Matrosov,et al 2007 

Baldini 2006

 

Collocated Radar and Radiosonde Observations of a Double-Brightband Melting Layer in Northern California

Brooks E. Martner,  Paul J. Neiman, and Allen B. White

Monthly Weather Review  
Volume 135, Issue 5 (May 2007) pp. 2016–2024
DOI: 10.1175/MWR3383.1

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (1.45M) ]

同時に2本観測されたブライトバンド(融解層)を調査。4/1’8

2本のブライトバンドは強い逆転層があるときに見られる。

レーダとゾンデを組み合わせて、ブライトバンドの場所と時間を同定した。

2層の融解層【原因】と、2層のブライトバンド【結果】を記述した。4/4’8

融解層が2層あるのは珍しい現象である。融解層の自動判断アルゴリズムを今回のケースに適用した。

現業で用いている手法では下層の融解層しか抽出できなかった。調整を行ったところ同時に2層の融解層を検出できた。

4/7’8

 

Validation and Development of Melting Layer Models Using Constraints by Active/Passive Microwave Observations of Rain and the Wind-Roughened Ocean Surface

Shannon T. Brown and Christopher S. Ruf

Journal of Atmospheric and Oceanic Technology  
Volume 24, Issue 4 (April 2007) pp. 543–563
DOI: 10.1175/JTECH1993.1

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (1.32M) ]

航空機搭載の2波長レーダ、10.7Gの放射計を用いて、融解層の構造を調べた。γ分布による粒径分布を推定するために、

Ku/Kaの反射強度因子を利用した。4/8’8

 

 

A Polarimetric Radar Approach to Identify Rain, Melting-Layer, and Snow Regions for Applying Corrections to Vertical Profiles of Reflectivity

Sergey Y. Matrosov,  Kurt A. Clark, and David E. Kingsmill

Journal of Applied Meteorology and Climatology  
Volume 46, Issue 2 (February 2007) pp. 154–166
DOI: 10.1175/JAM2508.1

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (1.09M) ]

下層で雪、霙を含んでいる場合の、降水量推定手法の検討。PPI観測を行っている現業レーダでは、遠方で融解層周辺を

観測することがある。その場合にも定量観測が可能なように鉛直レーダを用いて補正する。

雨雪の判別に直交相関係数ρhvを活用。ρhvは降水タイプのよい判別指標である。

融解層の判定はゾンデ観測による0℃高度の周辺100200mにρhvを用いて行った。

NOAAX帯レーダ展開にあわせてシラネバダ山脈で観測した。4/18’8

 

レーダによる積分降水量の測定にかなりの改善が見られた。VPR(vertical-profile-of-reflectivity)を利用した場合、地上雨量計のみの推定に比べて、標準偏差が65%となった。偏波機能を持つXレーダを用いると降水量推定の標準偏差を大体1/2に抑えることができる。

1.イントロ

<p155L>PPI観測で遠方では雪や霙を観測する。そこでVPRを用いる。これまでの手法は(Andrieu and Creutin 1995Bellon et al. 2005<0806>)上空の反射強度を地上の反射強度に平均的に関連付けたものである。この手法はたとえばKoistinen1991(24回レーダ気象会議)が示したように100km以内の降水量推定精度を向上させる。本研究の特徴はXの偏波を用いて、BBの場所と幅を直接探査することにある。

<イントロ最後>いったん、Zの鉛直分布と融解層高度から地上での反射強度を見積もって、<地上での>平均反射強度値から、地上降水量を見積もる。

 

4.VPR手法の適用例

<p161R>ブライトバンドの高度を見つける。

モデル分布(線形で仮定した強度分布)を用意して、上空の反射強度から地上の反射強度を推定する。9/28’8

 

5.VPR手法の効果

<P164l末尾>2乗誤差平均によれば補正前65%であったが補正後32%へと改善された。10/15’8

 

Identification of the Melting Layer through Dual-Polarization Radar Measurements at Vertical Incidence

Luca Baldini and Eugenio Gorgucci

Journal of Atmospheric and Oceanic Technology  
Volume 23, Issue 6 (June 2006) pp. 829–839
DOI: 10.1175/JTECH1884.1

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (1.19M) ]

 

0710 0701概要のみ

1:Zの分散とHH,VVの相関、規格化した速度の分散で、融解層を表している。4/24’8

1.イントロ

融解層の調査は近年、調査対象として復活してきた。

レーダによる定量観測に関与しているので。( Smyth and Illingworth 1998)

降水粒子のタイプわけ(Liu and Chandrasekar 2000)

0℃等温層の検出(White et al. 2002, Brandes and Ikeda 2004)

