日記:2000年07月

最終更新:2002年1月23日 07:23



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安形氏にめいる
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07月31日
(月曜日)

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 [ひと][生活] 明日から吉野川ツアーなので,準備に大忙しである(といっても最大の仕事は,大量の地図を折って貼ること.旅行の準備自体はアッという間にできるように常日ごろ用意しているのだ).ここで,先日のゆめテク講演会での面白い体験談を一つ:

  土曜日,つまり2日目の発表の時である.ずいぶん立ち見の客があつまった会だった.目の前にいる子供相手のやり取りを中心にしたのだったが,たまには後ろの方のお父さんお母さんも参加してもらおうかなとふと考えた.そこで気づいたのだが,後ろの方の人でもずいぶん熱心に見ている人がいる.たとえば,私から向かって左奥に立っていた若い女性.お母さんという年ではないが.

  そこでふと気づいたのだが,この娘さん,以前にどこかで会ったことがある.講演用の口だけは勝手に動きつづけているが(笑),思考は少しだけ,「はて,誰だったかな」というほうにも向いていた.が,結局思い出せない.そんなに前のことではなく,たしかわりと最近会ったような気がするのだが…

  さては,実は最初の発表(火曜日)の発表にも来ていたな.そういえばちょうど同じようなシチュエーションがあったような気がする.…なんてことを考えているうちに,結局話の流れは子供相手になってしまい,その娘さんを含めて後ろの人を引っ張り出そうという計画は自己ボツとなった.

  そうしたら出し抜けに気が付いた.同時に思わず吹き出すところであった.火曜日会ったのは確かだ.なにしろその「謎の人物」は,研究室の同僚なのだから!しかしこの数日の間にちょっと髪型を変えたらしく,安形の目には全くの別人に写ったのであった.そうすると熱心に見ていたのも合点がゆく.何かおかしいところを見つけて後でからかおうというのだろう(笑).それにしても,特に女性の場合,髪形を変えるとずいぶん雰囲気が変わるものだ.美容院が流行るわけである(しかしそれにしても,普通は同僚だと気づくものではないのか?).

  でも「安形もついにヤキが回ったか」と思わないでほしい.もともと人の顔を覚えるのが大大大の苦手なのだ.しかし,さすがにここまで派手な失敗をしたというのはちょっと記憶にない.まあ講演の方に脳細胞のほとんどをとられていたのだと言い訳をしておこう.

 [研究][水][森と樹] 現在四国では大雨らしい.明日からの3日間,四国でどのような姿の森と川と水に出会えるのだろうか.楽しみ楽しみ.

07月30日
(日曜日)

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 [研究][アウトドア][車] 屋内作業ばかりだとアタマがオーバーヒートする(いつのまにかすっかりフィールド調査人間となってしまった).以前出かけて調査が不十分だった秩父の山奥に行こう.と思ったら寝坊して,ずいぶん遅い出発.

  と思ったら甘かった.秩父は盆地.そう,夏の暑さは強烈なのだ.なんとか市街を通り抜けて深い深い谷の中に入ってもまだ暑さがまとわりついてくるようであった.昔は通れなかった林道はすでに開通していたのでジムニーで突撃.さすがにジムニー,何も問題なくダートを疾走.あまりに簡単すぎるので,故意に凸凹にタイヤを突っ込んで遊んでみた(笑)

  今まで調査し切れなかったところにも,やはり石灰岩は分布していた.いずれもう少し精査してクライミングの可能性を探りたいものだ.それにしても,日本にはどれくらいの「岩資源」があるのだろう?米国やフランスなど「先進国」より遥かに少ないのは確かだろうが,では実際にどれくらいなのか,探せば探すほど岩が見つかる現状ではなかなか判断できない.私たちは,日本の自然をまだまだよく知らないということを痛感する.知っているつもりのことに限って実は知らなかったりする.

  ずっと昔に見た湧き水を,ちょっと寄り道して再訪.あたりまえのように湧き出ている水だが,よく見ると(地形的な)集水域面積はゼロ.最初に見つけた人も,ずいぶん不思議に思い,山の神性というものを感じたのではなかろうか.祠も何もなかったしもともと宗教心はかけらもないけれど,美しい流れに深く頭を垂れた.

  それにしても,どこから来るのか見当もつかない水である.このように自分がいかにモノを知らないか痛感するという体験を追い求めることは,研究者として大切なことである.自分がモノを知らないということを潔く認めてから飲む水は,しかしやっぱりちょっとほろ苦かった.

07月29日
(土曜日)

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 [研究][水] 21世紀夢の技術展」(略称:ゆめテク)の面白実験室コーナー(30分おしゃべり)第二弾.今日も13:00〜と17:30〜の会であった.10席程度のいすは子供が多かったが,後ろの立見席は実年男女で埋め尽くされていた.こういう場合はどの年齢を対象にしたらいいのか判断しにくい.メインは子供相手とし,たまに後ろのオトーサンオカーサン宛ての軽口もはさむような構成にした.

  13:00〜の会は冒頭から観客とノリをあわせることが出来てそれほど悪くないおしゃべりだったが,17:00〜のはこれを乗り切れば終わりだという気の緩みがでたのか,いまいち聴衆と波長を合わせきれずに終わった.やはりまだまだプロのしゃべり屋(会場にはそれらしき人が何人かいて,実に勉強になったのだった)には太刀打ちできない.少しでもあのレベルに近づきたいものだと痛感したものである.

  あき時間には展示の説明.実は説明の看板をあまり読んでいなかったのでやりたい放題(笑).それをしばらくそばで聞いていた同僚の感想「お客さんごとに言うことが変わって面白い」.うーむ誉め言葉なのだろうか?(笑) シナリオなどなくその場その場のアドリブで言いたいことを言いまくっているというのがバレバレなのであった.もっともシナリオなんてあってもまず守らないだろうけど…

 [電子・コンピュータ][ひと] さて,先日書いたLEDの話であるが,面白いことに東大生産研のブースの横でNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)がLED新技術を展示していた.青色どころではない,白色のLEDである!単波長が原則のLEDでなぜ白が?と思うかもしれないが,これは青よりさらに波長の短い紫外線LEDをつくり,それで蛍光体を発光させているのだ.

  展示してあった「電球」を見る限り,明るさはもう十分だと思った.問題は例によってコスト.普及まで10年はかけるという息の長い計画を紹介していた.今回の会場で,一番「技術の面白さ」というものを感じた内容だった.

