を持っているということは,私にとっては重大なチャンスなのかもしれない(金を稼ぐチャンスかもしれない(笑)).ただし,私の後に続く世代では,私程度はごくあたりまえ…となっていてほしい. 見込みありそうな後輩は,ビシバシ鍛えます.

09月14日
(木曜日)

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 [ひと][食べる・飲む] 昨晩のクライマー宴会,いや集会(出席者は男ばかりだった)で,女性クライマーの最近の動向が話題となった.「〇〇さん独身だって」「あれ,そうなの?」「いいオトコを紹介しろ,ってさ」

  「独りもんの男性クライマーでオススメのいいヤツってのは少なくなったね」「いや,探せばまだいるよ.Yさんなんてどうだい」「ああ,そうだね.それからKさんもいる」「Sさんもそうだよ」「そうそう,Sさんなんて似合いそうだね」「本当にいい人なのに,なんで相手が見つからないのかな」「いい人すぎるからだったりしてね」etc. etc…

  話は延々と盛り上がった.傍らにはいつものように聞き役にまわって静かにビールを飲みつづける(笑)私. そして結局,結局…最後まで話題の中に私(出席者の中で唯一の独身)は登場しなかった. まぁあまり「おすすめのイイヤツ」とは思われていないらしい(苦笑)

  でもほっとした.今は誰かを紹介されても受け入れる気はないからだ(悪いけどそんな精神状態じゃないんですよ,先輩!).だから,そう思われているなら,そのほうが気楽というものだ.

  ただし,面白そうな仕事のネタならいつでもいくらでも紹介歓迎だ(それを考えると,僕はもうすでに研究と結婚したようなものなのかもしれない). もちろん湧き水の紹介も大歓迎(笑).

09月13日
(水曜日)

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 [文献][文学と言語] 昨晩は故あって小松左京「果しなき流れの果に」を一気に再読した.何度読んでも,この極端に複雑な物語が私の生まれる前(1965年)に書かれていたということが信じられない思いがする.初めて読んだのは高校時代,授業中の内職だ.そのあまりに感動的なラストシーンに,授業中に涙をこらえきれなくなったことを今でもよく覚えている(多分先生にはバレバレだったろうな(笑)). 今読んでも,やはりその感動は少しも薄れず私に迫ってくる.  ただただ美しい.時間とは何か?存在とは何か?…を考えさせられると同時に,信じて待ちつづけることの尊さを教えてくれる.下手な道徳の教科書よりよっぽどいい

  今になって初めて気づいたフレーズというのも多い(多分今後も読み直すたびに新たな発見があるのだろうが).たとえば,すでに30歳を越えてしまった私には:

三十をこえれば,いくら焦っても,結局待つしかない時には,どうしようもないのだということが理解される

というのは,あぁ確かにそうだそうだとうなづけるものがある(太字部分は原文では−小松左京お得意の−傍点部分である).

  しかしそれに続いて(というか文自体が切れずに続いている)こうも書かれている:

と同時に,期待というものが,常にむなしいものとはかぎらない,ということもわかるようになる.

(以上はハルキ文庫版,p.109より) 後半部分はすでに高校時代に実感として分かっていた(もっとも,今になってみれば.期待が徒労に終わる場合もあるのだという厳然たる事実にも着目せざるを得ないのであるが).しかし前半部分は,確かにそうだと,今になって初めて分かる.そう,確かに待つしかないときに待てるということは重要なのだ.そしてその待つという行為は決してネガティブなものではないのだ.

  それはそうと, この小説のように「世界」を示せるような研究者に私もなりたいものである,という点ではやはり私はこの本の虜なのだ.この小説の最初と最後の舞台となった葛城の山々に,いつかぜひ行ってみたいと思っている.

 [研究] お隣の気候システム研究センター(CCSR)で修士論文中間発表会があった.何と8人もいるので,2日に分けて行われる.今日がその1日目だった(明日は学会に行くので見られない.ちょっと残念.ま,学会のほうを楽しんできましょう).

