20058

もう8月だ。AMSで”bright band”を20002005の文献で検索。ブライトバンド検索の末尾

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フロリダでおこなわれている、熱帯かなとこ雲の巻雲領域研究(Cirrus Regional Study of Tropical Anvils and Cirrus Layers (CRYSTAL))ではライダーと3波長のドップラーレーダを用いた観測をおこなっている(0.32-, 0.86-, and 10.6-cm=W,K,C)。融解層について、すべての項目が観測された。すなわち、ライダーとレーダのダークバンド(?)とブライトバンドである。SバンドでブライトバンドでもWKではあまり顕著でない。これは融解層がWKの波長帯でレーリーの効果(D^6)が効果的でない領域にあるからである。ライダーによるダークバンドは雪粒子が雨粒子に分裂する領域に中心がある。典型的なSバンドによるブライトバンドは融解層の下部にあり、ライダーによるダークバンドの直上である。この位置はWバンドの反射強度とドップラー速度が一定値(plateaus)になる箇所に近いがSバンドのドップラー速度が増加をやめる(一定値なる)高度よりは十分上方である。したがって、古典的なブライトバンドというのはかなり大きい融解中の雪粒子によって起きているといえる。(8/16)

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鉛直分布の構造(vertical profile of reflectivity (VPR))と距離の効果を無視することによって生じる地上でのレーダ雨量の誤差を高分解能の3次元シミュレータを用いて評価した。シミュレータのデータはさまざまな距離・高度を観測したレーダデータを用いた。層状性の降水が33事例あり、250時間以上のブライトバンドの観測があった。これらの事例から補正有り無しの積算雨量を2つの手法を用いて作成した。(a)最も近い、あるいは内部のVPR(b)強度に依存する「気候値的な」VPR2乗平均誤差を積分し、誤差は距離と高度で表現した。

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多チャンネル搭載の衛星データによって降雨量を推定するアルゴリズムが作成可能となった。この中で物理モデル(physical modeling:物理過程?) の不正確さによる誤差を説明しなくてはいけない。融解層は、層状性の降雨の場合に、バイアスを生じさせるプロセスである。事実、TRMMTMIでは似た降水分布においても観測される輝度温度が統計的に異なっていることがわかっている。(10/215)

融解層の散乱過程に対する感度実験を、異なる1次元の定常な微物理学・電磁気学モデルを用いて実施した。(10/265)

レーダによるブライトバンド観測によって人工衛星によるマイクロ波の輝度温度観測の誤差(正しくは降水量推定の誤差)を小さくする。

複数のマイクロ波チャンネルを持つ人工衛星からの観測によって、降水量の推定が可能となってきている。TRMMTMI(TRMM Microwave Image)では似たような降水分布でもブライトバンドのあるなしによって、系統的な誤差が出ることがわかってきた。

融解層をシミュレートする感度実験をおこなった。融解層はNOAA915MHz帯のウインドプロファイラによる観測を用いた。TMIの衛星直下による観測値では10.65GHzのチャンネルで降水量が増えるにつれてブライトバンドからのTB1520K増加した。19.35GHzでは3-5mm/h(15K)37GHzでは1mm/h(10K)であった。一方で85.5GHzでは3Kより小さかった。

915MHzのプロファイルを用いて融解層での不確かさを減らしたが、パラメータ化の違いによる差は依然大きい。特に周波数の高いところで重要である。そこで検証実験を提案し、将来、融解層のモデルの不明点を解消する予定である。8/225

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カリフォルニアにおける地形降下ジェット実験(the California Land-Falling Jets Experiment (CALJET))において観測したレーダと雨量計のデータを解析し、降水の物理特性を調べた。対象は1998年冬季季節風の期間である。明らかに3つの降水タイプの分類できた。ブライトバンド有、無、混合型である。本論文ではブライトバンド無の降雨について報告する。ブライトバンド無の降雨(NBB rain)はレーダサイトにおける全降雨(1841mm)28%の寄与を示している。また、鍵となる物理過程に報告の価値があるし、WSR-88Dによる定量観測にも影響がある。

NBB rain20mm/hを超えることもあり、積分したら3.95mm/hの降雨になる。反射強度はブライトバンド有の降雨が28.5dBZであるのに対し,20.5dBZで少し弱め、ドップラー速度は6.25mであるのに対し2.25m/sと値がかなり小さい。――対流性の降雨ではない?雪?(8255)