  1985年,つくばで科学万博があった.当時高校生だった私も見に行ったものである.万博とゆめテクを比べるということ自体それほど適切ではないかもしれないが,しかし率直言うと,当時の万博のほうがはるかに面白かった気がする.科学万博では,それこそ何が出てくるかわからないようなブットビ発表があったものだ.しかし今回は,屋内と言うこともあってかブースの外観自体が印象的というものは皆無だったし(いや,強いて言えば生産研のブースは異彩を放ちまくっていたが),内容に至っては,もう予備知識が豊富すぎるせいか,真の驚きを感じさせてくれるものは白色LEDなどごく一部だけであった.しかしこれらでさえ,予備知識があったらそれほど驚かなかったかもしれない.

  私自身成長したのだろうか?それならそれでいいのだが,しかし実はこの15年間技術が停滞しているということはないのだろうか.まあおそらくは,Internetなどで新製品情報や新技術情報が容易に入手できるようになったこと,そしてこの15年で私自身が技術の未来を単純には信じなくなっていること,コンピュータの世界にはプログラマ側に大きな人的リソース不足が生じてプロダクトの信頼性を下げているといった裏事情がわかってきたこと,が大きく関係しているのだ.また,「生の自然を相手にしたとき,技術というものはもちろん極めて有力な武器ではあるが,技術に頼るだけでは人間の理解には限界がある」という認識がつよくなってきているという点も見逃せない.ともかく15年間での自分の変化に気づかされた展覧会でもあった.

07月28日
(金曜日)

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 [研究][森と樹] 塚本良則「森林・水・土の保全」をテキストとして輪講を行っている(金曜日午前中).まだ直接は虫明研の仕事と絡んでくるわけではないが,しかし将来を見据えたときには間違いなくこの種の知識も我々に要求されるようになる.

  しかしながら,河畔林・山地河川河床形態などを扱った第五章(前回と今回読んだ)はさすがに学部生やM1にはきつかったかもしれない.ある意味でこの本の前半の山場といえるところなのだ.何とか発表してもらったが,さすがに植物の種名が多く出てくる部分はカットすることとした.ヤナギ(Salix)やらカエデ(Acer)やらカバノキ(Betula)やらと言われてもピンとこない段階では,読んでも理解は困難すぎるかもしれない.前もって「ここは発表不要」と伝えておけばよかった.反省.

  しかし今日は大変そうだった大学院生(修士課程)も,いつかきっとこの章を読み直すことになると思う.そのとき現在よりどれだけ深く理解して読めるようになっているか楽しみである.

 [研究][地理] 研究室で近日中に四国三郎吉野川を見に行くツアーを行なう.地理学教室出身の安形としては,遠出をするときは地図を持たないと落ち着かない.というわけで早速日本地図センター(研究室から歩いていける)に5万図と2.5万図を買いに行った.しめて十数枚,¥4000以上の出費である.しかしそれ以上の価値はある買い物だ.地形図を読まずしてローカルな水の研究はできないし,地域の成り立ちを理解するのには地図の効能の大きさは掛け値なしに無限大である.

 [研究][電子・コンピュータ] 一昨日起こったプログラミング上の障害の原因が発覚.Sunのコンパイラのバグだ.いや,まさかこれは仕様と言い張るつもりではないだろうな?言っては悪いがこのコンパイラ,商用コンパイラの中で見ると知っている限りでは出色の不出来だ.といっても最新製品でないからいろいろあるのだろう.とりあえず回避策(こんなものは教科書に載っているわけがない)はなんとかネットでヒントを得て自分で編み出した.そうしたら何事もなかったかのように動作をはじめた.これまで何と不毛な時間を過ごしていたのだろう.

07月27日
(木曜日)

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 [研究] 実は昨日飲み過ぎた.アイムハングオーヴァーだ.頭痛に耐えて家で論文書き.どういうわけか指の関節がよく動く.しかしとんでもない文章を書いていないだろうか(笑)..あとで見直し必要.

 [研究] 明日だとばかり思っていたが,実は今日生産研一部・五部親睦ビアパーティがあった.何を隠そう当研究室のK助手が幹事.大変そうだったが,あまり手伝えなかった.何しろ昨日の酒が…でもしっかりビールは飲んでしまうのであった(笑).

  パーティの最中でふと思いついたことがあり,あわてて席に戻った.結果は見事に成功.酒を飲んでいるときに浮かぶアイデアというものもあるものだ.

  ところでパーティの席で面白いことを聞いてしまった.一昨日のゆめテク出張講義は実は同僚の手によってビデオ撮影されていたのだが,そのダビングが行われ,コピーが研究室内に出回っているらしい.また,どうやら「上映会」が行われたらしく,何人かはビデオをすでに見ているとのこと.留学生からは「研究室ミーティングで放映したらどうか」などとからかわれた.事務の人からは「ちょっと意外な一面をみました」とのコメント(いったいいつもはどんな奴だと思われているのだろう?).これ以上知らないうちに知らないところにビデオが出回るようなら,肖像権でも主張しようかな(笑).

07月26日
(水曜日)

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 [電子・コンピュータ] 昨日のゆめテク会場で感動したものが一つだけある.入り口で客を迎えてくれるディスプレイだ.遠目にはごく普通の大型ディスプレイなのだが,よくみたらちょっと変.あれ,向こうが透けて見えるぞ.近づいてみると,それはたしかにRGBの輝点の集合体なのだが,その灯りはすべてLEDであり,メッシュの上に数cmの間を空けてLEDユニット(各ユニットが9つのLEDを含んでいる)が並び,そして向こうが透けてみえていたのだ.

  赤や緑のLEDならもう世の中にあふれまくっているが,青となるとそうは多くない.まだ実用化から時間が経っていなく,コストがまだ高いのだ.この青色LED,実は発明したのは日本人だったはずだ(発明当時は四国にあった中小企業の社員だったはず).それを惜しげもなく数千個使ったこのディスプレイをいきなり入り口に持ってきたあたりがまたなんとも素晴らしいではないか.

  さて,来訪客は全員そのディスプレイの下をくぐるのだが,気にとめる人はほとんどいない.実は付近に一切説明がないのである.なんとさりげなく,日本の誇るテクノロジーを置いてあるのだろう.感動は倍増であった.