  ところで,いきなり赤恥質問をしてしまった.かつて東大地理学教室にいた頃,氷期に関するゼミがあったのだが,そのなかで氷床モデル(ISM)黎明期の論文を読む機会があった.そこで使われていたモデルが実にしょぼいもので,私は氷床モデルというものにトテモツカエナイものという烙印を押してしまっていた.さて今日行われた発表の中に,このISMという懐かしい名前が出てきた.で早速質問「マントルレオロジーを無視している影響はどう評価しますか?」 

  そう,これが間違いの元なのだ.最近のISMはだいぶ進んでいて,マントルの粘性もきちんと評価するようにできているのだ.無視など絶対にしていないのであった.質問の瞬間,部屋中に寒い空気が流れたのは言うまでもない(笑)

  ただ,万一同じ誤解をしている人が同じ部屋にいたら,その人が将来全く同様の赤恥をかくかもしれなかったのを間接的に救ったことになる(えっへん).いつかゼミの場で発表者に質問の矢を降りかける私を見て(見かねて?),ある人はこう言ったものだ「お前のように何でも聞く奴がいると周りが大変助かる」…もしかしたらこの言葉,他の人がかくかもしれなかった恥も私が代わりにかいているということに言及していたのだろうか(笑). ま,でも懲りません.openな場での質問攻撃は多分一生やめないだろう(たとえ相手が大好きでも,そして大嫌いでも!).それが安形の持ち味.うん.

 [ひと] ただ普段は無口なんだけどね…どうも誰も信じてくれなくて困る(笑). 全国3億人の読者の皆さん,安形は元来口数の少ない男です.本当ですってぱ.

09月12日
(火曜日)

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 [天気と季節] 前線,張り切りすぎである.愛知県内では昨日からの積算雨量が500mmを超えるところが出て,名古屋市では97mm/hourという自己ベスト更新.ナゴヤドームも浸水して,ドームなのに試合中止という珍事.庄内川ではすでに計画高水位を越えて,名古屋市では堤防を越流しているというとんでもない状況.新幹線は全面停止状態.さらに,今日は四国九州で70mm/hourを越えるところが出る予想だ. 

  とどめを刺すかのように,大東島を痛めつけた台風14号が今度は沖縄本島を窺っている.風速35〜40m/sの予想.

 [地形・地質] 東京も他人事ではない.多摩東部には洪水警報だ.多摩川沿いの沖積面に住んでいる人(安形も昨年初めまではそうだった),都市中小河川沿いにいる人は注意だ.

 [経済・社会] こういう時に役立つような災害対策のために,税金が使われている…はずだ(はずだよな?).しかし,公共事業のどれが必要でどれが不要かは,結局後になってみなければ分からないという宿命を負っている. でも極端な豪雨に対しては,現在の堤防は全く役に立たない場所がある.あまり信用しないように.とにかく日ごろから自分のいる所の周囲の細かい地形を見る癖をつけ,災害予測と逃げ道の確保を意識しておきたい.最後は自分の力で自分(と大事な人)を守るべし.

 [生活] 今日もグッドニュースとバッドニュースが.バッドのほうは,ある銀行口座引き落とし不能通知ハガキだ.「はあ?」なんて思ったが,忙しさにかまけて開封を忘れていた請求書があり,つい先日メイン口座からバックアップ口座に預金を移した際,本来残しておくべきだったその請求の分までバックアップのほうへ移してしまったのである.あ,ああ,あああ,これでブラックリスト掲載か… 最近の忙しさは,社会人&世帯主として普通の生活(大事そうな手紙はとりあえず開ける)が出来ないくらい非人間的なものなのだろうか.自分自身では仕事の忙しさ自体は結構楽しいのであるが…独り暮らしというのは,自由と引き換えにこういうリスクを背負うのである.

  さて,グッドニュースのほうは,自分でもすっかり忘れていた思わぬ臨時収入である.上記の用事で銀行に行ったとき,預金残高を見て眼が点になったのであった(あと数日早く入っていればお互いに相殺されていたかもしれないが).でも現在は貧乏神に惚れられて,ふところの温度はいつも(多分今後もずっと)液体ヘリウム状態なので,大事にとっておく.タカリに来ても無視するよ(笑)

  大して金銭欲があるほうではないが,やはりカネは大事である,とつくづく思う今日この頃だ.