NBBの降雨についての気象解析を事例解析と季節分類で行った。NBBの降雨は上陸する風雨(ストーム)の前線帯の広い範囲で起きる。しかし、4分の3はプロファイラによる1250m高度の平均風で190220で上陸する。NBBの地形効果は雨全体の中でも強くて、上昇流と沿岸部での降雨量の相関係数は1250mMSL0.75(雨全体では0.54)であった。強い下層風と地形に直交する風が特徴である。



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0506にあり。

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1999225日の事例解析。冬季季節風の弱い吹き出しに伴う地形性の降雪。ミリ波ドップラー、放射計、HYVIS2Dグレイを用いて解析した。氷、過冷却水の分布を見る。4つの段階が確認された。1)層状性、2)遷移状態、3)薄い対流性、4)衰退期、である。第1段階では下層流の停滞が確認された。エコー頂は平らで、ブライトバンドを持つ層状の降水であった。雲はほとんど氷晶化しており、氷晶の昇華成長が卓越していた。第1段階の後半から水平風が大きくなり、第2段階で最大強度に達する。同時に雲水量が増加し、地上降水が観測される。降水粒子は過冷却水滴の付着しており、上空での雲粒付着(riming)が示唆される。第3段階では斜面に向かう風は弱くなり雲は薄く、対流性になる。地上では雪片や凝集雪結晶がしばしば観測され、降水の一部は昇華成長によると考えられる。これは第3期の雲水が少ない(雲氷が多い)ことと一致する。第4期では、雲は暖気乾気移流によって減衰する。以上の結果は、最初は(対流でなく)地形による上昇で過冷却水が形成されることに関連している。過冷却水が卓越していることは上昇流を増加させる勾配を反映している。対流性の雲は水が少なく氷が多いことが示される。8/295

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Cバンドレーダで晴天時の境界層を観測した。大気の状態にかかわらず0.1kmから3kmの位相のそろった連続速度を観測できた。水平のレンジは少なくとも30kmある。ここではドップラーレーダによる晴天境界層の観測に話題を絞る。UHF帯のウインドプロファイラとの比較では風速と反射強度の時間変化でよい一致をみた。UFHのウインドプロファイラ上でCの平均を取ると、方角がわかるので、境界層の形状がわかる。エコーのソースと鉛直風速の測定についても触れる。(8/315 ここでのブライトバンドは境界層トップで見れる強エコー域のこと)

 

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現在の台風上陸についての知識は限られており、特に対流規模の過程(進行-停止pro-cesses)についての知見は少ない。1998922日の台風ジョージアはヒスパニオラの島に上陸した。かなりの被害が風や嵐でなく、降雨によってもたらされている。詳細な観測が第3回、対流湿潤実験の一部としておこなわれた。ER-2(視線が直下であるXバンドのドップラーレーダ)が降水の高解像度のイメージを提供し、山岳と台風の相互作用による気流の変化を明らかにした。

台風ジョージアの循環は上陸中に明らかに衰退していた。海面気圧の最小値は急速に増加し、目のかなとこ雲は低くなり、目の壁雲の氷晶数は減少した。衛星でわかるように、目の中に深い対流が噴出するにつれて、目ははっきりしなくなった。目の中で発生する対流減少は大きさが20m/s以上の上空の上昇流と89GHz帯で100Kより低い輝度温度(高濃度の氷晶を示唆)が発生した。このイベントは、目がコルディレラ・セントラル山脈(ミニカ共和国 Hispaniola 島の山脈; 最高峰 Pico Duarte (3175 m))上を移動したときにおきた。これらの発達は地形と密接に結びつくものである。著者らは地形による持ち上げで、位置エネルギーが解放されたと推測する。位置エネルギーは、目の沈降逆転層の下にとどめられていた。

降水は対流性、層状性とも上陸に伴い増加している。これらはブライトバンドより下層でレーダ反射強度の増加で示される。そのような増加は海岸の降水にはない。下層での降水強化が、地形状で下部境界層がないために発生したと思われる(?)(9/25)

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(題名から判断して省略)