 [研究][電子・コンピュータ] ISLSCPデータをnetCDFに落とし込むスクリプトは,そのままではまったく動かないのだが,ほぼ修正は完了した.と思ったらファイル読みに障害発生.なかなかてこずらせてくれる.面白い.詳細はWWW資料にまとめ,知識の共有に努めている.

07月25日
(火曜日)

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 [研究] いきなり絶句である.「21世紀夢の技術展」(略称:ゆめテク)の面白実験室コーナーでの30分おしゃべり第一回(13:00〜13:30)であるが,10席くらいの観客席はなんと幼稚園児で埋められていたのだ.一応中高生対象に作ってきた内容は,そのままでは全く興味を持ってもらえないだろうということは一目瞭然であった.さてどうする?臨機応変な対応を迫られる.

  というわけで,PCプレゼンの説明は簡潔に済ませ,ひたすらパックテストとのみ比べに時間を割くようにした.パックテストは硬度のもので,水を入れると色が紫に変わる.たわいないものではあるが,現実にはこういうビジュアライズが,子供たちには大ウケなのだ.というよりそうでなければ興味は持ってもらえないのだ.

  アドリブならお手のものだ.実は,シナリオ通りにやるとかルールを遵守するということが大の苦手なだけなのだが(笑).中高生向けのPowerPointはそのままで,しゃべりは子供向けにやってしまった.まったくもってやりたい放題である.生産研の品位を落としまくってしまったかもしれない.

  夕方の回はうって変わって子供は少なく,立ち席に至っては中年男性で埋まっていた.一応一番近い席にいた二人の子供相手の丁丁発止を中心に,たまに後ろのオトーサン方に興味を持ってもらうような内容にした.敢えて試飲会の水を冷やしておかなかったのは成功だった.冷やすと味がわかりにくくなるのだ.

  パックテストのどこが「21世紀夢の技術」なのだと思われたかもしれない.しかし21世紀に向かう私(というか私たち)の夢とは,テクノロジ自体もさることながら,人の心がもっと自然の水に向かうことなのだ.月に人類が足跡を記し,火星に探査機材を送り込めるこの世の中において,実は足元50cmの水の量だって簡単に調べる方法がないという現実に気づいてほしいのだ.そう考えてプレゼンの最後は,今後開発されるべきテクノロジと「若者頑張れ」というメッセージで締めくくった.

  実は発表の準備は昨日半分徹夜で仕上げたもの.いやもっと言うと,当日会場までノートPCを持ってきてポリッシュアップしたものである.そのため出番以外は控え室で寝ていた.しかし会場の説明員として来ていた若者は一日中立ちっぱなしだったらしい.お疲れ様である.お詫び代わりに,夕方のプレゼン後は説明員として自分も立った.しかしよく考えたら展示(ワークステーションでのデモが主)の内容をよく知らないのであった(笑).しかしそれでも何とかしゃべりたい放題やってしまうのであった.

 [経済・社会] ゆめテクで印象に残ったことは,まずいきなり駅前のダフ屋である.嗚呼,ダフ屋が出るような大イベントなのだ!そしてまた,スタッフ専用ルームに入って展示の裏舞台をいろいろ観察できたことも印象深い.生産研ブースは実は某イベント会社の人が仕切っていた.また展覧会全体の事務局から分厚い展示マニュアルが配布されており,それを読むことができた.展示会の運営とは,まず組織つくりから始めて,実に細かいところまでやらねばならない.たとえばこのマニュアルの内容決定やら印刷やらも…そう,ノウハウがなければ手も足も出ないだろう.各種資材の手配・組み立て・およびそれに必要な機材や人員を確実に集める能力などはやはりプロのイベント会社でないと全く歯が立たないのであろう.そこに大量のモノとヒトと,そしてもちろんカネが動く.世界がどのようなダイナミズムで動いているかという点について,展示会というある意味で「虚構の世界」でこそ強く知ることができる,と実感したのであった.

07月24日
(月曜日)

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 [研究] 日経新聞社主催の「21世紀夢の技術展」(略称:ゆめテク)という展覧会が現在東京ビッグサイトで行われている.8/6までの予定だ.実は生産研のブースがあり,虫明・沖研を含むグループも出展している.喜連川研との共同作業であるデジタルアース関係が中心の内容だ(他に0.5度世界河道網TRIPや広域リモセン画像など).

  大勢の人に生産研を知ってもらう絶好の機会というわけで,他の研究室もかなりリキが入った展示をやっているらしい.

  さて,研究室として「出展」しなければならないのは単なる展示のみではない.「おもしろ実験コーナー」という30分の舞台に誰かがでて何かをしゃべるand/or実演する必要があるのだ.で,結局安形がしゃべることになった.内容は,実は虫明・沖研は机の上で簡易にできる実験というものにはあまり縁がない.というわけでかなり個人的好みが入ることになってしまったが(笑),軟水・硬水絡みで攻めることにした.ありがたいことに,各種ミネラルウォーターとパックテストを若者が買ってきてくれていた.したがってこちらは構成を考えるのみの楽ちん人生.といっても夕飯を食べるまでぐーたらしていたので(というか,研究でやっていたデバグ作業が面白すぎて止められなかった.ああ無計画な人生),睡眠時間を削って家で作業することになってしまった.

07月23日
(日曜日)

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 [水] 帰京の途中富士宮市の水を少しめぐった.富士宮浅間大社という大きな神社にてまずは昨日宣言?した神社参拝を実行.「若き二人をお守りくださいますように」.自分のことを祈ったことがないのに他人のことは結構一生懸命に祈願してしまう性格なのである.

  さて,この神社には湧玉池という大規模な湧水がある.標識には3.6トン/秒と書いてあったが目視では1.2〜1.5トン/秒くらい.それでも大変な量には違いない.池から流れ出す川は奔流としか言いようのない流れで,水の持つ「荒々しさ」という一面を存分に見せてくれる.静かな池面からこのたぎりたつ瀬への変化の妙.水は相当冷たかったが,その下流の親水広場では子供がバシャバシャ遊んでいた.なんとも元気なことである.

 [車] さらに富士ヶ嶺オフロード(山梨県上九一色村)というところで,日本ジムニークラブ東京支部主催の「第18回JORSトライアル大会」(JORS=Jimny Off Road Spirits)を見学.本当は東京支部会員としてはスタッフとして前日から働かねばならなかったのだけど.全体的なルールとしてはボルダリングコンペに似ている感じの大会である.選手は皆大変な苦労をして各セクション(全6セクション)の課題にトライ.中には半数以上の車が完走できなかった難しいところもある.競技も相当面白いが,さらに興味深いのは参加している車の改造具合.公道を走れないところまで手を入れ,大会会場にはそれをトラックに積んでもって来ている人もいる.マニアの技は,見ているだけで十分楽しめる.

