0706

Micro Rain Radar’  Anywhere in Article

Sassen

内容確認

MRR


 

Error Characteristics of Rainfall Measurements by Collocated Joss–Waldvogel Disdrometers

Ali Tokay,  Paul G. Bashor, and Katherine R. Wolff

Journal of Atmospheric and Oceanic Technology  
Volume 22, Issue 5 (May 2005) pp. 513–527
DOI: 10.1175/JTECH1734.1

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (989K) ]

 

Drop Axis Ratios from a 2D Video Disdrometer

Merhala Thurai and V. N. Bringi

Journal of Atmospheric and Oceanic Technology  
Volume 22, Issue 7 (July 2005) pp. 966–978
DOI: 10.1175/JTECH1767.1

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (578K) ]

2DVDの結果を報告する。静かな状態で、上空 80mの脚立に設置したホースから粒子を取り込んだ。この高度では、粒子間の衝突はないと考えられる。115,000個の粒子を調べた。粒径が大きくなると、縦横比がちいさくなる。これはBeard&Chuangの平衡形状モデルの上限値と一致する。6/67

??

粒子の振動(drop oscillations)

the drop mismathed

the system spreading function

Beard&Chuangの平衡形状モデル

??

1.5mm9mmの粒径を調べた。推定される振動の形態は1.5mm9mmの粒径範囲で軸対象の形態が支配的であった。

扁円扁長(oblate-prolate横長楕円、縦長楕円)

平均軸比は2つの経験的な既往検討の形式に一致していた。さらに、線形で近似して、2重偏波レーダデータを利用した。中程度の層状の雨を2DVDで解析した。少なくとも4mmまでは、人工的に生成した雨滴分布と良い一致を示した(実際に雨を作った?)6/77

層状性の降水については大粒子で有効なデータはなかった。

最後に、粒径の関数として落下速度を調べた。結果はGunnKinzerの経験式によく従っており、7mmより大きい粒径で、落下速度が多少減少することを含めるとBeard&Pruppacherのデータとも一致している。6/117

 

1.5mm

 

 

 

The S2K Severe Weather Detection Algorithms and Their Performance

Paul Joe,  Don Burgess,  Rod Potts,  Tom Keenan,  Greg Stumpf, and Andrew Treloar

Weather and Forecasting  
Volume 19, Issue 1 (February 2004) pp. 43–63
DOI: 10.1175/1520-0434(2004)019<0043:TSSWDA>2.0.CO;2

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (2.64M) ]

 

The Radiative, Cloud, and Thermodynamic Properties of the Major Tropical Western Pacific Cloud Regimes

Christian Jakob,  George Tselioudis, and Timothy Hume

Journal of Climate  
Volume 18, Issue 8 (April 2005) pp. 1203–1215
DOI: 10.1175/JCLI3326.1

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (854K) ]

 

Lidar and Triple-Wavelength Doppler Radar Measurements of the Melting Layer: A Revised Model for Dark- and Brightband Phenomena

Kenneth Sassen,  James R. Campbell,  Jiang Zhu,  Pavlos Kollias,  Matthew Shupe, and Christopher Williams

Journal of Applied Meteorology  
Volume 44, Issue 3 (March 2005) pp. 301–312
DOI: 10.1175/JAM-2197.1

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (492K) ]

0508.htm 以前の調査:当時はダークバンドの知識がなかった。

雨・霙の混合が少なくなるところがライダーのダークバンドとして観察することが出来る。6/117

5.結論

本研究では、3波長のドップラレーダを用いて融解層を調べることで、ライダーで観測されるダークバンドの特性を知ることを目的とした。思惑としては、レーダの散乱特性はよくわかっているので、ライダーのダークバンドを調べるのに有効であろう、と考えていた。しかし、微物理の後方散乱モデルは可視域とマイクロ波の領域で異なる結果となる点があった。(in some respects) 都合の悪いことに、データセットはひとつであるので、ライダーとレーダの偏波データから融解中の粒子について詳しい情報を得ることは出来たであろうが、CRYSTAL FACEの東に設置した測器ではとらまえることが出来なかった。