  でもその一方で,これまである程度長生きできたおかげか,世の中にはカネでは手に入らないもの,というか自分がどんなに望んでも手に入らないものがある,ということはいろいろ思い知らされてきたものだ. もっとも,非常に親しい友人に言わせると,それは安形が最後の押しに欠けるからかもしれないとのこと.まぁそうかもしれない.これまでにこの手の中から逃げていった青い鳥は,いったい何羽になるのだろう?多分バードショップを開けるくらいはあるな(笑).そしてこれから,どれだけの幸せが,この指の間から乾いた砂のようにぼろぼろとこぼれ落ちてゆくのだろう?(こちらは日本原料に売るくらいはあるだろうな…)

 [水] そんな日々を過ごしているうちに,今日は心ならずも人を怒鳴りつけてしまった(研究室外の話である).渇ききった心を潤すために,どこでもいいから水辺に行きたくなった.で,結局,大宮八幡宮(はじめて行った.おっと,御神水発見だ.9/14,15に派手な祭礼があるらしく,祭りの前のざわめきに出会った)を皮切りに,善福寺川ぞいの緑地を何時間か歩いてしまった.武蔵野の台地を刻んで流れる河川であるが,雨の後だったのでさすがに川沿いのあちこちから湧き水が出てきていた.やっぱりこう来なくっちゃ.

09月11日
(月曜日)

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 [天気と季節] 雨雲リモートコントロール状態だ.台風14号は中心風速50m/sという化け物に成長して現在南大東島に接近中.本州上にある秋雨前線に,よせばいいのに南から湿った暖かい風がガンガン流入.それにつられて前線がかなり活発化しているのである.

  今朝は雨の音で目覚めた(ひさしぶりだ).不安定な雲,ときおりかなり強くなる雨脚.またどこかの地下街でおぼれる人が出なければいいが… 前述のように南から風が入ってきているので,雨とはいってもそんなに涼しくはない.むしろ蒸す.

  この雨の水,いったいどこから来たものだろうか. 私が生まれた頃,いったいどこにあった水だろうか. 私が棺桶に入る頃いったいどこをぶらついているだろうか. 意外と海洋プレートに引きずり込まれてマントルに行っちゃってるかもね.そういう風にちょっと変わった水分子が好きさ.

 [生活][食べる・飲む] なぜか眠い.猛烈に眠い.昨日はよく眠っていなかったのだろうか(7時間は寝ていたのだが).気分転換に,雨の中遅い昼食を取りに行った.昼食といっても3時であるが(笑).さて帰ってきて気がついた.空腹が満たされるともっと眠くなるじゃん!こういう時にコードを書くとろくなことはないので,今こうして気晴らしの日記をしたためているところだ.

 [電子・コンピュータ] ほどなくして眠気は去り,仕事を一つ終えたところで休憩.キーボードの分解清掃である.まず念のため現在のキー配列をメモし(笑),ほとんど全てのキーを取り外し,はずしたキーを中性洗剤で一つ一つ水洗.油脂汚れには弱いかもしれないが,どうせ人間の汗とホコリが中心だからOKOK.本体側は当然髪の毛やら菓子屑やらが人口稠密状態だったので掃除機攻撃を仕掛けた.さらに同僚がOAクリーナなるものを持っていたので拝借して磨き上げ. 現在は乾燥中で,代わりのキーボードで書いているところ.

  前の代のキーボードには濁り酒をこぼして酔っ払わせたことがある.それに比べればこの約4年使っているキーボードにはそんなに悪さはしていない.していないけどずいぶん汚れていた.心の中で詫びながらの清掃作業(笑)であった.

 [研究][電子・コンピュータ] 今日はサーバがすいていた.topで見てみるとそのtop自身が一番重たいプロセスとして最初の行に燦然と輝くという始末だ.重たいジョブを用意しておけばよかった.ま,今にどんどんジョブを投入し始める予定. 一応MT化も試すが,他の人の迷惑にならないようにしないと…そういえば,MT化をするといくらでもCPUをいじめることができるので,これは人間関係を悪くするもとだ(笑)とすら言われたことがある.

09月10日
(日曜日)

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 [車] 久々のドライブである.といっても遊びでもフィールドでもない.本郷キャンパスの旧地理学教室で廃棄処分になるロッカー(地図ケース)を取りに行くのだ.最近かわいがってない車だが,ちゃんと動くのだろうか.いささか心配である. どうせホコリまみれになるに決まっているので,これまた久しぶりのジャージ穿き状態で行く. 天気は,かなりよい.

