読むほどに学問したくなる『東大教授』(新潮新書、2014年)

2014年
3月15日
発売

Professor at The University of Tokyo

	『東大教授』	本ページ内リンク

	沖大幹著	最新情報
	新潮新書560	内容紹介
	新潮社	目次
	208頁	特徴
	税込756円	オンライン書評等
	2014年3月15日発売	寄せられた感想等
(PDF)	ISBN-10: 4-10-610560-9	正誤表

東京大学 生産技術研究所人間・社会系部門教授沖大幹

書評、紹介より

外部からはうかがい知れない実態を教えてくれる ── 毎日新聞 (3月25日)

読むほどに、新鮮な刺激を受けるのは間違いない ── 夕刊フジ（4月23日）

実体験に基づいた助言も興味深い ── 日本経済新聞（4月27日）

学者という仕事は魅力的であることがよくわかる ── 週刊現代（5月10日）

心に響く言葉が次々に湧き出します ── 池谷裕二、讀賣新聞（5月11日）

内容紹介

本書より...
- 東大生ほどには知られていない東大教授。その特徴、どうすればなれるのか、そもそも、なろうと思ってなれるのか、普段どんな仕事をしているのか、社会的な役割はどうなっているのか、さらには、もし東大教授になれたのなら、何をどうしなければならないのか、どうやって教育研究活動を推進し組織を運営していけばいいのか、その実態の紹介によって、東大教授という職業の魅力が伝わるといいな、と思っています。(13頁)
- 本書は東大教授への道を経糸(たていと)とし、どうすれば瑣事(さじ)にとらわれず達観して知的に生きられるかを緯(よこ)糸(いと)にして構成しようと試みました。第一章では東京大学と東大教授そのものについての概略を、第二章ではどうすれば東大教授になれそうかについて紹介します。そして、専門家としての東大教授、教育者としての東大教授、教育研究事業の経営者としての東大教授について第三章、第四章、第五章で順に述べます。(15頁)
- 本書は知的生産に携わる多くの方々、広く大学業務や様々な形で東大教授と関わる方々、そして、東大教授を目指してもいいかな、と思う若い方々に刺激を感じていただけそうな内容を盛り込むように精一杯心がけました。東大教授になったらどんな風に教育や研究をしようか、国会に呼ばれたりテレビに出たりする際にはどうしよう、などと想像しつつお読みいただくのも愉快かと存じます。どうぞお楽しみください。(16頁)
- 東大教授の中で僕はまだまだ若僧です。まして、東大教授に関して一般論を述べる立場でもありません。本来はこうした新書ではなく、専門の教科書を書くべき年齢、役割にある僕がこの本を書いた動機は主に三つあります。 (第六章「おわりに」、191頁)
  - まず、突発事故や急性疾患などで今この瞬間にでも僕が死んでしまう可能性がある、と考えるにつけ、東大でいかに学問に取り組むのかに関する様々な智慧や心構えを後進に書き記して伝えたい、という気持ちが抑えきれなかったのです。(191頁)
  - 二つ目の動機は、優秀な若者が東大教授を目指さないのは長期的に悪影響が大きいのではないか、という危機感です。(192頁)
  - 三つ目は、東大教授への信頼感の喪失に対する危機感です。単に権威に対する反感であれば東大教授批判は健全であり、耳を傾ける価値があるでしょう。しかし、不当な批判や中傷によって根拠無く東大教授の言説すべてに信頼がおけないかのような印象を世間に持たれているとすれば心外です。(193頁)
- 本書の内容は、普段研究室で学生・院生の皆さんにあれこれ話している内容に加えて、社会基盤学専攻の講義「社会基盤のフロンティア」の初回でガイダンス的に話している「大学院でいかに研究すべきか」がベースになっています。そういう意味では、100分の講義では話しきれない内容を書籍にできたわけで、ありがたい話です。(204頁)
出版社の方でお考えいただいた宣伝文句は次のようです。
現役教授だからこそ、ここまで書けた！「東大教授」とはどのような職業なのか。年収や学歴は？適性は？勤務時間は？専門分野の選び方やキャリアの積み方は？入試の必勝法、教育や研究の醍醐味、出世や名誉教授の条件、論文や会議の作法、有名人との交際、政府やマスコミとの折衝術、散歩の効用など。豊富な体験と貴重な情報から「東大教授」の「真相」を、スリリングな筆致で徹底解説。