これまでの研究では、ライダーのダークバンドの特徴はWバンドレーダで観測されたものに限定されていて融解層の特徴によるものだと思われている(Sassen and Chen 1995)。今回の結果は融解中の粒子が混じっていることが、ライダーによるダークバンドの生成・破壊の両方に、確かに重要であることを示した。雪が構造的に壊れて(structral collapse)、おおきな球形粒子ができることがレーザ信号の最初の増加である。次に、中に残った氷が解けて粒子の中心でも後方散乱が効いてくる。7/197

3波長のレーダによる融解層の現象が現れる様子と相対的な場所では、この評価は難しい。これまでのライダーによるダークバンドのモデルはSassen and Chen(1995)によるもので、基本的には同じシナリオを含んでいるものの(可視光の)後方散乱の寄与を過大評価している。空中に浮かせた(pendent)融解粒子を用いた室内実験では、粒子の散乱エネルギーは、粒子の上に浮いている氷から得られるエネルギーより1.55.0倍大きい(Sassen1977b)のだが、そこでのダークバンドは全体に信号が大きくなることが重要であった。7/247

空中に浮かせた粒子と実験室での設定(水平にレーダビームを当てる)は鉛直観測についてはよいモデルといえない。さらに、融解して非球形となった雨粒子がライダーで観測している融解層の中の現象にどの程度影響しているか、ということは決定すべき要因として残っている。流体力学の力でゆがめられた非等方性の粒子が強い反射を与えることが最近報告された(Roy and Bissonnitte 2001)7/257。−p.310r-10l

要旨から

ライダーのダークバンドはほぼSバンドのブライトバンドの直下にある。図5を参照のこと。WバンドではSバンドほどブライトバンドが明確でない。ダークバンドはWバンドで観測されるZ,Vがほぼ一定となる領域にある。SバンドによるVはダークバンドより下方まで増加を続ける。【疑問】SバンドのVWバンドのVより大きいのは?ドップラ速度を強度で重み付けをして算出しているため、Sでは大粒子からの大きな落下速度が加算されるためと考えられる7/267

WバンドのZは融解層の直上で減少する場合がある。図4a。そこでWのダークバンドはレーリーの仮定が成り立たない大粒子が形成されることによって生じると考えた。

(最後のまとめ)

融解層の特徴は降雨強度によって変わってくるので、異なる降雨事例では観測の局面も異なってくると考えられる。

 

7/277

 

Sassen et al 2005のポイント

ライダーのダークバンドを調べたこと。ダークバンドの模式図は図5にある。融解層の中で、ライダーの後方散乱係数は次第に減少してくる。これは、以下のことより説明できる。

 

1.雪粒子が存在するところでは(鏡のようなものであるので)可視光の反射が大きい。

2.融解が進むに連れて反射因子が小さくなってくる。

3.融解中の粒子がつぶれて雨粒子になると、表面の軸廻りの反射が効いてくるので散乱係数はそれなりの大きさを持つ。この崩壊は液体の表面張力が樹枝の強度より大きくなったときに発生する。体積が同じと仮定すれば、崩壊すれば表面積は大きくなるので散乱係数は増大する。

4.ダークバンドの下で散乱係数が大きくなるのは粒子の中心から、取り込まれた氷が取り除かれることで強化される。氷がなくなるのは、融解の最終段階で融けてなくなる、あるいは粒子内部の循環の影響、またはその両方のためである(Pruppacher and Beard 1970)。これらは最終的に球形の粒子になって、粒子から離れたところでの軸反射有効が有効となる。(Ro etal 1968)

 

3レーダとライダーの同時観測は興味深い。

ライダーのダークバンドはたまたまレーダのブライトバンド付近に見つかったが、雨が降るとライダーは観測を止めるので、十分な観測が行われてこなかった。センチ波のレーダの融解プロセスは研究があるがミリ波の研究は少ない。

雨と雪(冷たい雨のプロセス)は温帯地方で支配的であり、深い対流活動に重要な働きをしている。TRMMや雲レーダ搭載衛星で降水雲の詳細がわかってきた。

 