07月22日
(土曜日)

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 [生活] 今日は妹の結婚式.3人きょうだいの先頭を切ってのゴールインである.世界中のメディアよ,今日は忌み言葉は禁止だ.歌舞音曲は大歓迎(後日記:そういえば沖縄のサミットで安室奈美恵がNEVER ENDという曲を歌ったのはこの日だった.NEVER ENDとは,婚礼の祝歌としてぴったりの題名ではないか).

  家族全員4時起き・5時出発で会場のホテル(浜松)へ.予定よりずいぶん早く着いたが,しかし結果的にはそれでちょうど良かった.花嫁の着付けには本当に本当に時間がかかるのである.6時半に始まり男どもが部屋から追い出された後,10時少し前まで終わらなかったのだから大変なものだ.

  神前の結婚式というのは見るのは久しぶりである(いや,初めてだったかな?まあそれくらい記憶にないのである).ホテル内にある伊勢神宮系の神殿で,祭神はずばり天照大神.若い夫婦が誓詞なるものを御神体に向かって読み上げた.神なるものへ,将来にわたってお互いを尊重しあい助け合うことを約束し,神の加護を願う内容であった.これで日本の神様は,妹夫婦(と私を含めた家族)にとっては単なるカミサマではなくなったわけである.

  寺社の参拝では本気で何かを祈ったということはめったにないのだが,今後はちゃんとお参りするようにしよう.若き二人に幸あれ.

  何人もの人が,新郎が私に似ているところがあると指摘した.私はあまり似ているとは思わないのだけど,確かに背の高さとやせ具合は同じくらいか.まあ外見が似ているのはともかくとして,性格まで似ていたらちょっとヤだなぁ(笑).もし似ていたら間違いなく「家庭をかえりみない夫」になる.注意.

  式の後は披露宴.仲人は立てないタイプである.新婦も新郎も,いい友人がたくさんいるようであった.そこがなんとも良い宴であった.披露宴は本来客のほうが主役で,新郎新婦+家族はそのもてなし役(そんなことは言われずとも妹は分かっているだろうけど.何しろ私よりずっと社会常識はある).その点でも,お客さんにはずいぶん楽しんでもらったと思う.父母の目に,妹の目に涙があったかどうかはヒミツ(あまりプライベートなことをだらだらと書くものではない).多忙な数日を何とか終えた疲れがどっと出たのか,それともやはり花嫁の父というのはこういうものなのか,帰宅後の父はふにゃふにゃに気が抜けたようであった.

07月21日
(金曜日)

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 [生活] 急いで帰省しなければならない.何しろ週末は妹の結婚式があるのである.と思ったらコンピュータ関係がどうも変.昨日のコンパイラ周りの件とは直接関係ないと思われる症状だが,何か責任を感じないでもないのでしっかり見てしまった(教訓:どんなに簡単そうに思える作業でも,万一失敗したときにリカバリに時間がとられるならば,確実に出かけなければならない用事の直前にはやるべきではない).ジムニーのスピードを上げて東名を疾走.何km/h出したのかは秘密.それにしても,ずっと前に「妹の挙式に遅れそうになったので車を全速力で走らせている夢」を見たことを覚えているが,あれは予知夢だったのだろうか.

  実家にはよらずに美容室(親戚)に直行.生まれてから2回目の美容室体験である.といっても最初もその美容室だったけど(たしか4,5年前).親戚ということで新婦側の全ての仕事が回ってきたその美容師さんは本当に大変そうだったが,今日はまだ本番ではない.明日はもっと忙しいのである.まあそれはお互い様であるが.

  実家になんとかついた頃には妹はもう寝たとのこと.あれ,前夜は会場(ホテル)泊だったのでは?と聞いたら,妹の選択で「当日実家を出発」に変えたのだそうだ.確かにそれが親孝行というものである.こういう点は,妹は兄の私よりよほどしっかりしている.

07月20日
(木曜日)

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 [電子・コンピュータ] SunのWorkshop という開発環境(現在はForte developerという名前)をversion4.2から5.0にアップグレードする予定だった.経験では恐ろしく簡単だったので何も不安を抱かず始めたのだが,見事にハマってしまった.ライセンスが通らないのである.実は4.2はホストライセンス,5.0はScholarPASSというドメインライセンスで,微妙に異なるのだ.4.2を生かしたまま5.0をもインストールしようとすると,4.2に対応したライセンスマネージャ(というプログラム)が5.0のライセンスデータを間違えて読んでしまい「おーいライセンスファイルの形式が変だぞ」と言ってくるようなのだ.といってもこれはまだ推測の話.もうすこし突っ込んで調べないと真の原因はわからない.分かったらきちんとドキュメントにして残すつもりである.そうでなければ,いつか誰かが同じトラブルに巻き込まれて貴重な時間を失うのだ.

  もっとも,このことは現在のコンピュータ技術全体がまだその程度のレベルのものでしかないことを意味しているのではある.外部からノウハウを大量に与えないとまともに使うことすらできない「機械」っていったい何なのだろう?

07月19日
(水曜日)

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 [文献] 読売新聞社社会部編・新潮社発行「会社がなぜ消滅したか」(→「本棚の隅っこ」書評)を再読.もう何回読んだことだろう.巨大な組織の内部からの腐蝕がいかに行われたか,経済に通じていない人にもよく分かるように書かれた本である.何というか,この本に描き出される人間模様は感動的という言葉でも言い表せない何かを感じる.また,支店を閉じるときの様子は,実にさらりと数行で書いてはいるが,涙無しには読めない情景である.

  高校の頃は社会科は世界史を選択していた(地理ではないのである).そこでは,妙に国の「滅亡」というものが好きだった.理由は今でもよく分からない.滅び行くものは美しいとでも思っていたのだろうか.現代における「国」である会社の消滅も,どこか滅び行くもののはかなさを感じさせてなんとも胸をうつ本である.そしてその「滅亡」が,もとをたどれば中枢部の醜悪な欲望や未熟な経営技術に端を発し,さらに保身と隠蔽と問題先送りによってリードされたものであったことは,組織のもつ理不尽さをも強く感じさせてくれるのだ.おすすめの一冊.