  追補:一人で運ぶには重すぎたので,引出しを全部出してから車に乗せた.でも結局1往復ではダメだった.家→本郷→家→本郷→駒場(研究室)と走り回ることになった. まぁ久しぶりにお気に入りのテープを存分に聞きながら運転できたからいいとしよう.帰りも安全運転!

 [研究][車][地形・地質] 昨日は,信州のフィールドに行っている後輩から電話がきたのでかなり長い間しゃべってしまった. がんばっているようで何よりであった. 早くわが愛車もフィールド号にしたいものである. 2年間ばかり行っていない,あの道北の「富良野以上に富良野らしい」声問層(第四系)丘陵をのんびり走りたいものである(もっとも,富良野ライクの地形なら,別に内地でも火山山麓ならたくさん見られる〜ただしほとんど知られていない〜のであるが).ちなみにそこは,私は何十回と調査に行っているが観光客は通算二名しか見ていない超穴場である.国道から近いのにね.誰にも教えないで秘密にしておきたい場所だ.

09月09日
(土曜日)

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 [電子・コンピュータ] FORTRANで組んだライブラリをCから呼び出すとき(あるいはその逆)に気をつけなければいけないことはいくつかある.しかもそれはコンパイラに依存するというちょっと迷惑な話だ.Sun Workshop Compilersのf77で組んだライブラリを同ccから呼ぶときの注意は,docs.sun.comの中に書いてあった(→CとFotranのインタフェース)ので,無事行うことができたが,しかしSun Workshop Compilers以外の処理系では一体どうなることやら,と思わされるほど,この開発環境固有の設定が多く必要だった.

  CからFortranルーチンを呼び出す場合,引数はすべてポインタ渡しとなる.まあこれは簡単に対応できる.難物なのは文字列の渡し方である.文字列引数を含んだ引数列を渡す場合,その末尾に,各文字列変数の長さを指定するlong int値を指定しなければならない,というのはちょっと気づかない点である. なお,Sun Workshopでは,各*.oをリンクする場合はf77コマンドを用いなければならない,という点もまた,ドキュメントを見なければ分かりにくいことだ.

 [天気と季節] 晴れた日.しかし,今月最初にあったような何も考えていないようなムチャクチャな暑さではない.暑くないといったら大嘘になるが,しかしどこかさわやかさを感じる暑さなのである.そして,空が少し澄んできたのが心地よい.もう秋は手の届くところに来ているのだろう. この空のように澄み渡った心になれる日が,いつか来るのだろう…そう思わせてくれるような空の色だった.

09月08日
(金曜日)

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 [研究][電子・コンピュータ] 地球フロンティア研究システムというところでLSM研究集会があった.純国産LSMであるMATSIROに興味を持つ人があつまって,最近の研究動向を発表しあい,今後の計画を話し合おうという会である.まだ始まったばかりなので顔見世興業的な発表が多かったが,どの発表もなかなか面白かった.個人的には,今まで名前しか知らなかった人に大勢会えたのが大きい.しかも今後一緒に研究できるチャンスが増えるわけでもっと嬉しい.

  なお,私自身も「SiB2のALMA化」という,よく考えたらMATSIRO関係ではないのだが(笑),発表をしてきた.で,その日のうちにプレゼンテーション自体はWWW公開してしまった. うーん仕事が速い. 最近絶好調である.

 [ひと] ただし,仕事を早く終えるとしっかり次のがまっている状況なので,実は全然暇にならない.やはり仕事を早めに終えてかつそれを報告せず,ノルマがきついときの隠し玉にとっておくという営業マンの心得が必要なのだろうか(笑).

09月07日
(木曜日)

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 [電子・コンピュータ] 明日LSM関係の集会で講演をすることになっているのでPowerPointで準備.Powerpointで思い出した,というか実はすっかり忘れていたのだけど,7/25および7/29ゆめテクでの講演資料をWWW化しておくのを忘れていた.さっそくサーバに登録.今となっては懐かしい,というかずいぶん昔のことのように感じられる.まだ2ヶ月もたっていないのに.