Sassen and Chen(1995)ではライダーとWバンドで観測される融解層のちがいについて述べる。

ライダーのダークバンドが融解層上端から下方に750mくらいの間に見ることが出来る。

この層はドップラ速度、偏波情報からは雨滴であると示される。しかし、Wバンドのブライトバンドの位置で起きている。(マイクロ波でみたら明るいが、可視でみたら暗い)これは、融解段階後期の大粒子が分裂して、氷を含む非均質の雨滴が形成されるためと考えた。7/307

 

5について。

0℃高度を水平の実線で、ライダーのダークバンドに位置を水平の破線で示す(融解層の下端ではない)。左の模式図はライダーが探知する融解中の雪粒子のモデルを示す。左の鉛直分布の実線はライダーの後方散乱係数を示し、破線は減衰の効果を考慮している。中央の丸は、Sバンドが探知する散乱断面積のモデルを示す。

4.議論

融解層内の相変化は、蒸発、鉛直運動の影響を受け、密度、粒径分布、雲粒付着などにより、散乱係数・落下速度を求めるのは難しい。7/317

p308.r まず、強い光学的な減衰は、比較的大きな融解前の雪粒子によって発生することを書き留めておく。これは融解層直上で、ライダーのブライトバンドを作成する要因となる。レーダの反射強度因子と落下速度は、この領域では凝集がなく、ほぼ一定である。雪粒子が0℃高度以下で次第に融解し、小さくなっていくにつれて、ライダーの後方散乱断面積は小さくなり、レーダのZは、水が増えるにつれて誘電率が増加するので、大きくなる。p308.l ライダーの信号はSバンドによるブライトバンドの直下で最小値となる。この高度は、WバンドレーダのZがほぼ一定となる高度にとても近い。ここからライダーの信号がダークバンドより下方で増加するのは融解した雪粒子がつぶれて、混合状態の雨粒子となるためであるとわかる。雨粒子は球形粒子の後方散乱機構、すなわち、表面波と前面軸反射の効果がある。ライダーの信号はダークバンドの中央から下では、粒子の中央に残った氷粒子が最終的に解けることによって、あるいは内部で循環する(Pruppacher and Beard 1970)ことによって増加する。8/17

W,Cのドップラ速度が増加し始める高度付近で、WバンドのZが少し小さくなっている。このWバンドのダークバンドは(レーリー領域を超えた)大きな雪粒子が融けることで生じている。Battan(1973)が示したように、大きな融解中の雹は、水で覆われるので後方散乱が減少する。これは水と氷の誘電率の違いのためである。図6にミー理論による散乱計算結果を、W帯、水と氷について示す。レーリー領域と遷移領域を超えると氷の散乱は水よりかなり大きい。実際に、水の電波の吸収は大きいので、氷の散乱エネルギーは表面の水で吸収されている。

p.309l8 はじめに0℃より暖かい(?above-freezing)の大気に入ってきた雪粒子について、同様の状況を仮定しよう。すなわち、外側の氷の樹枝は最初に融けてうすい幕で覆われる。後の方になると水がたまって、毛管現象によって粒子の内部に集まる。8/27

7に粒径を変えてW帯での水が氷の周辺を覆った場合の後方散乱断面積を計算した。レーリー域である0.4mmとか0.8mmに注目すると水の場合(右軸)、氷の場合(左軸)でもD^6の効果を見ることが出来る。特に氷から水に変化すると後方散乱が増加するのはブライトバンドの主な理由である(誘電係数の移行changeover, Di Girolamo etal 2003)。ミーとレーリーの遷移層の当たりは複雑である。W帯でミー領域となる融解中の氷粒子ではZが減少する傾向にある。粒径が2-5mmでは水膜が10-50μとなるところで見ることが出来る。融解粒子の粒径分布を与えたとき、大粒子からの散乱は減少するが、レーリー域の小粒子からの散乱は増加するので、散乱係数が大きいことはありえる。共鳴による後方散乱の現象は水膜についても発生する傾向がある。このモデルは密度の小さい雪粒子よりも融解中の霙の方が適当であると認識しているが、融解過程の初期段階が、W帯におけるダークバンドに与える影響について教えてくれる。

