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ある条件下において、ミリ波ドップラーレーダを用いて、混合雲の雲物理的特長を調べることができる。ある条件とは、ドップラースペクトルが2極分布を示すときである。これらの条件が満たされれば、明確な水の分布と、明確な氷の分布(mode)について独立にスペクトルの大きさ(moment)を計算することができ,雨滴の粒径分布と雪粒子の粒径分布を定量的に見積もることができる。さらに、雲水のスペクトルの大きさは、晴天時のスペクトルからの痕跡(tracer)であるが、大気の鉛直運動と、氷粒子の落下速度を見積もるために用いることができる。

今回解析した混合雲はNASAによる熱帯のかなとこぐもの巻雲調査計画(CRYSTAL-FACE)における事例である。2002729日に発生した興味深い事例は地上5kmに過冷却の水があり、地上では雪粒子の移流があった。地上観測ではこの雲層内に35GHz、94GHzとも2極分布を示した。レーダ反射強度は雨と雪について独立して求めた。実験で求めた反射強度関係式を水と氷の雲物理変数(水分量や粒子サイズなど)を計算するのに用いている。氷晶は雲頂から4km高度まで広がっているけれど、レーダ観測から雲水の底は5km高度と判断した。これはライダーの観測結果とも一致する。さらにレーダから計算した積分雲水量は放射計から求めた値とよい一致を示した。

本論文ではレーダによる混合雲の同定および定量化の能力を示す。同時に、反射強度に関して、混合雲の氷成分がレーダ信号の中で卓越することが典型であるが、平均ドップラー速度については水成分の寄与が重要であることを示す。高度時間分解能を持つ94GHzのドップラーレーダの観測は雲頂での周期的な上昇流を明らかにして水平風速と組み合わせると、雲の中の水平循環の大きさを与える。

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融解層高度というのは河川の予報者やその他の利用者にとって重大な問題であるので、ドップラーウインドプロファイラからブライトバンド高度を特定する目的志向のアルゴリズムを提出する。アルゴリズムではドップラーの鉛直分布を用いて、反射強度とドップラー速度のそれぞれの鉛直傾度が負の相関を持つ高度で見つけ出す。次に、その高度より上で反射強度の極値を見つけ、ブライトバンド高度として割り当てる。プロファイラがスイングモードのときは天頂方向からずれた方向の強度分布もブライトバンドの観測に用いている。一致試験が1時間以下のデータと時間平均のブライトバンド高度を用いて行われた。レーダで検出したブライトバンドと、ゾンデの温度分布から求めた融解層高度は平均で192mブライトバンドが低かった。アルゴリズムを組み込む方法、インターネット経由でほほ同時刻でデータを公開する方法について記述する。水文的な予測について融解層高度が重要であることをカリフォルニアの山岳域にある流域に対して記述する。融解層高度が2000ft(600m)増えると中程度の24時間降水で流出量が3倍になる。ブライトバンドを監視することが融解層高度を予報し検出する目的に資すると思われる。

 

 

 

JGR

Locatelli and Hobbs 1974

落下速度と質量の測定を異なる固体降水粒子に対して行った。特に注意を払ったのは雲粒付着の効果と凝集の効果が質量と落下速度に与える影響である。調査した粒子について落下速度と最大の大きさの関係、質量と最大の大きさの関係を経験式で表現した。結果を他の実験と比較した。

降水量フラックスは質量と落下速度の積で決まるけれど、大きさと落下速度の関係が十分わかっていない。いくつかの調査はあるが、それぞれの結果は一致しないことが多い。Magono and Lee(1966)によれば降雪粒子は80にも分類できるということなので、雲粒付着や凝集の効果を入れると対象とする粒径はとても幅の広い範囲となる。71/7272/732冬、ワシントンのカスケード山で観測した結果を示す。粒径、雲粒付着、凝集、密度が落下速度と質量に与える影響を考える。

Lump graupel 塊霰(直訳):元の形がわからなくなるまで雲粒が付着したもの。「鰤興し(ブリオコシ)」とともに降るあられ。2005/7/14

 