 [電子・コンピュータ][文学と言語] プロポーショナルフォントの罠というものだ.先ほどHTMLファイルを書いているときに,どうしてもひとつの<a href=…が有効にならないことに気がついた.何べん見ても,ちゃんと書いてある(ように見える).しかしIEでみるとa href=…と表示されてしまうのである.どうにも分からず首をひねっていたが,もしやと思って調べたら,なんと"<"だとばかり思っていたその文字はひらがなの「く」だったのである.Excel上で書いていたので,フォントがMS Pゴシックだったのだが,言われてみればこのフォントではくと<は見分けがつきにくいのであった.

  せめて全角の「<」ならまだ救いがあったろうが,こともあろうにひらがなにだまされるとは… 世をはかなんで,ちょっと旅に出たくなりました(笑)

09月06日
(水曜日)

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 [電子・コンピュータ] 案ずるより産むが易しというところか.ISLSCPデータを一つのルーチンで読むための共通ライブラリを作ろうとしていたのだが,159個もの変数をどのようにハンドリングするか扱いかねていた.というよりドキュメントを見て手でポチポチという作業を面倒くさがっていただけなのだが(笑)

  ところが,知っている技術をあれこれ組み合わせていたらあっさりできてしまった.まず変数リスト(with CD-ROM番号とパス)のPDFをcopy & pasteで秀丸へ.そして秀丸の正規表現置換機能とちょっとの手作業でHTMLテーブルへ(→ISLSCP Initiative I 全変数リスト).次にそのHTMLファイルをExcelに読み込む.さらにExcel VBAを使ってFORTRANのDATA文に相当する部分をファイルに書き出すプログラムを書き下ろして即実行.あとはそのファイルを秀丸で開いてTeraTerm経由で直接Muleにぶち込み,それをもとに適当に配列を作ってチャカチャカとコーディング.はい一丁上がり!これで今後は相当楽になる.

 [天気と季節] 雨が降っているようないないような変な天気の中早朝出勤.現在7:40ころには太陽さえ見えてきた.長袖シャツを着てきたのは失敗だったかな?(当日追補:やっぱり晴れてきた.暑苦しいというほどでもないが,袖はめくってしまった.)

 [研究][ひと] 社会基盤工学の修士入学希望者対象の研究室ガイダンスがあったので行ってきた.沖さん+修士学生2名の発表である.いろいろな研究室が発表をした中でウチは午前中最後の番だったので,後ろに他の研究室が待ってはないという状況.当然,抜け目ないダレカサンは巧妙に時間を引き延ばし,15分のはずがたぶん20分くらいつかってしまった.聴講者はすでに専攻をおおよそ決めているのかと思ったら,一人この発表をみてウチに興味を持ったという学生さんがいて皆で一緒に食事をした.もちろんその人が結局どこに志望を出したのかは分からないが(締め切りは今日),なかなかイイ話だ.修士の面々も一生懸命に準備をしたかいがあったというものだ.

  [後日記]結局その学生さんはウチには来なかったが,他の人が来ることになった.なんでも,当初は別の研究室志望だったのが,当日の研究室紹介を見て迷いはじめ,最後まで悩みに悩んで結局ウチを選んでくれたらしい.なんともありがたいことである.準備に多大な時間を割いてくれた方々に感謝.

 [電子・コンピュータ] topコマンドを使うと,現在のマシンの状態,特に重いプロセスの動作状況がリアルタイムによく分かる(vmstat系やw系とはちょっと趣が違う).今日はマシンがすいているようなので,ISLSCPデータをnetCDF化するプログラム(上記のISLSCPライブラリをフルに活用して相当すっきりさせた)を一気に二つ動かしている.topで見るとしばらくこの2プロセスが上位独占していた(それぞれのCPUシェアは20%前後).なんだかエラくなった気分だ(笑).とりあえず今日は6時で上がり(連日のように,明るいうちに帰っている),家で金曜日の発表用スライドでも作ってこよう…

09月05日
(火曜日)

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 [電子・コンピュータ] 凶悪なほど面白いページを知人に教えてもらった.ほぼ日刊イトイ新聞の「平凡な金魚でも見るか」である.単に金魚のいる水槽の一部を一分更新のライブカメラで放映しているだけであるが,何かハマってしまうものがある.5匹見えたら大吉なんていうおみくじまであるあたりは,さすがに見る者の心を捉えて離さないプロの小技である.このページも含めて,素人にはちょっと真似のできない味のあるサイトだ.