P310-l3 図5の鉛直速度の分布はこれらの効果を強調している。S帯のデータは最初、そのように見えないかもしれないが。S帯のように典型的なドップラレーダは粒子の落下速度はブライトバンドの底、ライダーのダークバンドまで増加し続ける。しかし、この(ブライトバンドの底、ライダーのダークバンドの)位置はW帯のZが一定になる高度よりかなり低い。W帯のZが一定になる高度は、より正確に雪粒子が雨粒子に変化する「平均的な」位置を示していると考える。8/37

4a,4cを見るとW帯のVS帯に比べて、融解層のかなり高い位置で水平となっている。(level off:平らになる)この高度はミリ波の信号の等値域、ライダーのダークバンドと対応する傾向にある。8/157

したがって、平均ドップラ速度はレーリー領域においてD^6の重みがかかっているので、S帯のデータはわずかに存在する大粒子の影響を強く受ける。このような大粒子は落下速度が最も大きく、融けてしまうのは最後である。(4章終わり)8/167

その他メモ

ライダーの受信強度はD^2に従う。

S帯の受信強度はレーリー域であると考える。

ミリ波での融解層解析は難しい(粒径が大きくなるとミー領域に入るので)

S帯の極大を融解層の参考としている。W帯、K帯でBBが見えないのはレーリー領域を出ているから。

W帯の落下速度が頭打ちとなっているのは大粒子の影響が評価されないから。

2つのダークバンドは2つのBBのようなもの(p307l下から14)。異なるタイプの粒子が混ざっていると考える。

(感想)多波長の解析は情報も多いが、取り扱いも難しい。K帯ではBBがみられないこともある(雨量が大きい場合)。融解層の構造について、散乱断面積の計算を行っているが、最後は定性的な説明にとどまった。8/167

 

Clouds and Shortwave Fluxes at Nauru. Part I: Retrieved Cloud Properties

Sally A. McFarlane and K. Franklin Evans

 

Journal of the Atmospheric Sciences  
Volume 61, Issue 6 (March 2004) pp. 733–744
DOI: 10.1175/1520-0469(2004)061<0733:CASFAN>2.0.CO;2

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (724K) ]

 

Observations and Analysis of Uncorrelated Rain

Michael L. Larsen,  Alexander B. Kostinski, and Ali Tokay

Journal of the Atmospheric Sciences  
Volume 62, Issue 11 (November 2005) pp. 4071–4083
DOI: 10.1175/JAS3583.1

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (435K) ]

 

Cloud Properties Simulated by a Single-Column Model. Part I: Comparison to Cloud Radar Observations of Cirrus Clouds

Yali Luo,  Steven K. Krueger, and Shrinivas Moorthi

Journal of the Atmospheric Sciences  
Volume 62, Issue 5 (May 2005) pp. 1428–1445
DOI: 10.1175/JAS3425.1

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (951K) ]

タイトルから興味深いと判断。6/47

単一柱モデル(Dモデルか?)(single-column model=SCM)をつかって、巻雲の特徴を調べた。雪がない場合については無作為に重なっている場合と、最大値で重なっている場合とを調べた。(サブグリッドの雲を1Dモデルで表現している。グリッドの値を求めるときに複数のモデルの結果を組み合わせるが、無作為に取るか、モデルの最大値を評価するか、といった違いがある、?).

雪を含む場合は無作為に重ねた。雪がないと巻雲はたくさんの薄い層で構成され、雪があるとたくさんの厚い雲層を持つようになった。

1)      SCMは雲解像度モデル(CRM)より氷の量が少ない

2)      層平均の氷水量は物理的な厚さが小さくなると、少なくなる。これはモデルやCRMの結果と反対であった。

3)      SCMで計算された薄い巻雲において、平均有効半径の範囲は狭かった。

(要検討)

     single-column modelとは?

     巻雲を対象とした理由は?(温暖化がらみ?)

