当研究室WWWリソースにGAME-Tというところがあります.GAMEとはGEWEX Asian Monsoon Experimentのことで,Tは熱帯(Tropic)の意味です.で,GEWEXとはGlobal Energy and Water Cycle Experimentのことで,GEWEX自体はWMOのWCRPの中の1プロジェクトで…とひたすら略語のオンパレードになりますが,まあ詳しいことは置いといて,GAME-Tとは要するにアジア熱帯域の気象・水循環を調べるプロジェクトのことだと思ってください.主なフィールドは東南アジア,特にタイ王国で,もちろんタイの研究者がたくさん活動していますが,日本の研究者も相当リキを入れて研究・組織作り・観測等を行っています.
さて,GAME-Tについてはたくさんのデータが溜まってきました.筆者安形は2000年から東大生産研虫明沖研−GAME-Tデータ収集班のアジトみたいなところ−にPDとして配属されたのですが,その折にGAME-Tデータをうまい形で公開する業務をやってみないかと打診されました.
そこで,まずはどのようなデータがInternet上で公開or紹介されているのか調べてみました.以下にかいつまんで,その途中結果を紹介します.
なお,世の中にはInternet公開されていないデータセットが実はたくさんあり,DLTなどの形で眠っているようです.これらの公開をどのように行なうか(そもそも公開できるのか)については今後考えなければならないものです.
おっと上で紹介したページ.この中で燦然と光るのが,「GAME-T DAAC」という冒頭のリンク.ただし,「(Not Available Now: You can browse from June 2000) 」とも書いてあります.DAACとは何かって?その説明はこの下のGAIN-HUB紹介のところにあります.
他の内容は,ワークショップ案内やプロシーディング/研究活動報告/各種リンクなどです.
主に日本語によるMLです.まさか入っていないとは言わせませんぞ(笑).興味ある人はすぐに入りましょう.入り方は上記ページに書いてあります.
ちなみにMLに入っていなくても,最近の投稿記事なら上記ページから読めます.
GAIN=GAME Archive and Information Network のハブとなっているデー タセンタ.気象庁の気象研究所内のサイトです.このハブの周りにDAAC=Distributed Active Archive Centerを置く構想となっています.もちろん虫明・沖研もDAACの一つです.
このハブでは各種GAMEデータを集め,できるだけ統一された方法で紹介して います.さて,GAME-Tに関しては,4ページ
が用意されています.各ページで紹介されているデータは,それぞれ,
となっています(EGAT=The Electricity Generating Authority of Thailand).
それぞれのデータは,ほぼ統一された形で紹介されています.紹介されているデータ属性のうち,この「Processing Level」は重要です.詳しい説明はこのサイトの解説ページに譲りますが,
のようになっています.他にデータ品質管理項目もあります.
さて,このサイトでGAME-TのDAACも紹介されています.それは http://gain-hub.mri-jma.go.jp/Tropics2a_daac.htm と http://gain-hub.mri-jma.go.jp/Current_GAIN.htm です.ただしやたら「Not available now」が目立って残念です(当研究室のものも多い.今後頑張ります).あと,リンク切れが多少あります.
満を持して登場?のGAME-T DAAC.ただしまだまだ不十分なところがあり,ほぼ毎日更新中です.2001年6月までは,データは原則としてGAMEコミュニティ内にのみオープンです.
正式なクレジットはないけど,多分京大防災研の立川康人氏がメンテ.もう一つ,
http://rdp.dpri.kyoto-u.ac.jp/game/thaidata/old/game-t.html
というページもあるけどこちらはメンテ対象外でしょう.
データの内容は
で,*.tar.gzや*.gzが多いです.
京大超高層電波研究センターの荻野慎也氏がメンテ.Rawinsonde観測データが *.tar.gzで取得できます.
ftp(パスワードが必要!)でアクセスします.その方法や説明が書いてあるWWWリソースです.が,パスワードまでは書いていません.注意.
現在どこまでのデータが揃っているかが
http://rasc5.kurasc.kyoto-u.ac.jp/~ogino/game-t/archive_status.html
に書いてあるので便利です.