『東大教授』から、ひとこと
- 「結局のところ、人生は死ぬまでの暇つぶしです」 (10頁)
- 「僕たちの体が物質的には普段食べているものでできているように、僕たちの知性は普段接している人や媒体から得られる情報、知識によって形成されています」 (12頁)
- 「大学教授と言えば散歩でしょう」 (37頁)
- 「評価軸の議論になると...自分自身が高く評価される軸をどうしても持ち出したくなるのはご愛嬌です」 (40頁)
- 「専門分野よりも専門分野外の方が常に広く、また、役に立つ勉強だけをするのはどう考えても不可能」(57頁)
- 「『何を研究したか』ではなく、研究をした経験、すなわち『どう研究したか』が必ずや役に立つ」 (61頁)
- 「研究コミュニティを知らないよそ者である若者が、専門知識に欠けるばか者として基本を学ぶ際にその分野の根本的な常識に疑問を投げかけてくれるおかげで、新たな視点から理解が深まったり、理論や学術体系の不十分な点が見出され、それが糸口となって抜本的な学術の革新が生じたりするのです」 (72頁)
- 「スポーツ的な研究と、芸術的な研究とがある」 (77頁)
- 「未経験でも、あたかも経験したかのように感じ取れる能力が教養です」 (83頁)
- 「東大教授になるのに実力と実績は必須ですが、それ以上に運、鈍、根も大事」 (90頁)
- 「出る杭が打たれることはあっても、出過ぎた杭は打たれない、非常に出過ぎた杭は倒れないように周囲が支えてくれる」 (93頁)
- 「根拠のない自信もあった方が良い」 (93頁)
- 「『自分はもっと世間に認められてもいいはずだ』という爆発しそうなくらいの不満エネルギーに支えられた闘争心がないと、わざわざ苦労してまで一般向けの本を書こうとは思わない」 (131頁)
- 「大学での研究は頑張っても仕方ありません。頑張ったかどうかは関係なく、結果が全て、なのです」 (147頁)
- 「うまくいったら自分の才能や努力のおかげ、なかなかうまくいかなかったら組織や周囲の環境や世間のせいだ、と思うのは東大教授も同じです」 (164頁)
- 「オリンピックで世界一になって活躍する選手や、永遠の美を創造している芸術家の何倍もの感動と実益を国民の皆様に還元できるのか、東大教授をはじめとする大学教員は常に問われているのです」 (172頁)
- 「自分のことは棚に上げてでも人の道を説くのが教師の役割」 (203頁)

『東大教授』でトリビア
- 東京六大学野球71試合に登板し、東大最多の17勝をあげた伝説の投手は誰?! →答えは146頁に!!