7/137

 

 

Cloud Properties Simulated by a Single-Column Model. Part II: Evaluation of Cumulus Detrainment and Ice-Phase Microphysics Using a Cloud-Resolving Model

Yali Luo,  Steven K. Krueger, and Kuan-Man Xu

Journal of the Atmospheric Sciences  
Volume 63, Issue 11 (November 2006) pp. 2831–2847
DOI: 10.1175/JAS3785.1

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (1.35M) ]

タイトルから興味深いと判断。6/47

 

Comparison of Different Techniques for the Measurement of Precipitation in Tropical Montane Rain Forest Regions

R. Rollenbeck,  J. Bendix,  P. Fabian,  J. Boy,  H. Dalitz,  P. Emck,  M. Oesker, and W. Wilcke

Journal of Atmospheric and Oceanic Technology  
Volume 24, Issue 2 (February 2007) pp. 156–168
DOI: 10.1175/JTECH1970.1

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (1.18M) ]


Error Characteristics of Rainfall Measurements by Collocated Joss–Waldvogel Disdrometers

Ali Tokay,  Paul G. Bashor, and Katherine R. Wolff

Journal of Atmospheric and Oceanic Technology  
Volume 22, Issue 5 (May 2005) pp. 513–527
DOI: 10.1175/JTECH1734.1

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (989K) ]

Drop Axis Ratios from a 2D Video Disdrometer

Merhala Thurai and V. N. Bringi

Journal of Atmospheric and Oceanic Technology  
Volume 22, Issue 7 (July 2005) pp. 966–978
DOI: 10.1175/JTECH1767.1

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (578K) ]

タイトルから興味深いと判断−2DVD6/47

 

 


 

Effects of Averaging and Separating Soil Moisture and Temperature in the Presence of Snow Cover in a SVAT and Hydrological Model for a Southern Ontario, Canada, Watershed

S. R. Fassnacht,  Z.-L. Yang,  K. R. Snelgrove,  E. D. Soulis, and N. Kouwen

Journal of Hydrometeorology  
Volume 7, Issue 2 (April 2006) pp. 298–304
DOI: 10.1175/JHM489.1

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (418K) ]

 

Use of Synthetic Aperture Radar in Finescale Surface Analysis of Synoptic-Scale Fronts at Sea

G. S. Young,  T. N. Sikora, and N. S. Winstead

Weather and Forecasting  
Volume 20, Issue 3 (June 2005) pp. 311–327
DOI: 10.1175/WAF853.1

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (2.09M) ]

 

Profiles of Raindrop Size Distributions as Retrieved by Microrain Radars

Gerhard Peters,  Bernd Fischer,  Hans Münster,  Marco Clemens, and Andreas Wagner

Journal of Applied Meteorology  
Volume 44, Issue 12 (December 2005) pp. 1930–1949
DOI: 10.1175/JAM2316.1

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (924K) ]

タイトルから興味深いと判断。MRR.

要旨:

バルト海での数年間の観測。ディスドロとの比較。雨量が大きいとき、ディスドロの粒径分布の形状係数(つまりZ-R関係)は高さに依存することが観測された。したがって、場所の違いを考慮すると、地上雨量を元にZ-R関係式を作ると、気象レーダでは降水量は過小評価する傾向になる。6/476/57追記:本編を読む前の疑問点

     MRRの降水量は大きな雨(25dBZ)ではそもそも雨量を過大評価する(東京の場合)
地上直近のデータは用いていない模様。融解層から下の、Rの変化に注目。従来のZ-R関係式では、融解層以下は変化がないとしていたので、融解層以下の変化を見ることは意味がある。6/227
また、この研究は物理量の絶対値の議論よりも1500m200mの高度方向の変化に重きを置いている。9/20’7

     「形状係数の高度依存」とは?雨滴の成長に伴って、指数関数の傾きが変化することか?
p1934l

     レーダの観測高度から地上までに「過小評価」といえるくらい、雨量が変化することがあるのだろうか?⇒図3(a)1分平均Zingstにおける2000年の観測結果。特に20mm/hを超えるような大きな雨(186ケース)について1400m200mまで単調減少。ZR方式の問題を議論している。

     MRRの観測限界に対して非常に気を配っている(読後の感想)

MRRのデータ処理、平均化の誤差などについても補足で議論6/227

 

3

鉛直方向のrrの変化を見る。降雨のタイプ分けをrrで実施。表3に記述。0.02-,0.2-,2.-,20-mm/h4つの分類。強い降雨の場合は上空と地上が一致しない場合があるので、鉛直方向に相関関数を用いて関係を調べた。半値幅(相関係数が0.5となる高度)は参照にする高度によって異なる。そこで本研究では特定の参照高度を用いず、平均的なR分布を元に分類した。6/267