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カリフォルニアでの冬季におけるブライトバンドを持たない降水雲についての研究。ブライトバンドのない雲(NBB)は融解層より下で降雨を形成している。冬季の降水量に18-50%の寄与を持っている。BB無の降雨、BB有の降雨とも、寒気渦の上陸と関連があることが示された。しかし、総観規模場の状況は明確な違いが見られた。これは、300mbのジェットと下に存在する寒冷前線の組み合わさったものの位置が違う、という点を含んでいる。さらに、CZD(カリフォルニア、カサデロ)沿岸での500mbの短波長の強度が異なっていた。BBの合成によればNBBの降水に比べて深い対流が存在し、力学的な構造が総観規模場の特徴と一致している。これは、GOESの画像で見て、NBBの雲は20K暖かい(2.3km薄い)という点でも一致する。両方のタイプとも下層で潜在不安定が存在するが、NBBは強い下層の上昇流を持ち、より暖かく湿っていた。これは、地形よる降水強化が示唆される(9/559/65)

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鉛直下向きを観測する航空機搭載型レーダで熱帯域の降雨域を観測し、解析した。飛行距離は21231km(地球半周?) である。明確なブライトバンドが存在し融解層と判断された。雲のタイプを層状、対流性、薄い対流性と降水粒子によって分類した。層状性の場合、鉛直方向の降水粒子の変動は小さく、層雲の物理と一致する。分類の目的はPart II で記述する。鉛直分布について記述し、台風の場合、フロリダとブラジルにおける積雲の場合について報告する。

 

PartU:

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高解像度の航空機搭載型ドップラーレーダと上向きの85GHZ放射をフロリダとアマゾンの対流性の雲および大西洋の台風の雲について比較した。特徴的な反射強度、降水粒子の動き、対流性の雲・層状性の雲の鉛直運動の分布を比較し、雲頂高度の氷晶による散乱を調査した。これにより、対流性の降雨と台風の降雨の違いを強調した。(9/125)台風というのは層状性の雲が多く、エコーと鉛直速度のスペクトルは狭くなっている。気流は層状域を含めて、全層で上昇を示している。地上で観測される、対流によってもたらされる層状域は下層で沈降、中、上層で上昇して、鉛直速度のばらつきは大きい。フロリダのストームでは層状性の降水は少ない。エコーと上昇流の分布は広く、上空での高反射強度域を含んでいる。これが結果的には低い85GHzの放射となっている。アマゾンのストームは比較的弱く、「海洋性」のエコーの特徴を持っている。特に、冬季、下層が西風のときに違いが顕著である。(9/145)

 

たまたま検索:

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光学的に雲のない対流境界層(CBL)の鉛直速度分布を、航空機搭載型レーダの平均より調べた。データは大平原の中央で国際プロジェクトH2O期間中に得たものである。晴天エコーは95GHzの雲レーダで十分強く、30mの解像度でCBLを探知できる。CBLの鉛直断面は明確に定義できる強度の強いプリュームで領域がわかる。これらのプリュームのエコーは十分発達したCBLの深さ全体を占めている。ガスト探知機ではプリュームがほとんど上昇流に対応していることがわかる。この研究から、晴天エコーがほとんど昆虫によるものであることを文字通り証明する。

探知範囲が小さいドップラーレーダの結果をガスト探知機の結果と比較した。

レーダによる鉛直運動は平均で0.5±0.2m/sの下向きのバイアスを持っていた。これはウインドプロファイラのCBL観測の結果と同じ傾向であるが、値はこちらのほうが大きい。航空機とレーダの鉛直速度の違いは上昇流が強いと大きい。これは散乱が降水粒子による場合は起こらない。降水粒子は終端速度で落下し直接上昇流には寄与しない。

CBLのエコーの存在は下層での対流によって維持されており、生物の上昇流に対する反応の原因とされている。この反応は生物の気温によって制御されるとかんがえられる。つまり、上部のCBLに寒気が当たると昆虫が下降する。著者らは生物の反応は気温でなくて鉛直の入れ替わりによるものである、と提案する。

 

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偏波レーダを用いて粒径分布を観測できる。手法はガンマ分布を仮定して、分布の形、傾斜、レーダのZZ差の経験式を求めた。粒径分布の物理的特徴はディスドロメータの観測と同じである。本手法をいくつかのストームに応用した。幅広い粒径分布は風雷雨の強いZ領域に限定されている(determined)。最大の体積中間粒子はストームのさきがけの縁にあり、上昇流から少し風下におかれている。雨の下降流は分裂と付着がほぼバランスしているという仮定を支持している。比較的大きな粒子は層状の雨に見られる。中央体積直径はブライトバンドの強度と関連がある。レーダの降雨観測ではDSDは幅広でほぼ一定であるが、必ずしも平衡状態でなく、単に一様であることを示している。DSDが普遍なのは衝突が少なく、粒子数が少ないことによる。