はじめに
- なぜ仕事をするのか？／死ぬまでの暇つぶしのために／過程か、結果か／自由と名誉と資産がほしいなら／東京大学教授道
第1章東京大学教授解体新書
- 大学教授の定義／年齢構成は？／なぜ「総長」なのか／最初の東大教授とは？／文明開化と東大／旧制第一高等学校とは？／東京大学名誉教授の条件／給与について／平均的キャリアは？／給与は増やせるのか？／勤務時間は？／散歩は有効か？／勤務はどう評価されるのか？／車、個室、秘書など待遇は？／企業としての東大／安定した自由業
第2章どうすればなれるのか
- 世界一になるのは簡単／「東大卒」は必須条件か？／東大入学への道／「最難関」入試の考察／進学の振り分けは？／専門分野の選び方／研究室と指導教員の選択／勉強と研究の違い／失敗できる特権／価値ある研究テーマとは？／地球の水循環と世界の水資源／真のエンジニアとは？／研究のオリジナリティとは？／若者、ばか者、よそ者／研究はスポーツ的か、芸術的か？／動物的研究と植物的研究／流行と教養の論理／楽をするためならどんな苦労も厭わない／論文書きの論文読み／博士課程へ進むべきか？／「論文博士」とは？／東大教授になるチャンス／講座の大小／東大教授に向いている人とは？
第3章社会的役割と権威
- 専門家は偉いのか？／日本を代表するには？／国の審議会に参加したら／政府の委員会での立ちふるまい／霞ヶ関の専門家になるには／国際会議の愉しみ／英語で講演するために／海外出張は魅力的か／政府や企業のトップへの講演／テレビ出演の注意／新聞や雑誌との付き合い方／政策立案支援と研究審査／論文執筆こそ命／有名学術誌から原稿を依頼されたら／教科書や雑誌に文章を載せる／書籍の執筆法／東大教授の著作はなぜ多くないのか／一般向けの講演も刺激的／講演料はいくらか？／東大教授の役得
第4章醍醐味と作法
- 講義こそ自己啓発の源／研究指導の内幕／最近の学生気質／弱小チームでも勝つには／「明日やろう」は馬鹿野郎／ゼミは英語で／留学生の真実／外国人教員の損得／東大と国家百年の計／次世代を育てるには／教科書を書き換える研究／伯楽への道
第5章知的生産現場のマネジメント
- 学内組織を円滑に運営するには／学内会議のしきたり／雑用を考察する／大学事務への思いやり／東大の予算とは？／研究室の改善法／同じ釜の飯を食う研究室／人事の妙／業務マネジメント／研究はポートフォリオ／時間を操るには／東大教授ほど素敵な商売はない
第6章おわりに
- 本書執筆の三つの理由／究極の目標は何か／知の統合のために／東大も日本の希望に
あとがき
参考資料

特徴

本好きな方にはきっとご満足いただけると思います。遠くに連れてこられたかのような読後感を抱いていただければ本望です。

ビジネス書や自己啓発書としても読んで愉しんでいただけるように工夫しました。東大や大学教授にまったく縁のない方でも、やる気と元気と明日への希望が持てる本になっていると思うのですが、どうでしょうか。

内容を充実させるように努力した結果、密度が案外高くなり、新幹線で東京大阪往復くらいはじっくりお読みいただけるかもしれません。

東京大学に関するトリビアが山盛りです。週刊誌ネタ的な話題も豊富ですが、悪口は極力避けています。

丁寧なルビ付けで中学生でもすらすら読めます。慣用的言い回しや故事成語、知の常識を精一杯に盛り込みました。入試問題に使えそうな部分もいっぱいあります。

「『大学で何をどう学べば良いのか』『常に自らが創造性にあふれていたい』『問題を解決して社会の役に立ちたい』『自らの能力を高めてより成長し続けたい』といった自己実現欲求をどう実現すればいいのか?」 →これからの進路をいろいろと考えているであろう高校生、大学生へのプレゼントにぴったりです。

より東大や大学教授について知りたい方に役立つ巻末の参考資料リスト付。

新潮社が作成してくれた書店等でのPOP用 PDFファイル (500KB) あります。しばらくの間、新潮社のWebページからもダウンロードできることと思います。

オンライン書評等

新潮社のWeb頁はこちらhttp://www.shinchosha.co.jp/book/610560/です。
- 矢来町ぐるりでの書評はこちらhttp://www.gruri.jp/topics/14/04011130/です。

amazonの頁はこちらです。

紀伊国屋書店の頁はこちらです。

読書メーターでの感想はこちらhttp://book.akahoshitakuya.com/b/4106105608です。(時々追加されています)

ブクログでの感想はこちらhttp://booklog.jp/item/1/4106105608です。(時々追加されています)