衛星から測定した降水量の評価(Marzano and Bauer 2001、TRMMの2A54を利用)4/23’8

レーダ観測では、融解層は反射強度因子の増大として特徴付けられる。Wills and Heymsfield (1989)によれば、融解過程はブライトバンドよりも上空で始まっており、反射強度因子の最大値は、0℃より暖かい領域で、いくつかの湿った凝集粒子によってもたらされている。だから、融解層の特徴は0℃高度と関連している。4/28’8

鉛直レーダは融解層を含めた降水現象の研究に用いられており、直接観測による粒径分布(DSD(Bartharzy et al. 1998) に新たな知見を加えた。反射強度因子、平均ドップラ速度、偏波観測は融解層の研究に用いられており、大気の動きが無視できる場合は、ドップラ速度は反射強度で重みづけられた粒子の落下速度を測定している。4/29’8

ドップラ技術は70年代に融解層内および融解層より下の粒子分布を測定するのに用いられた(Joss and Waldvogel 1970)。ドップラ観測における、落下速度の急増は融解層を見つけるのに用いることが出来る。まったく同じような振る舞いをドップラスペクトルの幅について見ることが出来る。つまり、(融解後、さまざまな粒径の雨滴が出来)終端速度の幅が広がることによってドップラスペクトルの幅が広がる。White(2002)は反射強度因子とドップラ速度を組み合わせることによって、ブライトバンドの、しっかりした(robust)抽出法方を考えた。

Zrnic(1994)は融解層を調査するのに、二重偏波レーダを鉛直照射して用いることを提案した。また、よく知られているように、偏波レーダで反射強度の差や、位相のずれが生じるのは、対象の非均一性によるので、そのような観測は水平照射で扁平となっている粒子に対して用いられる。レーダの仰角が上がれば、粒子は球形に見えてくる。したがって偏波間の差は小さくなる。そこでZrnic(1994)は同軸相関係数と線形偏波比を提案した。これらの変数は、粒子の向き、形、大きさ、熱力学的特性の変化に敏感であり、同軸相関係数は融解層を見つけるのに有効である。これは雨や雪の場合は相関が1であるが、混合状態や融解状態では1より小さい値を示すからである。5/1’8

そのような関係は、低い仰角でも見ることが出来る(Illingworth and Caylor 1991; Brandes and Ikeda 2004)。最近ではMoisseev at al. 2004が、融解層内で発生する併合・分裂について同軸解析・交差軸解析に基づく新しい変数を提案している。

この論文では偏波観測の2次解析値、すなわち、偏波強度差、偏波位相差に基づいた、融解層の特徴を解析するような手法を提案する。この2次解析値を用いた手法は偏波観測の分散が大きくなる、融解層でこそ可能になる手法である。この手法はたとえ対流が発生していても、融解層を探知できるほどしっかりとした(robust)ものである。5/2’8

本論文の構成は、次のとおりである。2章で二重偏波観測と2次統計について記述する。3章では融解層を判定し特徴付けをおこうなうための一般的な技術について記載する。4章では、従来の手法と今回開発した手法の比較を行う。2004年にローマで観測された2降雨が対象である。5章では、主な結果と結論を述べる。

 

2.レーダ観測と2次統計

Zdrやφdpの分散を活用する。

|ρco|の説明はp830.ρco(共軸相関係数)自体は複素数。S帯では位相角のずれ(δco)は無視できるがC帯あるいはそれより短い波長では無視できない。特に大粒子がある場合に位相ずれが発生する【ほぼφdp】。ShhSvvは散乱マトリクスの直交成分。Sのイメージとしては散乱断面積。共軸相関係数はShhD,β)とSvvD,β)の相関係数【ほぼρHV、粒径毎に積を取るのでρHVと異なるのだろう】。

添え字でhvと書かれていたら、vで発射してhで受信を意味する。またSD(粒径)とβ(粒径形状係数)の関数である。βについては、Gorgucci et al. 2000を参考にすると、β=dr/dDである。ここで、rは軸比であり、semimajor axis a(半長径:長軸の半分の長さ)÷semiminor axis b(半短径)で求めることができる。よく用いられる軸比の式:b/a=1.03-0.062Dであればβ=0.062となる。

 

|ρco|を求めるにあたり、1)パワースペクトルはガウス分布を仮定、2)(2l1)Tsのラグ相関を利用している。Tsはパルス繰り返し数でドップラスペクトルの幅と|ρco|の積で表現できる(と仮定している?)

