![]() |
![]() (写真:前日までの大雨で早明浦ダムから放流が続く) |
ダムの概要
早明浦ダムは、建設省から建設途中で水資源開発公団に管理が移り、
1976年に完成しました。
洪水調節・維持用水の確保・新規用水開発・発電を目的とした多目的ダムです。
有効貯水容量は、2億8900万トンで、奥只見・田子倉・御母衣に次ぐ全国第4位です。
この、有効貯水容量を集水面積(472km2)でわると、約600ミリ相当になります。(一方、この地域の降水量は年間3000ミリに達します)。
また、形式は重力式コンクリート、堤高は106mとなっています。
新規用水開発
早明浦ダムは、年間に8億6300万トンの新規用水を開発して、
四国四県に分配しています。
その内訳は、徳島県に4億1000万トン、
香川県に2億7000万トン、
高知県に3900万トン、
愛媛県に1億6700万トンとなっています。
香川県には、下流の池田ダムから取水される香川用水により、
高知県には、早明浦ダム上流から取水される高知用水により、
分配されています。
愛媛県の取水分は、銅山川(吉野川支流)からのもので、
取水により通常は、銅山川から吉野川には水が流れません。
この分を、早明浦ダムからの維持用水(毎秒15トンから43トン、灌漑期には増加)で補っています。
洪水調節機能
この地点の計画高水容量は、毎秒4700トンであり、
うち2700トンを早明浦ダムが調節し
最大で2000トンの水を放流します。
見学の前日(2000年7月31日)までの数日間、台風6号により、
300ミリ近い大雨が降ったために、ダムの貯水容量が9160万トン(※
集水面積でわると190ミリ相当)増えました。
この間の最大流入量は毎秒1470トン、最大放流量は毎秒1009トン
に達しました。
見学時には、台風の影響による雨はあがっていましたが、
毎秒280トンほどの放流が行われていました。
この大雨の直前までは、渇水問題が深刻だったようです。
濁水の問題
早明浦ダムでは、他のダムに比べてもとくに、濁水が問題になっています。
この付近の水は、緑色に見えます
。
濁水の原因として、周辺の山からの土砂が大規模な洪水時に流れ出ることが
考えられますが、
その他にも、60ミクロン以下という微少物質が、中小規模の洪水で
流される「渇水濁水」といわれるものが指摘されています。
環境保全・住民との交流
周囲の環境対策、濁水対策の一環として、植林を進める「グリーンベルト事業」
(写真)
がおこなわれています。
また、香川や徳島の中学生などを招くなど、下流部と水源地との交流がすすめられています。