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Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (2.08M) ]
0508中段にあり
鉛直分布の構造(vertical profile of reflectivity (VPR))と距離の効果を無視することによって生じる地上でのレーダ雨量の誤差を高分解能の3次元シミュレータを用いて評価した。シミュレータのデータはさまざまな距離・高度を観測したレーダデータを用いた。層状性の降水が33事例あり、250時間以上のブライトバンドの観測があった。これらの事例から補正有り無しの積算雨量を2つの手法を用いて作成した。(a)最も近い、あるいは内部のVPR。(b)強度に依存する「気候値的な」VPR。2乗平均誤差を積分し、誤差は距離と高度で表現した。
100%を超える誤差は、低くて強いブライトバンドがあるときであった。補正を行えば誤差は20%未満になる。対象領域を100km2より大きく、時間平均を45分より長く、ブライトバンド高度を2.5kmより高く、レーダから130km以内の地点を使うとよい。気候的な補正係数を用いると誤差は2倍くらいになる。VPRの補正は空間的に同じ雨が分布していると仮定している。VPRを計算して最大の誤差はブライトバンドの中で発生する。この誤差は、「現実的な気候補正」の大きさに近づくだろう。(計算で見積もった誤差を、気候補正値に加えることで、ブライトバンド高度がわからないことから生じる誤差を補正できる、の意か?)6/6’8
1.イントロ
距離とVPRは互換性がある。
VPRは主にヨーロッパで研究された。
引用文献:
Koistinen, J., 1991: Operational
correction of radar rainfall errors due to the vertical reflectivity
profile. Preprints, 25th Int.
Conf. on Radar Meteorology, Paris, France,
Amer. Meteor.Soc., 91–94.
タイトルから想像すると現業でのレーダの補正の話と思われる。
Joss, J., and R. Lee, 1995: The
application of radar–gauge comparisons to operational precipitation profile
corrections. J. Appl. Meteor., 34, 2612–2630.
適切なプロファイルを地上雨量から作る?
Andrieu, H., and J. D. Creutin, 1995:
Identification of vertical profiles of radar reflectivity for hydrological applications
using an inverse method. Part I: Formulation. J. Appl. Meteor.,34, 225–239.
理論的にBBの強さから、地上降水量を推定するための計算式。遠方でBBが明確に明確に観測的ないことを理論的に考慮する。
レーダによる降水量推定に言及
1.Z-R関係を詳細に決める。
2.地上雨量を元に補正する。レーダ観測の時空間変動を考慮。
3.VPRを考慮。VPRとは最初はBBの値を地上雨量の値と結びつける努力が行われたところから用いられた言葉(Joss&Waldvogel1970)。近年は距離補正のため鉛直分布を用いるために使われた言葉(Smith1990;レーダ気象学会議40回講演)。
Kitchen, H., 1997: Towards improved radar estimates of surface
precipitation at long range. Quart. J. Roy. Meteor. Soc., 123, 145–163.<
The Quarterly Journal of the Royal Meteorological Society >
いくつかの高度のZから地上のRrを求める。
イントロ:ビームが0℃高度を超えたら、レーダ雨量の補正はかなり難しい。氷に対する反射強度プロファイルがかなり変動するからである。変動は、広いスケールから個々のレーダピクセルまで発生する(Kitchen and Jackson1993)。気象レーダの能力としては、Fabry et al.(1992)が融解層より上部について「定量観測は無駄である(futile)。この距離がPPI観測の上限である」
イギリスではレーダは陸域をほとんど覆っているが、最低仰角は1km超え、中心が3km以上も5%くらいある。冬には融解層高度が1kmというのはありえるので、融解層を超えるところでは補正する必要がある。本研究ではこれを長距離補正と呼ぶ。
Kitchen et al.1994に補正法ある。この研究はKBDと呼ぶ。
本研究の目的はKBDによる手法を、複数仰角の観測と強度プロファイルの診断の助けを借りて「遠方で」改良することである。イギリスのレーダは通常4仰角で5kmメッシュで出力している。上空のスキャンを補正に使う手法はHarroldとKitchingman(1975)によって提案された。Zの分布を2仰角で推定する。Chrpenter1983は逆数の求め方を変えた。
Smith1986は類似の手法(ブライトバンド補正のため2仰角を用いる手法)を用いた。
@参照プロファイルの雪の部分の考え方とA参照分布と観測の誤差の算出に特徴あり。Apenulty
functionとして表現。観測が最低仰角で参照分布と一致するように繰り返す。@ブライトバンドの上下端でZの値は同じと仮定して、雪の成長率(下向きのZの増加量)を0℃高度から上2km(a_lower)と、2kmよりさらに上層(a_upper)と分けて考えたところがプロファイルの特徴。解析にチルボルトンを利用。<雪の層は定量観測に使えないと考えられていたので、雪のZを定量観測に利用できるように試みた>
Smyth,
T. J., and A. J. Illingworth, 1998: Radar estimates of rainfall rates at
the ground in bright band and non-bright band events. Quart. J. Roy.