ちなみに「Quick Look」
http://rasc5.kurasc.kyoto-u.ac.jp/radar-group/members/ogino/game-t/qlook.html
というページもあるけど中身は見えません(消されている?).大量の画像が
http://rasc5.kurasc.kyoto-u.ac.jp/radar-group/members/ogino/game-t/image/
で見つかるのですが,説明は一切なし.画像だけ見て想像を膨らませるのも一興?
また略語が出ました(笑).AAN=Asian Automatic Weather Station Networkです.GAME(熱帯に限らずGAMEが対象とする全地域)の実測気象データをがんがん集めようというわけですね.
GAME-Tを代表する3フラックス観測点(EGATタワー,KogMa森林,Sukhothai水田)の30分〜1時間フラックスデータが入っているor入る予定です.
重要!:AANのデータは,観測後ある程度時間がたったものは一般公開(といってももちろん学術的使用のみ),ちょっと新しいものは観測参加者のみに公開です.一般公開のデータを使う場合にも,必ずデータ公開ポリシを熟読し,その指示に従ってください.:
ちなみに陸域環境研究センターとは聞きなれない名前かもしれませんが,かの有名な水理実験センターが改称したものです.
NOAA/AVHRR・Landsat/TM・JERS1/SAR・JERS1/OPSについての詳しい説明とデータ取得方法,EGATタワー周辺の土地分類図,そして各種RSデータへのリンク集があります.
EGATタワー周辺のリモセンデータや画像が取得できるようになるようです.内容は:
となっています(2000年5月11日現在).
東京工業大蔵治氏率いるパーティとRFDの共同研究.タイ北部雨量観測点は従来あまり山の中になかったのですが,このプロジェクトでは標高2500m以上にわたるまでいろいろな場所に雨量計を設置して観測を行っています.dailyとmonthlyが入手できます.
タイ東北部,シリキットダム近くのクワエノイ川流域(約4800km2)で水文観測が1996〜2000年の5年間にわたって行われました.チームリーダの中根氏がその紹介をしています(題は「熱帯域における観測に基づく水文素過程の観測解明」).現在データ公開に向けて準備中だそうです.期待しましょう.
千葉大環境リモートセンシング研究センター センサ/大気放射研究部門のDARFより.
dailyのMPL(マイクロパルスライダー)画像があります.取っている場所は千葉大・筑波MRI・そしてスコタイです.期間は1997年初から1999年5月末まで.毎日あるとは限りません.(2000年5月11日現在)
千葉大環境リモートセンシング研究センター 大気放射研究分野のサイトより.
シサムロンでの放射観測結果があります.Anonymous FTPです.
筑波大陸域環境研究センターのFTP.
EGATタワーでのゾンデ観測データ(99年2月15日〜3月3日)があります.Anonymous FTPです.
後日記:GAME-Tデータセンタ内にコピーを作りました.この際,インデクスをHTML TABLE化しました.
郵政省通信総合研究所のウィンドプロファイラページより.ウィンドプロファイラとは同研究所が開発した,上空の風をモニタできる装置.
東京・バンコクKMITL(モンクット王工科大学ラカバン校)でのデータがあります(2000年6月5日現在,バンコクのもののみ閲覧可能).各月各日のデータ(テキスト)が別々のファイルになっているため,まとめて全部取りたいという方のために圧縮ファイルが用意されていますが,正式な公開版はあくまでも各日のテキストデータのほうです.
東大生産研 沖大幹氏のサイトより.プロジェクト中枢の研究者ならではのリソースや各種リンクがあります.
東京農工大学農学部 白木克繁氏のサイト内にあります.Kog MaとMae Chaemでの観測に関する情報です.オリジナルデータがあるかどうかはまだ全部は見ていないので不明.
冒頭に「GAME-Tは大きなプロジェクトで,自分はあまり多くは知らない」云々と(英語で)あります.もちろん私もまだ多くを知っていはいません.何しろ大きなプロジェクトで,全貌をつかむのは大変です.だからこそ「ここを見ればおおよそ分かる」というデータセンターが必要になるのです.
東京農工大大気環境学研究室のサイトより.スコタイ水田基地での観測記録.写真を多用しています.
筑波大学 生物資源学類 西田顕郎氏 のWWWリソース中に,タイのサイトの紹介があります.内容は:
となっています.