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TRMMPRデータを用いて西太平洋と東太平洋の降水システムの比較をおこなった。東大西洋は、暖かい雲頂、薄い対流層を持つ西大西洋の降水システムとかなり異なる。すなわち、大部分は層状性の降雨であり、同程度の降水であれば氷水量は小さく、ブライトバンド(融解層)は凝結高度のかなり下にある。(9/205)

降水システムの東太平洋と西大平洋の違いは季節変動、年々変動にも見ることができる。97/98の強いエルニーニョ期間では東太平洋の海面水温が暖かく、西太平洋で観測される状況と類似していた。ENSOに関連したこれらの違いは長期間の衛星観測に基づき、時間に依存する、領域(海域)の傾向と結論付けることができる。現在有効な衛星データである、赤外やマイクロ波放射計のデータもENSOに関連して同様の空間パタンを示し、変動を捉える(capture)が、ENSOに応答する熱帯の平均雨量のような微妙な変化についての振幅、変化傾向は用いるアルゴリズムに依存する。(9/265)

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山岳部におけるレーダ雨量観測は、地形による遮蔽、グランドクラッタを避けるため高仰角を用いること等により精度が低くなっている。本研究では、数時間、70kmの現象を積分することでメソベータスケールの特徴を捉え、地上と比較することでレーダ雨量と地上雨量の誤差を係数2(それでも2?!) とすることができた。補正には4つの概念を導入している。鉛直最大エコー強度、エコー最小値、降雨平均の分布、メソベータ特性で補正した雨量、である。今回得られたアルゴリズムはスイス気象局で導入される予定である。今後2,3年の検証が求められる。(レーダの仕様は不明。おそらくCの多仰角運用と思われる、9/265)

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STORM-FESTというプロジェクト内で興味深い現象が観測されたので報告する。1992212日、東西方向に列を成す降雪帯(snow swath, swath=草の刈り幅)で南に凍結雨が広範囲で観測された。4つの観点から報告する。

下層ジェットの時間的発展

各層の鉛直安定度の変化

等温層の発達(融解層で等温)

融解による力学的な影響(9/285)

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1次元のモデルで融解層の微物理特性を検討した。モデルは雲解像度モデル(CRM)から取り出したものである。融解層の厚さは降雪粒子の密度による。TRMMMIの周波数にあわせて降水粒子の放射特性を検討した。

ここで用いた融解層モデルはCRMに組み込むに耐えるモデルであるといえる。9/165

融解する降水粒子の分布を表現する1次元モデルを開発した。このモデルは0度高

度直上の固体降水粒子の分布で起動する。

個々の粒子の数密度と融解率を与え、ビン法に拡張する。

モデル内の融解層の厚さは先ずは、氷粒子の密度により決まる。

融解中の氷粒子の放射特性をいくつかの霙粒子の双極子の表現法で結果した。

0度高度直下で融解粒子が多く、マイクロ波の大きい吸収となっている。これは、

融解層の底での雨による吸収より大きい。PR波長での反射係数は粒子の融解と

ともに大きくなり「ブライトバンド」となっている。融解層内の放射特性は

・双極子モデルの選択

・初期の水分量と'種まき'氷粒子の密度

による。

Fabry-Szrmerの核殻の双極子モデルにより雪を、Maxwell-Garnettの水配列双極子

モデルにより霰を表現した融解層の分布は、レーダが観測した光学的深さの分布

と一致する。

混合を含まない場合の計算結果は観測より小さい。

従って、融解層モデルを3次元雲モデルへ用いる事は意味がある。20 Nov 2006

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融解層高度(0℃線)NCEPの再解析データを用いて20年分6時間ごとに解析した。熱帯域では、融解層の高度は高く(~5000m)、月内変動、年内変動とも小さかった。融解層高度は亜熱帯や中緯度で高く、変動も大きい。1998年は20年の気候値と比べて融解層高度が異常に高く、これは97/98年のエルニーニョと対応している。また、TRMMで観測したブライトバンドと比較した場合、その差は-300-900mであった。この違いは、大陸上(乾いているからか?) あるいは、±20度を中心とする緯度帯 (高圧帯?)で大きかった。10/35