Meteor. Soc., 124, 2417–2434.
2.補正手法
0℃高度をモデルから決める。Zを割ります。観測最低仰角のZが、その距離でのレーダのビームパタンを増幅させることで得られる値と一致するように。<最低仰角を基準にしてプロファイルを拡大・縮小する>この状態で精度は向上する。
次のステップは上の仰角を使うことであるが、前線性の降雨でビームが融解層より上に来た場合には実施しても(Kitchen1997)精度向上は望めない(Fabry
et al1992)。このため定量観測は75km以内に制限される。
代替案としては融解モデルを用いる(hardaker et al1995)。経験から初期の粒径に大きく依存するので、初期の小さな誤差が大きな誤差になってしまう。モデルはあまり役に立たず、観測をたくさん積み上げるほうが良いと思われる。
あられと雪の違いは考慮しており、LDRによって区別する。
あられ:-28≦LDR<-22
雪:-18≦LDR<-12・・<<-22から-18は?>>
Vignal,
B.,, H. Andrieu, and J. D. Creutin, 1999: Identification of vertical
profiles of reflectivity from volume scan radar data. J. Appl. Meteor., 38,
1214–1228.
Zの鉛直方向の変動が、雨量推定には重要である。局所VPRを体積操作観測から抽出して、VPR補正にくわえる。
図12:1.5度の仰角観測RgとRrの比較。A)VPRの補正なし、B)VPR補正、C)局所VPRの影響を補正。レンジを変えてプロット。100km先だとレーダはかなり過小評価するが、補正できる。
Vignal,
B.,, G. Galli, J. Joss, and U. Germann, 2000: Three methods to determine
profiles of reflectivity from volumetric radar data to correct
precipitation estimates. J. Appl. Meteor., 39, 1715–1726.
Zが鉛直方向で変動することが、レーダによる雨量推定の誤差となる。特に、山岳域で。VPRによる補正を用いれば、精度はかなり改善する。VPRの求め方として@気候学的な分布Aレーダの体積探査による分布(スイスの気象状況を考慮する)BVPRの空間変動を考慮する、の3つの手法を提案する。部分標準誤差で評価した観測精度はVPR算出手法を改善するとともに向上する<VPR補正なし→@で誤差が半分、@→Aでさらに誤差が半分、A→Bはもうちょっとよくなる>。精度向上は対流性の降雨より層状性の降雨が、かなり良い。
Germann,
U., and J. Joss, 2002: Mesobeta profiles to extrapolate radar precipitation
measurements above the Alps to the ground
level. J. Appl. Meteor., 41, 542–557.
0508中段:Cバンドのレーダネットワークデータを利用。
図5:対流性の雨と層状性の雨の鉛直分布の違い。観測高度ごとに存在確率PDFを表示。図9はその時間シリーズ。
Mittermaier,
M. P., and A. J. Illingworth, 2003: Comparison of model-derived and
radar-observed freezing-level heights: Implications for vertical
reflectivity profile-correction schemes. Quart. J. Roy. Meteor. Soc., 129,
83–95.