  普段は一匹も金魚が見えない(→写真)のだが,たまにずっと大当たりが続くことがある.昨晩ふと目覚めたときに見てみたら,次々とあたりが出てきてやめられなくなってしまった.一匹二匹三匹四匹,そして推定ながら五匹という事態が立て続けに起きたのである(推定でよければもう一回起こった→写真). なぜか,忙しいときとか夜中ふと目覚めたときに限ってこういうことが起きるような気がする.

  このページは,特にダイアルアップで見ているときにはさらに凶悪である.ソースの冒頭を見てみよう:

  <HEAD>
   <META http-equiv="refresh" content="60" url="index.html">
   (中略)
 </HEAD>

  と言うわけで,勝手に60秒ごとに更新されてしまうので,普通の設定では電話がいつまでたっても切れず,(テレホーダイでない限りは)電話代がかかりまくるのである.注意. ま,忙しいときには見てはいけないページだ(影の声:じゃあなぜ昨晩見ていたのだ(笑))

 [森と樹][天気と季節] いきなり冷たい雨の一日であった.真夏日からの解放どころか,もしかしたら6月以来の夏日脱出だったかもしれない.掃いて捨てたい(できるならそうしたいものだった!)ほどあったあの顕熱はいったいどこに行ってしまったのだろう. 

  全てが穏やかに濡れている雨の日,こういう日はちょっと散歩したくなる.そこで誰もいない駒場野公園(≠駒場公園)を独りぶらついてきた. 雨の森は,やはり美しい.こういうときのBGMはやっぱり遊佐未森「僕の森」だねこれは. 昼飯を食べる暇もなかった一日の,ちょっとした休息.

  やがてあの落葉樹の葉が色づき,落ちるころ,研究はどこまで進んでいるのだろうか.葉がまた芽生えてくる頃,どれだけ成果を出せるだろうか.そしてこの木が倒れ,朽ちる頃,僕らの知の次元はどこまで高まっているのだろうか.

09月04日
(月曜日)

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 [研究][ひと] 今日から大学院の入学試験らしい.どんな人が来年くるのか楽しみである.

  といっても受験者本人はだいぶ苦しんでいるかもしれない.もし研究者として生きて行くなら,実はまだ苦しみは序章に過ぎないのであるが,しかしそんなことを言っても,目前の苦しさに対しては何の慰めにもならないだろう(あたりまえか(笑)).

  私が言えるアドバイスはたったひとつ「その苦しさを楽しめ」である.そう,発想を転換してみよう.それは実は楽しいことなのだ!

 [電子・コンピュータ] 早朝5時半ころ,紀伊国屋書店のオンライン書店「BOOKWEB」にログインできず.ことによるとパスワードを盗られたか?と危惧してメール問い合わせをしたのだが,その後8時ころにはページ自体が表示されなくなり,どうやらシステム調整中(早い話がトラブル)らしいことが分かった.機械というのは恐ろしいものだね…「ま,こんなこともあるさ」と肩をすくめるしかない.

  (追補:当日午後には直っていた.もっともそれに対する弁明は一切なし.どうなっているのだろうか)

  (後日記:と思ったらメールでお詫びが来た.やはりシステムトラブルだったらしい)

 [天気と季節] 昨日まで猛暑が続いていたが今日は一休み.予報では久々の真夏日脱出らしい.窓を開けて寝てしまったので見事に寝冷えしたが,別に風邪らしき症状は出ていないので安心.まあ何にせよいい一日でありますように.一応念のために早く帰ることにして,放っておいた片手間仕事をゴリゴリと片付けた.

 [水][文献] 秋田の無明舎出版からこの夏に「とうほく名水紀行」という,題名だけですでに期待をもたせてくれそうな本が出ることになっていたのだが,まだ出ていないようだ.出版記念に名水大全トップページで鳥海山山麓湧水特集をやろうと思っていたが,ついに待ちきれずに勝手に始めてしまった.週に1回同社サイトを覗いているのだが,そのたびに「まだ出てない〜」とガッカリして,結局東北弁の勉強と称して?あきた夜這い物語(←無明舎恐るべし.トップページから堂々とリンクしているあたり,相当の確信犯だ(笑))を読むだけに終わってしまうということが続いている.

