流域水文学の領域

水文学の基本的な自然地域単位は流域です。流域水文学では水蒸気の水平輸送の 役割は低くなり、降水として入力された水の領域内における循環、すなわち 流出解析がその中心課題となります。

当研究室では日本の河川の大半を占める中小河川の研究の為の フィールドとしての海老川と、それとの対比という意味でのタイのチャオプラヤ川 の2河川を主な研究対象流域として研究を行っています。

(写真は千葉県船橋市海老川流域に設置された観測施設.)

都市水循環

近年の都市開発は都市と密接な関係を持つ河川に大きな影響を与えています。 市街地の拡大などは不浸透域の増加の原因となり、その結果河川の洪水ピーク 流量の増加、流出時間の短縮化による大規模な洪水現象をおこします。 また都市への人口集中は河川の水質汚濁、基底流量の減少をひきおこしました。
このように、都市化による環境変化は周辺の河川に多大な影響を与えます。そしてその影響の 中には都市に被害をもたらすものも存在します。
このような背景をもとに、当研究室では都市河川流域の 都市化の現状と河川への影響を把握し、都市河川流域の水循環を明らかにする 研究を行っています。

マイクロ波リモートセンシング

表層土壌水分量は大気と陸面の相互過程を考える際もっとも重要な因子であり、 面的な水分量情報が取得されれば相互過程解明にとって非常に有用です。 マイクロ波で計測される後方散乱係数は表層の粗度と土壌水分量に依存するので、 マイクロ波レーダ搭載人工衛星から得られる散乱データを用いれば、広域土壌水分量を計測する手段として の利用が期待されます。
当研究室ではCバンド・マイクロ波散乱計を用いて室外実験と野外実験の両方を行い、土壌の散乱の特徴を 計測しています。 そしてこのような地上での基礎的実験研究と、衛星による能動型マイクロ波RSの表層土壌水分の計測との 検証実験を行っています。

水循環数値解析モデル

水循環数値解析モデルとは、大気・地表面・地中における実際の水循環を物理的な数式に与え、近似的に 表現したものです。 これらのモデルはGIS・リモートセンシング等の最新の技術を利用し、主にコンピュータによる数値的に 計算を行います。 水循環数値モデルを使うことにより、洪水・渇水の予測・再現・評価を行い、水循環の時空間にわたる 全体像を把握することが可能になります。