 

4章 結果

3(a)Rrの鉛直分布。弱い雨は負の傾き(高度が高くなるにつれて雨が小さくなる)を持つ。強い雨は上空ほど雨が強い。減衰補正が効きすぎ、の可能性を示唆。大気の密度を考慮すると、雨の高度方向の傾きは小さくなるはず。Zと雨水量の不一致はDSDが上空では粒径の小さいほうにずれていることと関連する。ZD6乗、雨水量は3乗に比例するので、水の量が同じであれば、Dが小さくなると、Zはかなり小さくなる。

風速にη(v)加重平均速度がある。ドップラ速度の1次成分(η加重した、通常のドップラ速度)。他に、環境の風を計算している。6/267

環境の風はηの最大から最大/eの領域で加重平均を行って求める。ドップラ速度vdと環境風veは、対称なη分布では同じ、非対称な分布では違う値を示す。

4にドップラ速度と環境風の分布を示すが、降雨が大きいとき、ドップラ速度は高度が高くなるにつれて、顕著に減少する。6/287

5では算術平均と調和平均の比較を示す。確かに、算術平均では分布が広くなっている。(また、図から上空ほど1500m1000m300m分布が広がっている様子が見える)

 

5章 結論

解析対象地区のほとんどの雨を説明する弱・中降水については地上で解析したZRを上空1500m程度へ拡張しても問題ないだろう。強雨については雨滴分布が変化している。融解層についてはあまり考慮していない。層状性、対流性という分類もありえる。

 

補足A:回帰手法と誤差解析

FMCWレーダでは周波数の変化を距離情報として取り扱っている。したがって、受信感度(system gain)が周波数に依存するので、受信電力が距離に依存するということが起きる。だから、鉛直分布を回帰手法により解析する場合には、レーダの受信機の伝播関数g(f)の精度が制限となる。白色信号を入力して平均を比較するとg(f)=g(f)/<g(f)>が±0.05dB以内で安定することが示された。(8/217)。後方散乱断面積を求めるには1/z^2で距離補正(zは高度)をして、a(3)で示す降雨減衰補正をしている。最下層の2つの高度は(z<3Δz)は解析の対象から除いた。レーダの受信強度を扱いやすくするための簡略化がここでは適用できないので(おそらく、信号が飽和/スケールアウトするのでby kos)。したがって、近距離効果(?near-field effect)(すなわち、1/z^2から外れること)は無視した。MRRのアンテナでは20m高度くらいでこの効果はなくなるので。

降雨が観測されるのは、観測時間のわずかの時間であるので(5-10%くらい)、信頼できる雨の抽出アルゴリズム(PDA:precipitation detection algorithm)が必要である。そうしなければ、受信機のノイズが積算降水量に影響を与えてしまう。ここでのPDAは降水がないときに測定した、参照ノイズスペクトルを適用した。受信したスペクトル線のうち5つの最小値が参照ノイズスペクトルを2.6dB超えた場合に、その高度で降水があったと判断した。この値から表2に示す最小受信感度を導いた((z =1000 m,z=100 m,
t=60 s)
のとき-2 dBZ)。この手法は高度が高くなり、平均時間が短いと間違い(空振)が大きくなるが、その問題は1500m以下、平均時間10秒では問題ないと考える。8/227

a)粒径分布の回帰手法

a1)粒径分布

粒径分布は、反射強度ηを後方散乱断面積σで除して求める。往復の降雨減衰l(z)を考慮している。a(3)参照。後方散乱断面積はミーの理論に基づきMorrison and Cross (1974).によって求めた。粒径DGunn and Kinzer (1949)に基づく、Atlas et al. (1973)の変換式でvから計算した。上空のvはFoote and du Toit (1969)による大気密度と速度の関係、および、US標準大気を利用して求めた関係式により計算している。図A1は単一粒子のレーリーとミーの違いを示す。