 [水] 名水大全といえば,最近多いのが風水絡みのサイトおよび食べ歩き関係のサイトからのリンク許可願いorリンク報告メールである.前者もなかなか凄いが,後者の濃さというのも尋常ではない.世の中にはここまで人間フォアグラ化した人がいるのか…と感心するようなサイトばかりである.それにしても,フランス料理というのは高いなぁ…

09月03日
(日曜日)

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 [生活] 飲んだ飲んだ飲んだ飲んだ飲んだ飲んだ飲んだ飲んだ(以下百万回繰り返し),といったところだ.昨晩は父と二人でビール大缶6本+日本酒半升を短時間で空けた.その結果,ここ数年で一番酔っ払った.玄関に墜落したところまでは覚えているのだが,後は記憶があまり鮮明ではない.

 [天気と季節] さわやかな秋晴れ…とは行かない猛暑だが,空の色が少し変わってきた.日陰の風も少し秋の香りがする(ちょっと強すぎるかも.強風注意報まで出ているのだ).意外と昨夜の酒は今日に残らず,風に吹かれてすっきりと目覚めた.

 [研究][生活] 誰も来ていないだろうと思った研究室は,行ってみると妙に人口密度が高かった.助教授まで登場.お互いに「残業手当は出ないぞ」「土日出勤手当てはないんですかね」とオバカな会話. ついでに,せっかく日曜まで出てきて自分の時間を消費しているのだから早く投稿論文を書けとのお達し. そう,家に帰っても論文書き(というか論文直し)の仕事が待っている… ま,それも人生(←最近口癖になった)

 [電子・コンピュータ] 片手間仕事.PowerPoint2000は,HTML形式でセーブしようとするとXMLが書き出される.直接には別に困らないのだが,これをSolaris上のNetscape Navigator4.7から見ると見事に落ちる.Microsoftは,よほどSunやNetscapeに恨みがあるのか?(まぁあるだろうな…) 昔その対策に単純HTMLに書き出すアドインを作っていて,ある程度できたところで止めてしまっていたが,今日ゴチャゴチャといろいろな機能を付け加えた.その結果,公開文書のページがだんだんにぎやかになってきた.

 [生活] 通り道にあるケーキ屋で買って来たのは,もちろんCC(略語については昨日の項参照)であるが,ちょっと色気を出して今まで見たこともないようなケーキも一緒に買って来た.お約束どおりドライアイスを多めに入れてもらい,研究室で遊ぶことにした.まずは空の皿にいれて音を出させ,次に水を注いでスモーク状態にする.子供の頃と,やることが変わらないのである(笑)

  さて,そのドライアイスを沈めておいた水であるが,ドライアイスが完全に姿をくらました後,ちょっと好奇心にかられて一口飲んでみた.舌を刺すような鋭い味!思いっきり濃いサイダーのような感じだ(かといって別に発泡しているわけではなさそうだ).実はもしかしたら人体に有害な物質でも入っていたのかもしれない. 子供の頃は考えつかなかった「検証」だ.ちょっとは大人になったのかもしれない(爆).

09月02日
(土曜日)

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 [文学と言語][食べる・飲む] MJQとは略語である.ただし私にとっては,QuartetのほうでもQuintetの方でもない.MJQとは,私が水文学関係のなにかについて筆記をするとき使う記号で,「水循環」の略である.

  同様に昨日作ってしまった略語が「Cc」と「Bcc」.もちろん普通の意味ではない.チーズケーキとベイクトチーズケーキの略である. 最近レアチーズだけでなくBccも結構イケると認識を新たにし始めたのである.

 [研究] こういうわけの分からないことを書いているは,ケーキ関係雑誌の差し入れがあるは…と研究上あらゆる障害があるのだが(そりゃじぶんのせいだって(笑)),なぜか研究自体はペースがガンガン上がっているのが不思議である.案外そういうもの−適切な休みが生産性を上げる−なのかもしれないが. 私はまだ適切な休みを入れるのが下手なのだが,それで今までいくらかの時間を損してきたのかもしれない.周囲に休み上手の人がいる現在の環境は,だからとても都合がいいのだろう.彼ら彼女らからは学ぶべきものがたくさんある.