07月18日
(火曜日)

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 [研究] ISLSCPという国際共同研究計画がある.その成果として,ISLSCP Initiative Iというデータセットができた.これは1997年と1998年を対象に,全世界を緯度経度ともに1度グリッドできった方眼の各点についての様々な気象データを納めたデータセットである.CD-ROM版だと5枚になる.いろいろな気象シミュレーションにおいて,このデータをもとにモデルのテストを行おうという「標準データ」になっている.

  ISLSCPのデータフォーマットはテキストであるが,これを次世代のモデル間標準インタフェースであるnetCDFにコンバートするプログラムが,オープンソースにて提供されている.早速持ってきて試してみた.結果は見事に失敗.Makefileの書き換えが必要であり,さらにいくつかのプロパティがハードコードされているのでソースごと書き換えが必要である(このあたりはWWWで経緯をまとめているところ).

  もちろん,「よくあること」である.しかし,「またか」という感じも,正直言ってする.こういう移植のテクニックが不要になる日がくればよいのだが,しかし現実には需要はなくならないだろう.

07月17日
(月曜日)

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 [文献][経済・社会] 「日経ビジネス」7月17日号を見てちょっと意外な気がした.そごう問題について編集部の提言があるのだが,債権放棄よりも会社再生法の適用を主張している内容なのだ.つまり民事再生法適用の話は全く出てこない.ということは民事再生法の申請より前に書かれた記事だということになる.雑誌の記事締め切りとはいつなのだろうか,この種の雑誌が反映する「現在」とはいったいいつのことなのか,と考えてしまった.

 [研究] 今日の研究室ミーティングはミッドタームと呼ばれる論文中間発表会で発表する人のリハーサル的なものだった.現在までの研究成果・今後(1年程度)の研究計画をまとめた発表である.何か懐かしいな.私もやらされた覚えがある.当時は目先の面白いことをただひたすら追いかけるだけだったが,今は無意識のうちに少なくとも1年くらいは後のことを考えるようになってしまった.

07月16日
(日曜日)

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 [研究][電子・コンピュータ] SiB2の次世代計画については,名称は適当にGSiB2に決めた.Gはglobalの略のつもりである.ALMAという世界標準(といってもプロポーザル段階?)に準拠するということ,そして2次元化して全球データを一気に取り扱うということの2点をさしている.しかし思ったのだが,既存プロダクト名の最初に「g」や「G」をつけるとなにやらGNUチックでエラくなったような気がしてくる.どうせならソースコードはGPLにしてGNUライブラリに載せてもらうとするか?と他人のコードを弄繰り回す悪い輩(笑).まあもともとSiB2はオープンソースなのだが…

  ところで,当研究室では過去にもSiB2に根本的な改良を加えた人がいる(SiB2-Padというらしい).この改良をすると,水田の表現が上手くできるのだそうだ.ただ気になるのは,そういう改良は世界の「SiB2コミュニティ」にどのように伝えられているのだろうかということである.この種のオープンソースプロダクトにおいては,中心となってバージョン管理する個人なりグループなりがないと後々収拾がつかなくなるものだが,この点はちょっと知りたいと思ったものだ.

 [生活][経済・社会] 世間では皆既月食で大騒ぎをしていた.しかし夜実家から電話で聞くまで全く知らなかった.知らないうちにずいぶん世間とは離れた仙人生活になってしまった(笑).まあ日露戦争を知らなかった長岡半太郎の話もあるけど(←これって実話なのかなぁ?).

07月15日
(土曜日)

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 [生活] 不衛生な話だが,我が家でゴキブリ発見.今シーズンの成虫第一号である.梅雨前はマッチの先くらいの子供しかいなかったのに,ずいぶんと大きくなったものだ…と目を細めている場合ではなかった.

  いまうっかり不衛生と書いてしまったが,ゴキブリがどれだけ衛生上問題があるのかどうかは実は知らない.もしその容姿だけで嫌われているとすれば何か妙な気がする(といっても私自身それほど好きだというわけではないが).

  それはそれとして,ある程度自然保護の世界にディープに足を踏み入れると,深く考えざるを得なくなる質問というものがある.それは「人間にとって気持ちのいい環境や種,そして気持ちのよくない環境や種といったものは,それぞれ”守るべき存在”,”滅びてもしょうがない存在”なのだろうか?」ということ.つまり「守るべき自然とは何か?」という根源的問いにつながるものである.諫早湾でもそうだった.ムツゴロウのユーモラスさは大受けだったが,それではゴカイをキャラクターとして前面に押し出したら,干潟環境を守るべきだという意見は世間に受け入れられただろうか?……と話を大きくする前に,少しは部屋をきれいにしなければならない(苦笑).

07月14日
(金曜日)

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 [研究][電子・コンピュータ] KさんとSiB2改造計画について打ち合わせ.現在はファイル渡しにしている各種入力変数のうちいくつかは省略して,本当に重要なデータのみの入力データセットをもとにして細かいパラメタは内部計算させるつもりらしい.となると入力データはファイルではなくてソケットで与えてしまえば十分なのでは?と一瞬思ったが,結局それでも膨大な量になるのであった.また,内部的にも2次元計算ができないかどうか試してみることにした.なにしろセル間の競争というファクターが将来的には入ってくるのだ.

  また,ALMAとの絡みで,netCDFを大々的に使うことになりそうだ.というわけでソケットを組むということにはこだわらないこととした.

  大げさでもなんでもなく,自分たちが歴史を作っているという自覚を感じるひと時であった.もっともその後,「軽く食事」のはずがもう一人超多忙なはずのKさんまで巻き込んで生ビール6杯?7杯?(もちろん一人当たり)飲んでしまったが,まあいい壮行会には成ったのかもしれない.明日からフル回転である.

07月13日
(木曜日)

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 [経済・社会] 経済界は大揺れ.三共どころの話ではなくなった.経済合理性で選ばれた「国の債権放棄」路線をそごうが(表向きは)自主的に破棄し,民事再生法適用を申請したのだ(このタイプの倒産は,昔の和議の改良版のようなもので,この4月から施行された民事再生法にもとづく.ちなみに再建期間はたったの10年).これまで大型倒産といえば負債数千億というところだったが今回はなんと1兆5千億を軽く越える数字.三共も含めて,経済誌紙の記者はこの1週間仕事に追われてほとんど眠れない日々が続いているだろう.