BB補正のために、モデルの予報値を入力した場合の誤差について論じる。
ECMWFの湿球温度0℃高度(WBZ:wet-bulb zone)とチルボルトン(Chilbolton)にある94Gのガリレオ雲レーダのZの増加高度を比較した。雲レーダのZ増加は融解層よりも水に覆われた氷晶(ice particle 雪粒子?)の増加に対応している。
メソモデルの予報値と観測の比較は自乗平均誤差で147m系統的な誤差が15mであり、BB補正手順では200mの差に相当する。この誤差は、等温層の高度推定、寒冷前線の通過時刻の推定に影響を与えるが、それほど深刻ではない。
予測時間の長いモデルでも同様の比較を行ったが、同じ予測時間であれば精度はメソモデルと同等であった。
また、複数仰角観測からBBを検出方法もあるが、今回の研究からは、(理想化された条件であるが)モデルによる抽出精度に及ばなかった。
ブライトバンドの重要性は認識されていたものの、アメリカではレーダの対象が積乱雲となることが多かった。<WSR88D関連>
Fulton,
R. A., J. P. Breidenbach, D.-J. Seo, D. A. Miller, and T.O’Bannon, 1998:
The WSR-88D rainfall algorithm. Wea. Forecasting, 13, 377–395.
降水処理システムと呼ばれる、現業の降雨観測レーダネットワーク(SバンドWSR-88D158機)の仕組み。
Westrick,
K. J., C. F. Mass, and B. A. Colle, 1999: The limitations of the WSR-88D
radar network for quantitative precipitation measurement over the coastal
western United States.
Bull. Amer. Meteor. Soc., 80, 2289–2298.
WSR-88Dの観測範囲の評価。降水観測について、レーダ観測が精度よく観測できる範囲は国土の1/4〜1/3でしかない。
Seo,
D.-J., J. Breidenbach, R. Fulton, D. Miller, and T. O’Bannon, 2000:
Real-time adjustment of range-dependent biases in WSR-88D rainfall
estimates due to nonuniform vertical profile of reflectivity. J.
Hydrometeor., 1, 222–240.
0810
Vignal,
B., and W. F. Krajewski, 2001: Large-sample evaluation of two methods to
correct range-dependent error for WSR-88D rainfall estimates. J.
Hydrometeor., 2, 490–504.
鉛直方向のZの変動は降水観測のエラーの原因となる。この誤差はVPRがわかると小さくすることができる。WSR88Dを用いて次の2つの手法のVPRを求めた。
1.スイスの気象局で用いられている、レーダ近傍での体積観測探査から求める手法
2.近傍の分布を考慮して空間変動を逆値問題として取り込む手法
両者はどちらも良い結果を示すが、2のほうが総じて良い補正結果を示した。ただし、計算資源が必要である。
Kitchen et al. (1994)はピクセルごとに理想化したVPRをレーダ、地上観測、衛星観測を組み合わせて求めた。この手法は、気候値に基づく分類では対流性に当てはめられる雲でも、正確に層状性と分類する。
BBの影響についてはFabryらの定量評価結果がある。
Fabry, G. L. Austin, and D. Tees, 1992: The accuracy of rainfall
estimates by radar as a function of range. Quart. J. Roy. Meteor. Soc.,
118, 435–453.
VPRの距離依存性を解析して補正マップを作成し、McGillのレーダに組み込んでいる。ただし定量評価はしていないので、距離の影響(VPRの影響)とその他の影響(減衰、地上雨量計との誤差、粒径の変化など)を区別していない。VPRの影響を切り離すことについては2章で述べる。
レーダビームの電力分布を求めてVレーダから、PPIで観測した場合の距離・高度分布を計算。PPI観測の定量観測限界を求めた。
Bellon, A., and A. Kilambi, 1999: Updates to the McGill RAPID
system. Preprints, 29th Int. Conf. on Radar Meteorology, Montreal, QC, Canada, Amer. Meteor. Soc.,
121–124.
VPRによる補正で、観測距離の誤差がすべてなくなるわけではない。それは、VPRはレーダの全覆域のうちいくつかの地点での値で代表されているためである。さらには、雲物理の過程によりVPRが変動する(Fabry
and Zawadzki1995, Bellon2000修論)。
距離が遠くなると、観測最低高度も高くなり、Zの分布も広がるので、誤差が多くなる。<この誤差をシミュレーションによって評価するのが研究の目的である>(10/3’8)
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