最初の仮定は共軸の利得で規格化した自己相関係数は偏波に対して普遍で、平均速度vとスペクトル幅σvで表現できる。

【パルス毎に相関のイメージ?6/14’10

1.融解層の存在を鉛直分布で解析する手法

3で典型的なZとVの鉛直分布を示す。この章ではZdrとφdpを用いた融解層判定について述べる。また、他のパラメータを用いた場合も示す。

a.Zdrによる手法

融解層では散乱が等方的でなくなり|ρco|が小さくなるので、これに対応してσ(Zdr)は大きくなる。【?Vレーダではないのか?】高度は曲率のピークで求める。図1はσ(Zdr)と|ρco|とσvnの関係を示し、前述の関係が示される6/9’10

c.Z

ブライトバンドの同定の仕方についてレビュー。反射強度因子を用いた場合は、極大値高度H0をまず求めて、その上下でZの曲率の大きいところをブライトバンド頂と底にする。FZ1995によれば降雨の終わりのほうではBBの検出が難しい。また、頂と底が極大値の高度より200-700m以内に見つけることができないと、計算は失敗する。

d. 平均落下速度

ブライトバンドの上下で落下速度は一定と仮定する。Klaassen(1988)の手法でブライトバンド底がわかる。ブライトバンド底の高度は平均落下速度が最大値と0.5m/sだけ違う高度で求める。代表的な高度はブライトバンド底より上でドップラ速度の傾きが最少である高度で求める。ブライトバンドの頂は曲率の最大値で求める5/7’8.

f.反射強度因子の標準偏差に基づく方法

(13)式、(8)式でのべたようにσ(Zh)〔ある時間内でのZhの自己相関〕はσvに関連している。雪が観測されているσvの小さいところではZの変化が小さいからσ(Zh)は大きくなるし、雨はσvが大きくなるからσ(Zh)は小さくなる。そこでσ(Zh)の曲率を調べれば融解層の上下端がわかる。ただし、ノイズが大きいので解析には多くのデータが必要である5/14’8

4.実験の結果

a.データの詳細

用いた偏波レーダは、偏波切替方式のコヒーレントドップラレーダで、ドップラ速度のスペクトルを観測できる【詳細はERAD2002の予稿集。DNDのように偏波とドップラは共存できない模様、30秒で切り替えている】6/10’10

 

 

b.観測された、融解層の信号

4aのσ(Zdr),σ(φdp)は融解層をよく定義する。Zで求める場合は曲率が大きくないといけない。vは鉛直分布の形が違うのでトップhTや平均高度h0は決めやすいがhBは難しい。

偏波で求めた融解層は反射因子で求めたものより低くなるが、反射因子は融解中の大粒子に反応するのに対し、偏波の分散は大粒子が破裂して形状のばらつきが大きくなったところで極値が出現する。6/11’10

c.高層データによる検証

【高層観測による0℃高度とZで求めたML高度、Zdrで求めたML高度の比較。層状性の雲は2時間程度、対流性の雲は45分のTH図。乱流が発生しているところでもZdrによるMLは検証できている】

 

5.結論

偏波強度差(Zdr)と偏波位相差(Φdp)はともに媒体の非等方性に敏感であり、仰角の低いところでは粒子が扁平になっているので偏波強度差、偏波位相差を使うことが出来る。仰角が高くなれば、レーダでは球形に見えるので偏波の情報は少なくなる。5/12’8

本研究では鉛直レーダであっても融解層を同定するための技術を開発した。イタリアのレーダで用いられている|ρco|と線形偏波比は有効でなく、偏波強度差(Zdr)と偏波位相差(Φdp)2次成分を用いる。本論文で示した偏波強度差(Zdr)と偏波位相差(Φdp)は共軸相関係数に支配される。降水粒子の形、大きさ、融解度が異なることによって、|ρco|は融解層内で最小値を示す。結果としてZdrとΦdpは最大値となる。大きなデータセットを作れば融解層内の最大値付近で強調された領域が形成されて融解層を見つけることが出来る。今回の観測では、そのような強調領域はレンジビン2から8に対応する150-600m範囲で見られた。平均的に極値はブライトバンドの150m下に位置していた。今回の手法では、ブライトバンドの上端下端、極値の高度はどの様な雨でも検出可能であった。

対流性の雲であっても融解層を同定することが出来る。

ZdrとΦdpは同じ性質を示すので運用ではどちらかひとつを監視することでよいと考える。5/13’8

 

Melting Layer Cloud Observed during R/V Mirai Cruise MR01-K05

Kazuaki Yasunaga,  Kunio Yoneyama,  Hisayuki Kubota,  Hajime Okamoto,  Atsushi Shimizu,  Hiroshi Kumagai,  Masaki Katsumata,  Nobuo Sugimoto, and Ichiro Matsui

Journal of the Atmospheric Sciences  
Volume 63, Issue 11 (November 2006) pp. 3020–3032
DOI: 10.1175/JAS3779.1

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (2.02M) ]

 

気象レーダと水文学

次回は発表を目指す。

MRRによるZR関係式の定数調査の話あり。