  勘繰りをするならば,ほっとしているのは三共の関係者かもしれない.経済ニュースはそごう一色で,三共の「お家騒動」なんかに紙面を割いている余裕がない.結果として世間の注目は薄れる.

  はて,何かに似てるな?と思ったら,これは1985年8月に当時史上最大の負債総額を抱えて倒産した三光汽船の例でもそうだったのだ.本来ならば一面トップを飾るような大ニュースなのに(何しろこの会社には政治家が深く絡んでいたのだ),前日に起きたあの日航機墜落事故の陰に隠れて実に小さなニュースになってしまったのだ(なお,同社の倒産は会社更生法の適用によるものだが,実はこの後経営を立て直し,1998年には会社更生法適用の解除を受けている.ちゃんと「更正」したわけだ).

  危機的事態に対したとき,本当の実力がある会社なら,これまでに溜まりまくった膿を一掃するような荒療治ができるだろう.とりあえず三共は,会長の河村氏をその座からひきずりおろした(ただしまだ取締役には残っている.取締役の解任には株主総会の議決やらなにやらが必要だからすぐにはできないとのことだ).ここ1ヶ月は2400円台で横ばいだった株価はこの数日で突然急騰,13日には一時2600円以上の値をつけた.今後さらに根本的な改革はできるだろうか?.武田や山之内のように5000円を軽く越えるような株価になるだろうか?ゼロイチ銘柄としての誇りを取り戻せるだろうか?経済面にすらあまり大きな記事が載らない状態であるが,ちょっと注目していたい.

07月12日
(水曜日)

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 [研究][電子・コンピュータ] GMTというグラフ&地図書きプログラムがある.コマンドライン命令の組み合わせでPostScriptファイルを生成する,いかにもUNIXらしいつくりのプログラム群だ.研究者の間ではよく使われている.しかしそのオプションの組み合わせは難解である.各自がシェルスクリプトを工夫してなんとかしのいでいるようだ.

  これでは初心者にはつらいだろうと考えたので,チュートリアルをとりあえず日本語化してみた.チュートリアルの割にずいぶん説明が簡略なところがあったので適宜(というか相当)補って書いた.ただし実例の図が一つもないのは問題.まあボチボチやっていこう.

07月11日
(火曜日)

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 [研究][水] 日曜日に見た即席湧泉at駒場東大前西口前は完全に消滅.残念である.

 [文献][経済・社会] 昨日買った「日経ビジネス7月10日号で詳しく紹介されていた(ケーススタディ「三共――84歳河村会長、独裁の綻び」)が,抗がん剤クレスチンやドリンク剤リゲインで知られる国内第二位の製薬会社三共が揺れている.84歳の前社長(河村喜典氏)が26年の超長期政権の後会長に退き後進に道を譲った(→プレスリリース参照)のであるが,実はその新社長(高藤鉄雄氏)も70台の高齢で,しかも前社長を師と仰ぐ人.前社長の影響力はちっとも小さくならないとみなされてもしょうがないものだった.もっとも,これだけなら単なる「老害」の話であるが,ややこしいのは前社長の息子さんがどんどん抜擢されて現在取締役になっているという事実だ.

  三共といえば,同族会社が多い日本の製薬会社の中では,それほど同族色がない会社として知られる.上記日経ビジネス誌によると,それを好感してこの会社に入社した社員もいるらしい.しかし前社長が自分の息子を引き上げているという点はそういった流れに水を差すものだ.現会長の退陣要求や世襲批判を書いた怪文書も出回っているということであった.

  …といった話を日経ビジネス誌で読んだその直後,新聞で三共の取締役が逮捕されたという記事を見た.ものすごい偶然である.いや,もしかした偶然でないのかも…さて内容を見ると,ある取締役が顧問に脅迫状を送ったり無言電話をかけるなどして逮捕され,容疑を認めているというものであった.容疑者は,新聞では名前が伏せられていたが,なんと今話題の「現会長の息子」なのであった!(→参考:Yahoo!Newsの当該記事)

  容疑者は,朝日新聞の記事によれば被害者となった会社顧問(同社の御意見番的存在として知られる)が上述怪文書の黒幕だと思い犯行に及んだと供述しているという.本当ならば,何とレベルの低い話なのだろうか.こういう権力闘争・陰謀の世界は,実は安形は大好きなのであるが,それだけに何と幼稚な戦術しかとれないのかと思ったのであった.

07月10日
(月曜日)

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 [研究][水] 昨日見た即席湧泉はまだ残っていた.といっても最大の湧出点が残存するのみであった.アッという間にできてすぐに消えてしまうはかない存在なのであった.静かに流れる水は(昨日は「静かに」ではなかったのであるが),それでも東京の地下に確かに動く水があることを実感させてくれた.

 [研究][電子・コンピュータ] GAME-Tのデータセンタが始動している.といっても実は自前データの整備が追いついていない.したがって簡易版のみを公開した.このあたりを事情をミーティングで発表した.結局DBをたてた方が後々はるかに楽になるのであるので,この際DBサーバを入れようという話もある.Linux+PostgreSQL(6.5.xでいいだろう.7.0にこだわることもあるまい)が一番手ごろなのだが,後任者のことを考えるとSolarisに加えてLinuxまで面倒を見なければならないのは負担かもしれない.結構H/Wの選択は悩ましいところである.

07月09日
(日曜日)

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 [研究][水] 井の頭線駒場東大前駅の西口を下りると,一旦谷底に出る.その北側斜面は東大駒場キャンパスへ登る崖になっている.さて,本日13時ころそこに降り立った私はちょっとした発見をした.その崖のあちこちから水が湧き出ていたのだ.もちろん普段は湧いていないところである.通路の脇の,単なる地面に直径5cm〜20cmの水溜りがいくつも出来て,そこから水が湧いているのである.

  東京の段丘崖湧水はかなり降雨に対するレスポンスが速いと言われている(ただしそれは必ずしも降った雨がすぐ出てくるということを意味するのではない).そうだとするとこの湧泉「出現」は昨日午前まで降りつづいた台風性降雨によるものとみて間違いなさそうだ.となると全都で同様の例が起こっているのではないだろうか.