Method of mental reassembly 頭の中での再構築

 

 

 

「売り」を無理にでも作るために、鉛直方向にデータが取れるので雨雪判別が有効に行うことができる

折笠さんの論文でイントロに用いられている文献

折笠さんは霰を取り出すため、最初に4m/sを霰と雨霙の敷居値として設定している。次に、1.5から4m/s間の降水強度の寄与率が大きい(20%以上)の場合を霰としている。

霰について

Harimaya (1990) 霰形成メカニズムの統計学的研究

Harimaya, T., 1990: A climatological study on the mechanism of graupel formation. J. Fac. Sci., Hokkaido Univ., Ser. VII, 8, 437-447.

Harimaya and Kanemura (1995) 海岸と内陸部を比較し、海岸では雲粒補足成長が重要であった。

——, and N. Kanemura, 1995: Comparison of the riming growth of snow particles between coastal and inland areas. J. Meteor. Soc. Japan, 73, 25-36.

Mizuno(1992) 霰日数や継続時間を用いた時空間的統計

Mizuno, H., 1992: Statistical characteristics of graupel precipitation over the Japan Islands. J. Meteor. Soc. Japan, 70, 115-121.

POSSについて

Sheppard, B. E., 1990: Measurement of raindrop size distributions using a small Doppler radar. J. Atmos. Oceanic Technol., 7, 255-268.

 はじめの文献

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Xバンド連続波による降雨出現感知システム(POSS)で天気だけでなく粒径分布も測定できる。

観測における風の影響を議論した。送信ロスを6㏈と仮定すると、現業の雨量計とよく合う。層雲で測定された粒径分布は0.7mmより大きな直径で負の指数分布を示した。1分平均での分布はいくつかの山がある(multimodal)分布を示した。

Sheppard, and P. I. Joe, 1994: Comparison of raindrop size distribution measurements by a Joss-Waldvogel disdrometer, a PMS 2DG spectrometer, and a POSS Doppler radar. J. Atmos. Oceanic Technol., 11, 874-887.

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 粒径分布の推定

Sheppard, and P. I. Joe, 2000: Automated precipitation detection and typing in winter: A two-year study. J. Atmos. Oceanic Technol., 17, 1493-1507.

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自動判別

4つのセンサーで降水の自動探知の精度を調べた。3つは可視光を1つはマイクロ波を用いた能動的なセンサーである。観測者からの時系列と測器からの時系列を比較する新しい解析方法を提案する。この方法では、観測する降水が発生したとき、異なる手法(人と機械)による観測間隔と応答時間についての誤差を小さくしている。アルゴリズムは人間によるお決まりの(nominal)観測時間周辺に発生する、空き時間に機械で観測したわずかな(minutely:あるいは,1分ごとの)評価値を変換している。

本研究ではこれらの測器について検出の可能性と検出の間違いについて関係式を調べる。測器間の交換条件を調べるのにHeidkeスコアを用いた。それぞれの測器は降水の同定が可能であるということを示し、違いは取扱説明書による。

人が雨と判断したときの判定率はHeidkeスコアでマイクロ波による観測は79%3つの光学式測器は39-40%であった。雪の場合はマイクロ波が63%、光学式が53-71%であった。マイクロ波を用いた複数のパラメータによるアルゴリズムは雪と小雨の分類も向上させる。(8/7’5追記)

霰は対象に無い?

測定精度をHEIDKEスキルで評価した(http://www.aero.obs-mip.fr/map/MAP_wgnum/heidke.html)

予測の的中率を評価するとき、たまたま正解であった個数を除いて計算する手法である。

 

Shiina, T., and K. Muramoto, 2001: Measurement of Z-R relations using a small Doppler radar and image data of snow particles. Proc. IEEE Int. Geoscience and Remote Sensing Symp., 9-13 July 2001, Sydney, Australia, 1993-1995.

 画像データの利用

 

遅い雨粒子と霰の区別が難しい、