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世界初の衛星搭載型レーダ、TRMM-PRによる反射強度の気候値を予備的にまとめる。用いたデータは19981月から19992月である。この解析は融解層(ブライトバンド)高度の振る舞いに注目したものであり、受動型の放射計を用いた降水量推定アルゴリズムの改善に役立つものである。なぜならば、降水量の深さを表す変数を与えるからである。月平均の融解層高度は10度×10度の緯度経度格子で整理し、4.5kmを超える融解層はエルニーニョやアジアの夏の季節風のような極端な現象に伴って発生した。低い融解層は通常冬半球で見ることができ、地上気温と融解層高度は密接な関係を示す。詳細な気候値を8つの領域について示した。それぞれの領域で融解層高度の変動、反射強度分布の平均と偏差を議論した。融解層高度の日変化と第2成分(つまり、衛星の軌道に沿った空間の相関など)は融解層高度の規則的でない特徴を説明している。10/45

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対流境界層の局所的な構造と発達を調査するため空間調査レーダ、乱流プロファイラ(turbulent eddy profiler, TEP)の観測を用いた。ブライトバンドは境界層の上部、逆転層付近で見られた。解像度は30m立方格子である。TEPを用いて局所的な反射率関数Cn2を可視化することができる。

Cn2の値は、LES(大渦模擬実験)の値と比較した。鉛直流の時系列はよい一致を見たが、LESでは、大規模な渦しか再現できない。TEPの能力と観測されたCn2との比較を示す。10/55

―――――――――――――――ブライトバンド検索の末尾

0508

衛星からの粒径分布推定に関する論文

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いくつかの実験的な成果を「静止現業環境衛星(GOES)」の探査回帰値(気温や湿度の鉛直分布)より求め、対流性のダウンバーストの危険性評価に用いた。成果一覧には風のインデックス(WINDEX)や乾いたマイクロバーストの指標値、300Paと地表の相当温位差も含まれる。成果はGOESの画像上に表示されてインターネットから閲覧可能である。ふた夏の評価によれば成果は強い地表風をもたらすような状況を評価するのに有効であることが示された。ここでは2つの事例を取り上げる。

1)      南アリゾナで歴史的な強風をもたらした激しいダウンバースト

2)      西カンザスで多少の被害が起きた乾いたダウンバーストと湿ったダウンバーストの混合型

データの検定にはゾンデやモデルの結果、空港での観測を用いた。WINDEXの結果、ガストの報告との違いは82のイベントで2ノット(m/s)より小さかった。しかし、夜の7事例については11m/sも過小評価している(?文意不明?)GOESWINDEXは国家環境予測センター(NCEP)Etaモデルより少しよかった。将来は高度予測システムを改良してダウンバーストの予測の変数として、GOESの結果か、数値モデルの結果を選択して取り込めるようにする。(8/3)

 

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Goes8あるいは9を用いて下層雲の動き、時間変化を捉える手法について議論する。データは首尾一貫した(consistent),24時間の(around-the-clock)画像が、下層の層状雲の動き、時間変化を捉えている。特に、本研究では、短波(6.9μ)と長波(10.7μ)2波長のデータを元にした画像を用いる手法について述べる。連続画像は動画として有効な情報を与えるが、下層雲の追跡(track)による予報は問題点も指摘されている。下層雲は背景の赤外放射と違いがないことから、夜間は判別が難しい。また、日中においても太陽の反射は、低い層状雲の画像を作るが雪や濃い巻雲との区別が難しい。近赤外のチャンネルは、下層雲の定義に有効である。これは水滴(雲粒)が氷雲や地上の雪よりも高い反射率(reflectance)を持つことによる。赤外チャンネルと近赤外を組み合わせることで昼夜を問わず、下層雲を判別した画像を作成できると考える。まず、極軌道AVHRRの近赤外チャンネルによる雲の解析事例を示す。次にGOES-8の近赤外画像をオイオ谷の春の雪雲に応用した事例を示す。最後にRGBで有効な予報成果を提供する技術について述べる。

 

1 輝度温度差(SLBTD,Shortwave minus Longwave [Infrared] brightness temperature difference)の特徴。下層雲・霧に対しては比較的小さい粒径の雲粒がSLBTDに影響を与える。夜間は負の値を示し、昼は正の値を示す。雲のない海上では下層の水蒸気量がSLBTDに影響を与える。低い値は乾燥していることを示す。氷雲については太陽放射の影響は小さいので、昼、夜の区別はなく、雲の透過率の差を反映してほぼ正の値となる。輝度温度が低いときは、氷雲について誤差を生じる事がある。11/285

3および表4 日中は近赤外の反射0-25%、夜間は輝度温度差-3.5-1K(ch2-ch4)で下層雲を判別する方法(手順2)と、反射率(0-55)、夜間は-3.51Kで下層雲を判別する方法(手順3)がある。

1の引用文献:Knut Stamnes, S-Chee Tsay, Warren Wiscombe, and Kolf Jayaweera

: Numerically stable algorithm for discrete ordinate method radiative transfer in multiple scattering and emitting layered media. Appl. Opt., 1988 27, 2502–2509.