  駒場キャンパスと西側の駒場小学校の間には常時湧き水があり(下水にしか見えないが),流路が出来ている.また,キャンパスの東はじには,実に行きにくい場所ではあるが一二郎池と俗称される湧き水起源の池がある.今日は駒場小学校側の水しか見なかったが,当然ながらいつもよりはるかに湧出量が多かった.さて,明日はどうなっているだろうか.注目したい.

  ちなみに「一二郎池」とは,本郷の「三四郎池」にちなんだジョーク的命名だ.これまでに駒場を巣立っていった数十万人のうち,いったいどれほどの割合の人がこの池をその目で見たことがあるだろうか?

07月08日
(土曜日)

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 [研究][天気と季節] 台風迫り来る中,学芸大学小泉教授の主宰する自然史ゼミに久しぶりに行った…のは実は昨日.無理やり行ってよかった.実に面白い話を聞けたのだ.で,発表の方とそのまま飲みにいって,そしてもちろん,台風に打たれてずぶ濡れに帰ってきた…のは今日の早朝(といっても一応始発ではなくて終電なのだが).

  どんな話だったかというと,まず主題はPidonia属という昆虫の話.昆虫のことはさっぱり分からないが,鞘翅目と呼ばれるグループ(一般的な用語でいうと「甲虫」らしい)の中の1属で,ヒメハナカミキリと和名では言われる3mm〜15mm程度の小さな虫のことで,分かっているだけで60種以上が日本にいるらしい.で,その虫を数十年追いかけている超マニアがしかも二人来て話をしてくれた.なんでも,その「プロ」(といってもお二人とも会社員なのだが)の目で各種の分布を追いかけてゆくと,北アルプスではいろいろな種の分布境界が八方尾根のあたりにあるのだそうだ.

  ここで小泉ゼミメンバーとしての興味は,自然環境(特に地質)の違い→植物の違い→昆虫の違いというロジックが成立するかどうかだが,特定の種の分布が特定の植物の分布と結びついているという証拠は今のところないらしい.というわけで直接この論理が成り立つかどうかは不明.しかし八方尾根といえば妙な地質(蛇紋岩)に支配された妙な植生があるとしてその道では有名なところ.何か関係があると考えるのが我々としては自然である.

  話は変わるが,この発表を聞いて強く感じたことがある:昆虫の世界では,特定の属を追いかけていくと他の属にまで手を出す時間は全くなくなるようだ.私がなじんでいる植物の世界に比べて,あまりに種の数が多すぎる.というわけでPidoniaを追っている発表者のお二人も,Pidonia属以外はそれほど詳しいわけではないらしい(といっても普通の人々よりよほど多くの知識はあるはずだが).安形的というか小泉ゼミ的というか地理学者的興味から言うと,他の属の研究者も交えて,生物分布境界がどこにあるかというデータのつき合わせをやってみたいものだ.そういう意味の質問をしたら,まあ半ば予想された答えではあったが,他の属の研究者とはなかなか共同研究をやる時間がないとの話であった.全く惜しい.実に見事な研究がたくさんあるはずなのに,埋もれていってしまうのだろうか.

07月07日
(金曜日)

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 [文献][経済・社会] 先月書いた「アトピービジネス」(竹原和彦著,文春新書2000年6月20日発行)を読了.著者は金沢大学医学部の教授で,皮膚科学の立場から,アトピーとは全く「難病」でもなんでもないこと,ステロイド剤が巷間言われるような「悪魔の薬」では毛頭ないこと,著者のいう「アトピービジネス」が,全体としては患者に害をもたらす存在でしかないことを述べ,そして現在アトピーに関する情報が混乱しているその理由を過去のメディア報道を追うことによって解明しようとしている.事実を正しく知ることの重要さを教えてくれる本だ(この本の内容を十分理解した上で,あえて皮膚科にかからず民間療法を受けるというなら,それはそれで患者の自由であるが).

  なお,著者は金沢大学医学部皮膚科のWWWサイトにて,本書に関連した資料を公開している.

 [研究] さて,本書を読んでいくつか感じ入った内容があった.たとえばここまでアトピー治療に関する情報が混乱した理由の一つとして,アトピーとは何かという点について皮膚科に研究の蓄積がなかったため小児科からの厳格食事制限療法に反対する根拠を得られなかったこと(p.40)・皮膚科学界内にアトピーに関する絶対的なオピニオンリーダーが育たなかったこと(p.48,66)を挙げている点だ.これはもって他山の石としなければ行けない問題だ.「水」に関して同様の情報混乱やアヤシゲな民間団体の情報操作(あんど隠れた金儲け)が起こらないと誰が言えるだろう?その時水に関する専門家を自称する人々(つまり私も含む)はどのようにそれに対して有効な反論ができるだろう?

 [文学と言語] そしてある意味で感心したのは,アトピービジネス側の言葉の使い方の巧みさだ.なんと言っても,「好転反応」.この命名センスは凄い.実際は単なる悪化なのに,ステロイドを悪者に仕立て上げることによって,それが最終的に治癒に向かう必要なステップだと信じ込ませてしまうのであるが,そのときこの「好転反応」という言葉が患者に与えるインパクトは大きいであろう.そしてまた,「好転している」という言葉もまた然り.実は悪化なのに「好転して」いる人は統計上たくさん出てくるのだ.やれやれ,各種統計を見るときにはその統計に出てくる言葉の意味をも疑わねばならないことは常識ではあるが,医学でもそういうことは起こっているのか.

07月06日
(木曜日)

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 [文献] 東大生協といくつかの銀行が組んで,CUTE CARDというICカードを作っている.これは銀行のキャッシュカードと生協でのプリペイドカード機能を併せ持ったICカードだ.先日郵送で申し込み,今日書留で届いたカードを見ると,確かにカード中央部分に一辺5mm強の正方形のわずかなふくらみがある.これがチップなのだろうか.裏を見ると,この種のカードでおなじみの磁気書き込み部分がない.一見して,手の込んだ電気仕掛けのカードには見えない.

  ところで,届いて初めて気が付いたのだが,これはデビットカードとしても使えるそうだ.何か恐ろしい.気が付いたら衝動買いの品物が両腕に満載…ってことにはならないだろうか.

07月05日
(水曜日)

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 [ひと][生活] 実家の手伝いで荷物運び.妹の婚礼家具を運ぶ大役のはずだったが,実際にはこれまで使っていて実家が引き取る中古家具を運ぶのであった(えらい違いだ).

