安形氏:研究紹介


各ページの目次

  1. GAME-Tデータセンター
    膨大なそして未整理のデータから,他人が使うことを前提としたデータセットを構築するためには,単なる才能というよりもこういう「データを救う」仕事が好きであることがむしろ必要です.
  2. プログラマーよALMAを目指せ (工事中)
    コード書きとシステム設計に自信があるなら,ぜひ地球気候シミュレーションの世界に足を踏み入れるべきです.現在世界規模で動いているプロジェクトGLASS/ALMAと,それにプログラマがどのように関わるのか,具体的に紹介してゆく予定です.有能なハッカー求む!(でもクラッカーお断り)
  3. プロジェクトGSiB2(仮称) (工事中)
    S GSiB2とはGNU SiB2のこと…なわけがありません.しかし一文字目にgやらGやらをつけると内容はともかくとして格が上がったような気になります(笑).SiB2という代表的な植生水文陸面モデルを抜本的に改造して,2次元化およびALMAへの対応を果たそうという野心的なプロジェクト(でも超突貫工事)です.もしかすると全部が終わってからでないと文章を書くひまがないかも…
  4. 水文地形学のページ
    (おっといけない,未完成です)
  5. 書籍「水文地形学」の紹介
    ホットな分野「水文地形学」に関する日本最初の成書(古今書院発行)の紹介です.実は私も著者の一人.私を通して安く手に入れることもできます.
  6. 研究業績,など
    はっきり言ってムズカシイ.同業の方以外は読まない方がいいかも….ただし末尾には巨樹ヲタク必見の内容があります.
  7. 宗谷計画
    福井大学田中幸哉さんとの共同研究.その目的・内容・成果を紹介…のはずだけどまだ工事中.
  8. 名水大全
    趣味半分・研究半分で集めまくった全国の湧水情報です.頻繁にアップデートを重ねているため,なかなか他のページに手が回りません(泣).それだけリキが入ったページというわけで,一見の価値はあると自負しています.ちなみに筆者の博士論文のネタは,このデータベースを作っているときに思いついたものです.

安形氏はどんな研究をしている?

CRESTプロジェクト「人間活動の影響を考慮した広域水循環水資源モデルの構築」
naturalな水の動きをシミュレートすることは近年だいぶ進んできましたが,realな水の動きはそれに人間活動の影響が色濃く反映されます.ダム然り,灌漑然り.しかしながら自然系のモデルと人文系のモデルはうまく統合されてきませんでした.安形が居候させてもらっているCRESTプロジェクトは,両方の立場の研究者を一つの場に集めてコラボレートさせ,最終的に自然人文両方の成分を反映した広域水循環水資源モデルをつくるのが目的のもので,モデルくっつけ人(モデルの仲人)が私の役目です.ちなみに,最終プロダクトとなるモデルの名前はMANDALAと勝手に(笑)決定.  
世界水資源データアーカイブ
虫明・沖研プレゼンツ世界水資源アーカイブは,2000年度の修士論文で行われた内容を過激にパワーアップしたものです.全世界を0.5度グリッドに区切った格子(陸上のみで約8万点)ごとに,陸面モデル実験プロジェクトGSWPの結果とデジタル河道網データTRIPをつかって河川流量を算定し,World Resources Institute(WRI)の国別水使用量データとCIESIN人口マップおよびドイツ・カッセル大学の世界灌漑マップからグリッドごとの水使用量を割り出し(←ここが強引であることは確かですが…),水危機度評価を行なったものです.ついでに将来予測までやっています.これは国連の人口予測と東京大学気候システム研究センター国立環境研共同開発の気候シミュレーション(CO2倍増時)結果とから2025年,2050年の水資源と水危機に関するマップを作ったものです.  
GAME-Tデータベース
1990年代から日本の研究者による熱帯アジアでの水文・気象観測プロジェクトがボチボチと始まっていましたが,それが一気に進展したのがGAME-T.特に1998年は集中観測期間(IOP)として膨大なデータが集まりました. しかしその後数年,それらのデータは統一された形で整理されないまま半ば眠った状態でした. こういう埋もれかけたデータを見ると眼がランランと輝いてくる(笑)のがこの私. あちこちに散らばっているデータをかき集め,公開の場を作り,さらにデータを募集し…とやっているうちに自然とGAME-Tデータセンターが出来上がり,2002年春にはCD-ROMまで作成しました.  
ALMA
ALMAは,陸面植生水文モデル(LSM)の入出力に関する統一規格で,In/OutともにnetCDF(上位規格はGDT1.2)で書き出そうというものです.世界的によくつかわれるSiB2をALMA対応に改造し,チャオプラヤ川における土地利用変化シナリオを与えたシミュレーションを行いました.  
 