J-Castモノウォッチ (2014年4月17日)
- 「霞ヶ関官僚が読む本東大教授が語る『東大教授』の醍醐味」 http://www.j-cast.com/mono/2014/04/17202358.html?p=all

Bookウォッチ
- 『東大教授』沖大幹著 http://www.j-cast.com/mono/bookwatch/2014/04/30203386.html
(夕刊フジに掲載された新書紹介)

茂木耕作さんの感想ビデオ
- 【東大教授に物申す!!!!】ハッキリ言って物足りない!!!! と思った点が一点だけある． https://www.facebook.com/photo.php?v=706981656029172

あらすじ検索サイトあたまにスッと入るあらすじ
- 「東大教授　大学法人化で東大教授もずいぶん変わった」 http://atamanisutto.livedoor.biz/archives/51917537.html

寄せられた感想等

原稿段階でのコメント
- これまでも範囲を限定した大学論はありましたが、それらと違って広範囲でしかも実践的な大学論になっていますので、大学関係者には刺激的な示唆を与えてくれるものになっていると思います。大学教員にノウハウを与えるものになっているだけでなく、大学教員のありかたを本格的に提起する問題提起の本にもなっていると思います。 (九州大学名誉教授、2013年7月14日)
- とても面白く勉強になるので、博士学生や若手研究者を含めて、大学教授が何をしているのか気になる人に広く読んでもらえると思います。 (日本学術振興会海外特別研究員、2013年7月18日)
- 私も一大学教員として、参考になる点、興味深い点が多くありました。発売されたら、同じ学科の先生や学生にも紹介しようと思います。 ...また、学生が読むことを考えると「あまり手の内を明かさないで」と思う点や、東大に反感のある人があえて読むかもしれませんから「本には書かない方が良いのでは」と感じる点もいくつかありましたので、僭越ながら、コメントをPDFの注釈に記載いたしました。 (長崎大学准教授、2013年7月19日)
- 東大教授の職務や魅力が体験談として書かれているため、堅苦しくなく読みやすかったです。自分が修士課程に在籍していたときの先生方を思い出しながら読むことができました。研究者になりたい学生や東大を目指す高校生にとっては貴重な情報がちりばめられていると思います。加えて、先生の御高著に共通することですが、先生の普段のお考えが垣間見えて、読み物としてもおもしろかったです。 (国家公務員、2013年7月19日)
- 東大教授を目指す高校生・大学生だけでなく、東大教授周辺の若手研究者、中堅の研究者、あるいはきっと教授が読んで面白い本だと思いました。また、全体的に感じたことですが、やはり、個人名が出てきて、この人がこう言っていた、という話が実に面白いです。本当に東大教授の生態を感じさせてくれる絶妙の仕掛けですね。 (東京大学特任講師、2013年7月22日)
- 私を含めた教授予備軍の若手研究者が，先輩の助言として読むのには，とても勉強になる内容だった，というのが率直な印象です．少なくとも私には，とても身にしみるところが多かったです．原稿を読ませていただきありがとうございました． (東京大学教授、当時は准教授、2013年7月23日)
- 原稿一通り読ませていただきました。面白かったです。というか、いろいろと勉強になりました。前書きにあるように、確かに東大に入ることは目標になっていても、その後東大教授になろう、という目標はあまりないですね。。。その点一つにおいても目からうろこでした。また、タイムリーに東大教授が不正で逮捕されたりしてますが、昨今の悪いイメージからの回復にも大いに役立つのではないでしょうか。 (東京大学准教授、2013年7月27日)
- 拝読の機会を与えていただいて有り難うございました。共鳴できる部分が多く、科学的な能力があり、これからの人生が長い高校生、大学生や、そのような子息を持つ親御さんには非常に参考になると思います。既に定年も近い身ですが、「うーん、自分はわがまますぎるな、流されすぎているな、ここは反省すべきだな」、という感じで読ませていただき、きっと私の指導学生たちにもよい影響を与えてくれると思います。 (筑波大学教授、2013年7月27日)
掲載しても構わないコメントがありましたら、どうぞお寄せください。