 [水] 昼間に単に東京−静岡を往復するだけなのは時間の無駄である.移動は暗いうちにと割り切り,昼間は仕事をした(一応給料取りならば就業時間中はカネになることをやらなくちゃね).いままで調査が行き届いていなかったエリアの湧水調査である.かなりの苦労をして見つけた水は,うち二箇所は完全に取水され,一箇所はほぼ枯渇,しかし一つ(山梨県都留市・夏狩の崖の湧水)は現在も見事なほど大量に湧いていた.泥流堆積物の上に熔岩が載り,その境から湧くもので,しかもそれが川の侵蝕によって出来た崖の途中から落ちているという典型的なL2型であった.

 [研究][水][文献] この水のことを知ったのはなんと大正年間に書かれた文献でである.「水源地トシテノ富士山」という題の長大な論文(「土木学会誌」に収録)には,富士山の周りにあるorあった湧泉のうち代表的なものを紹介している部分があるのだ.それにしても,80年以上前に書かれたこの文章のお世話になるとはなんとも不思議である.現在は夏狩の湧水なんてどの湧水本にも載っていないのだ.

  こういう経験を積むと分かってくること,それは自分の知識や得た知見を一流雑誌(いろいろな図書館に入る)の論文として残すということの重要さである.もしかすると100年後の人にも役立つかもしれない.しかし活字にして残さなければ(もちろん電子媒体でもいいのかもしれないが,電子データの図書館ってどんな感じで整備が進んでいるのかな?),結局は消えてしまう.というわけで現在論文書きにも時間を割きまくっている.

 [水][天気と季節] ちなみに今日も雷と雷雨に遭った.都留市でである.これで5日連続.

07月04日
(火曜日)

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 [研究][天気と季節] 雷がなっている.週末にも長野で雷に遭ったから,これで4日連続である.駒場あたりでは昨日ほど強い雨が降ったわけではないが,梅雨が終わるときには,よく集中豪雨が起きるものである(とくに西日本).1982年7月の長崎水害は187mm/hなる前人未踏の大記録を打ち立てた.子供の頃大好きだった静岡県清水市の路面電車を廃止に追い込んだいわゆる「七夕豪雨」(1974年7月)も梅雨末期で,しかもこの時の梅雨前線は台風の「応援」も受けている.雨は一番強いときで80mm/h以上,24時間雨量は500mmくらいだったらしい.

  さて,今日は赤坂あたりでは地下街浸水被害が生じたらしい.全く知らなかった.これに関して当研究室にコメントを求めにきたTV局があり,助教授がTV出演することになったとのこと.実はこれらは後日知ったのであった.

07月03日
(月曜日)

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 [電子・コンピュータ] perlの世界で軽蔑されることに,「車輪を再発明する」ということがある.これはすでに他人の手によって開発されていた機能を持つコードを,そうとは知らずに自分でもう一度苦労して書いてしまうことだ.これを防ぐためにperlではCPAN(Comprehensive Perl Archive Network)というライブラリ群が用意され,いろいろな機能を持つコードが山積みされている.

  ところが自分でもこの車輪再発明をやってしまった.アカウントのあるユーザ名とそのホームディレクトリをリストするという機能である.これはたとえば,/etc/passwdへのファイルハンドルをPASSWDとすると
while(<PASSWD>){
@user_data=split(/:/); ($user_name, $user_home)=$user_data[0,5];
...
...
}
といった感じになるであろう…と思って先日組んだコードがあった.これ自体はちゃんと動いていたのだが,何のことはない,もうとっくに同じ機能が,しかもperl組み込みとしてあるではないか!

  これはsetpwent(), getpwent(), endpwent()という,システムに近いプログラムを(Cで)やる人にはおなじみの関数が,実はperlにも組み込まれていたのであった.最初からこれを使えばよかったのであった.

  ただし,NISを使っている場合は/etc/passwdより多くの内容がずらずらと引き出されてしまう場合があるので,この関数を使うときには注意.

07月02日
(日曜日)

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 [アウトドア][水] 八ヶ岳方面で調査.滑落一回,かろうじて落石を逃れたのが一回,すぐ近くに落雷が一回(光と音の時間差がなかった)と,実に楽しめる一日だった.それで足の打撲程度で済んでいるのだからなんとも悪運の強いものである.ただし,貧弱な雨具の下で持っていたカメラは,やはりずいぶん濡れてしまい,どうも挙動がおかしくなってしまった.オーバーホールが必要かもしれない.

  さて,途中息抜きに,というか実は昼飯を用意するのを忘れたので里に下りた.ついでにWWWで見た水を見に行った.これは殿様水というもので,昔殿様が旅の途中に飲んで激賞したというよくある言い伝えを持つものである.ところが行って見ると,別のもっと大規模な湧き水が里の近くにあった.大清水という名のその水は,確かにそうとしか呼びようのない大規模なもので,里の近くにこんないい水資源があるとはうらやましいものであった.それにしても,これよりはるかに規模が小さい殿様水をWWWで紹介して,大清水の方を紹介しないのは何か理由があるのだろうか.一応上水道水源だからたくさんの人がくることによる汚染を心配しているのだろうか.

07月01日
(土曜日)

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 [電子・コンピュータ] 占いなんて信じない?まあ私もそうだ.でもそういわずに単なるゲームとして楽しむこともできる占い(それを占いと呼ぶのかどうかは別として)もある.こういう軽いノリの占い(もどき)はWWW向きで,たとえば「家電占い」なんてものがあった.これは生年月日からだけで自分の性格を判断するものである(性別すら聞かれない.まあお遊び企画だということがわかるだろう.しかしこれくらいの気軽さがちょうどいいのかもしれない).さて,私は「家庭用ゲーム機」とのご託宣が下った.内容はこのリンクを見てもらえばいいので省略するが,個人的には結構当たっている気がして,やはりゲームとしてはそこそこ楽しめた.しかしこれ,占いというよりは性格判断では?それも根拠なしに答えられているわけだが,しかし言い方は断定的.系譜としては大ヒットとなった動物占いと同じで,まあこういうふうに他人からずばり自分の性格を言われることを望む人が多いのかもしれない.

 [生活] ボーナスが昨日出た.全く知らなかったのだが,6月のボーナスは6月末に出るのである(給料日と同じだと思い込んでいたのだが,6月の給料日に全く出ていなくて意外に思ったものだ).残念ながらほとんどは借金返済に消えた…

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安形氏にめいる
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