応用光学(生研の図書館に「1965-1999」あり)

 

Dr. Knut Stamnes AMSでの発表文献

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AVHRRを用いて、雲の光学的厚さ(τタウ)と有効粒径(e)の評価誤差を見積もった。おおむねre10%程度の誤差であるが、τについては50%10%の不確実性がある。北極海熱収支計画(SHEBA)のデータと比較し、誤差原因は、近赤外チャンネルでの雪・氷表面での高い反射率、部分的に雲に覆われること、混合雲の散乱特性が正確でないこと、による。11/305

 

粒径と水の量について3(8/255) 文献は正しくはJASの前身である「The Journal of meteorology.」東大では次の2箇所などで所蔵。

東大理 地球 1(1-2),2-18<1944-1961>

東大海洋 1(1-2),2-3,4(6),6-18<1944-1961>

 

 -- Vol. 1, no. 1 and 2 (Sept. 1944)-v. 18, no. 6 (Dec. 1961)

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積雲系の雲のデータ解析によるとTrabertの定数は必ずしも定数ではなく、スペクトルの変数であることがわかった。Trabertの式は視程と粒径から雲水を求めるには一般的でない。平均粒径でなく、スペクトルが観測されているときに、どのように雲水量を求めるか示す。

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Trabertの式、V=(Cρr)/W、で係数Cというのは粒径分布の幅の関数として表現されるが、自然界の雲では適当な値がある。晴天の積雲では3.3、乱層雲では4.8である。ここで、ρは密度(何の?)rは平均粒径、Wは水の量である。しばしば引用される2.6というのは完全な単分散(粒子が均一の大きさ)の場合であり、自然界では適当でない。もっと有効な方程式はV=(Kρd0)/Wであり、d0は中央体積直径、Kは自然界では粒径分布の幅に独立な係数である。K=1.2Diem(人名?) による65の観測から非常によい値である、と示されている。同様にレーダ方程式における係数G1.35がよい。Z=(6/π)Gd0^3(W/ρ)*10^-6。自然界では粒径分布の特定の形が好まれる、と示唆される。

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Koschmiederの方程式をワシントン山での観測を用いて検証した。散乱係数を観測して雲の視程を決定した。視程は大積雲の数十mから層雲系の数百mまで変化した。視程がわかればTrabertの式を用いて雲水量がわかる。さらには粒径がわかる。粒子はHagemannDiemによる方法で写真に撮った。平均粒径は晴天の積雲と層積雲では4μ、層雲系では7μ、積雲の集合体(congestus)では10μである。平均雲水量は大きな積雲では2.5g/m3(厚さ1000mとすると2.5g/cm2/10->0.25cm->2.5mm大きすぎないか?) 晴天の積雲では0.5g/m3、層雲では0.2g/m3であった。

イントロ:1943/44の冬の観測

視程:Koschmieder(1924)は雲の視程を決める方程式を導出した。目と物体の距離が遠くなれば、コントラストは小さくなる。彼は、黒い物体と限界距離との間のコントラストが減少することを計算した。光は大気中の塵や雲粒によって、散乱されて目に届くので限界距離が生じる。ある距離ではコントラストは人間の目ではわからない。この距離を視程と呼びVであらわす。通常、人間の目の式は次式で表される。

V=3.91/a     (1)

aは次に示す散乱係数で単位は1/mである。

1にワシントン山観測室での観測と計算の比較を示す。Koschmiederの式はよく一致することがわかる。

ただし次の2点に注意が必要である。

1)       散乱係数の観測は18.8mだけで行った。霧は不均質なので注意を要する。

2)       目標物からの視程は19mまで距離が変動する。

雲の散乱係数をaとすると、光の強さは次式で表すことができる。

I=I0*exp (-a*d)     (2)

dは光源と測定者の距離

12/8’5