 [水][文献] 日本地下水学会の「地下水学会誌」42巻3号に「東京都の湧水の現況」という資料が載っていたので早速ゲット.100箇所強の調査で,全体の湧出量合計が43m3/minとのこと.新井先生の調査時よりちょっと減っているかもしれない.大規模な湧水を拾ってゆくと,中にはまだ知らないものがあったりして驚かされる.1000リットル/min以上のものを抜き出すと,日中研(野川源流)・東久留米上水道水源湧水・立川高等職業訓練校横・矢川緑地・ママ下湧水・二宮神社・日野市豊田の民家,である.大抵は湧水好きなら皆名前も場所も知っているものであるが,最後の一つだけは私も全く知らなかった(湧水を見始めたころ,日野豊田の段丘はかなり丹念に歩いたのであるが,まだ「見る眼」がなかったんだろうなぁ).きっと旧家の裏庭にあるのだろうが,住所が詳しく書いていないので詳細不明.近くに住んでいる知人もよく知らないという話.ちょっと探してみたくなった.リターンマッチだ.

09月01日
(金曜日)

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 [生活][天気と季節] 9月,である.昨日昔からお世話になっていたM先生に挨拶して昼食を共にしたとき,「8月が終わると1年の約2/3が終わったことになるんだよね」としみじみ語っていた.ちなみに昨晩は特に窓からの風の通りがよく,今朝はまた涼しさに目が醒めた.何だかノドの調子も変だぞ.とりあえずまだ平熱だけど,もう窓を開け放して寝るのはやめるかな.お見舞いメイルは,先日募集したら3000万通以上集まってサーバが倒れたりして大変だったので,気持ちだけでいいです(←影の声:言ってろ,て感じ〜).

 [数学パズル] さて,月が変わったので,気分転換に一つ調査をしてみた.結果は次のとおりである

  • Bでは:{{9, 9}, {9, 9}}, {11, 11}, {11, 11}, {11, 11}, {11, 11}
  • B/C境界では:{{10, 9}, {9, 10}}, {11, 10}, {11, 10}, {11, 10}, {11, 10}
  • Cでは:{{4, 5, 3, 6}, {4, 6, 4, 5}}, {{4, 6}, {4, 6}}, {{4, 6}, {4, 6}}, {{4, 6}, {4, 6}}, {{4, 6}, {4, 6}}

(補足:いずれも,範囲は「1」から「6」まで)

  いったい何の調査か分かる人,特にもうすでに同じ調査をしたことがあるという人は,多分安形と同じ種類の好奇心の持ち主である(それは恥ずべきことなのかもしれないが(笑)).

 [研究][ひと] 同僚の修士論文発表会.用意したはずのスライド(Powerpointプレゼンテーション)から,シートが一つ消えていることが本当の本番で判明!しかしなんとも準備万端なことに,前日の段階でのプレゼンテーションを別ウィンドウで開いていたので,何事もなかったの様にそちらに切り替え,そちらのファイルを使って発表続行.もしかしたらこのアクシデントに気づかなかった人もいたんじゃないか,というくらいスムースであった.もちろん昨晩行なったいくつかの改良は結局日の目を見ないままに終わってしまったのであるが,それでもよい発表であった.現在は結果を待っているところであるが,多分大丈夫.ちなみに他の発表者だと,ノートPCが起動しないというトラブルさえあった.キカイは所詮キカイ…というなかなかコアな発表会であった.

  同僚の発表はこの日3人目(10:30スタート,一人15分.)で,後は別に聞く必要はないのであったが,ついつい午前中全員の分を聞いてしまった.前日にも書いたとおり,真剣な戦いの場(修士論文程度で何を大げさな,と言われるかもしれないが,発表者本人にとっては大変なステージだ.それまで2年間の汗と涙がギッチリ詰まっているのだから)に居合わせていたかったからである.

 [生活] 予定より30分遅れて研究室を飛び出し,建物を出たときに忘れ物に気づいて慌てて駆け戻り,そして忘れ物の掛け布団を抱えてあたふたと出て行った.見ていた人がいたら何やってるんだあいつはという眼で見られたに違いない.まあいつもそう見られているかもしれないが(笑). それから用事を大量に済ませ,で,上京してくる父を部屋で待っているところである.やっと一息というところだ. 

  日没後買い物に出たら夜風が心地よかった.そこらじゅうで風鈴が鳴りまくりであった. 今日もいい夜になるであろう.父が持ってくる妹の結婚式写真を楽しみにしながら,独り夕食をとっている.

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安形氏にめいる
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