安形氏はどんな研究をしていた?

 結論から言えば, 「水文学」と 「水文地形学」 というのをやっています.ところで「水文学」って読めます?みんな「天文学」は 読めるのに「水文学」って読めないんですよね.というわけでヒントを言ってしまいましたが, そう,これは「すいもんがく」と読みます. 自然界の水の動き・量を調べる学問です.簡単そうなのですがこれがなかなか一筋縄では 行きません.たとえば,
「川の上流で降った雨は必ず下流に来るか?」
なんて面と向かって問われたらこれは結構難しい質問なのです.これに関して,私は「山を越えて流れる地下水」というものに注目しているわけです.さて,地下水というとどうやって調べるのか疑問に思われるのではないでしょうか.私は主に「労せずして地下水に触れられる」湧き水を中心に調べています.湧き水はどこからくるのか?どこにどのくらいの地下水があるのか?地下水を維持する機構とはどのようにして出来上がり,どのような地域性を持つのか?それが安形の博士論文の背景となりました.ついでにいうと,全国の名水に着目した「名水大全」というWWWリソースを管理するまでに至りました.

 じつは博士論文はこの名水大全を作っているときに気づいたことから発展したものです(もちろん基本路線については指導教官のアドヴァイスは受けていますが).博士論文「成層火山体の地形発達と湧水湧出プロセスの変化過程」は全文公開(PDF)しています.

 そして「水文地形学」(すいもんちけいがく,です.念のため)となると ますます分かり難いと思いますが,これは「豪雨の時に山が崩れる」など, 水の動きによって地形が変化することが多いのですが,なぜ変化する・どれくらい変化する・どれくらい頻繁に変化する・そこにどういう現象が介在している…などなどを調べるまだまだ若い学問分野です.詳しいことは以下のページを…と言いたいところですがまだ未完成なので,我が国最初の成書「水文地形学」(古今書院刊,内容はこのページを参照)をご覧ください.私と福井大学の田中幸哉さんは,岩石の違いによる地形の違いが日本で最もはっきりしている(たぶん)北海道宗谷丘陵で集中的な調査を行っています.これについては宗谷計画のページをご覧ください…とこれも言いたいところですがこれまた工事中だったりします.とほほのほ

 あと一つ,これは研究ではないのですが,安形は一時プロのコンピュータ屋になりかけたころがあります.いろいろな会社で腕を磨いてきました.特に印象深いのが,世界で数社しかできない超大規模シミュレーションをやっている会社で,パワープログラマにとってはパラダイスのようなところでした.実はフロムエーというお気楽仕事探し雑誌を見て軽い気持ちで入ったのですが,入社後数日でこれはとてつもない会社だと気が付いたものです(こういうヘヴィな会社は求人広告をTech Beingに載せるものだと思いませんか?いや,実は載せていたらしいのだけど私は買ったことがないのです.フロムエーのほうには「楽しい会社です」としか書いてありませんでした(笑).しかしそれ自体はウソではありませんでした).結局1年ちょっといてずいぶんと鍛えられました.得意分野はC/C++, VB, FORTRAN, shのスクリプト,各種コンパイラのオプションいじりと最適化,並列処理などです.


安形氏紹介のページへ| リンクのページへ

安形氏ホームページへ戻る


htmllintにてチェック済み(1998.2.20)

agata@k.u-tokyo.ac.jp