スペクトルの計算のステップ(分解能)は△v=0.191とドップラ速度で等間隔としているので、粒径では等間隔にならない。分解能の粒径依存を図A2に示す。

ドップラ速度vとDの解析範囲を図A3に示す。FFTの解析周波数が限られているので、Dの最大値がギザギザしている。

a2)ディスドロメータとの比較

A 4MRRの粒径分布を音響式ディスドロメータ(JW)と光学式ディスドロメータ(OD)と比較した。2003年の4,Westermarkelsdorfにおける5時間にわたる降雨を対象として、降水強度(mm/h)と中央直径(質量平均直径?,mm)を比較した。8/237

a3)減衰補正

減衰補正はKunz(1998)に基づき粒径ごとに消失係数を求めて高度ごとの減衰係数を求めた。サイト近傍から受信電力を補正し、次の高度の補正値がN(D,z)corとして求まる。経験から往復の減衰量が5dBより大きくなると発散する。そこで補正係数が1.4を超えると、データ無効としてフラグを立てた8/247

A6:ミーとレーリーの比較

A7:減衰係数の高度分布

 

b)粒径分布の積分変数

b1)レーダ反射強度因子ZZe

ZD^6で定義された値。Zeは観測値から求められる値。積分の範囲は、a(1)で示した範囲(受信感度で決まるDminと落下速度が推定可能なDmax)

b2)雨水量(降水量)LWCと降水強度R

それぞれの値は粒径分布より推定可能である。

b3)Zから求めた降水強度Rz

上記のb(2)は粒径分布を仮定しないで求めている。粒径分布を仮定すれば(よく用いられる)Z-R関係を元に、降水強度を求めることが出来る。RRzの比較は本質でないが、Rzを元に高度変化を調べても本研究の結果は変わらない8/277.

b4)平均落下速度

落下速度はいくつかの定義がありますが、水のフラックスの速度で定義する方法がある。ただし、新たな情報が得られないので、ここでは示さない。

(A19)vt降水強度を雨水量で割る

広く用いられるのは反射強度η(v)で重み付けした平均速度で、平均ドップラ速度と呼ばれる。レーリーの領域ではD^6となるので大粒子の落下速度が強調される。

A20vd:折り返し速度内で積分。ここでは12.3m/sである。

さらに、ドップラスペクトルの極大値の速度(the velocity of the peak of the Doppler spectrum)を考える。極大値はそれほど明確ではない場合があるので、積分範囲を極大値の周辺でとめてしまう。

(A21) ve(z):高度ごとに積分

積分範囲はη(v_upper)=η(v_lower)=η(v_max)/eとなるような速度範囲である。対称性の高いスペクトルではvdveはよく合う。vdveの違いはドップラスペクトルの非対称構造を明らかにする。

 

c)大気密度の効果

US標準大気、MP粒径分布を仮定して、調和平均した場合の降水強度に対する大気密度の効果を調べた。スペクトルは粒径で0.255.8mmで積分した。結果を図A8に示す。求めたパラメータは平均落下速度vdを除いて負の傾きを持つ8/28’7

 

d)平均鉛直風と擾乱の影響

d1)概要

(A5)(ドップラ速度と高度から粒径を求める式)は静止した大気でのみ有効である。残念ながら単一のK帯レーダでは独立した風の情報を得ることが出来ない。K帯の降水スペクトルから鉛直風を評価する手法はいくつかあるが(Rogers1964Hause&Amayence1983)、これらの手法の評価はおこなわれてきていない。近くの観測塔での鉛直風と比較してみたが、実際の風はかなりかけ離れている。したがって、鉛直風について補正することは、少なくとも、ちいさい、あるいは、中程度の擾乱がある場合は、MRRの観測値を劣化することになるだろう。したがって、鉛直風0を仮定して、観測値を積分する際にこの仮定がどのくらい影響を与えるかを評価した。鉛直風に対する定量的な感度はDSDの形状だけでなく、解析するスペクトルの範囲にも依存する。決まった速度でスペクトルを切り捨てることは風の誤差をさらに悪くしたり、弱めたりする。

平均鉛直風と擾乱の変動の影響を評価するために正規対数相対平均誤差LEMpLETpを導入した。

(A22)LEM:平均鉛直風の誤差、(A23)LET:擾乱の標準偏差の誤差

ここでPwは鉛直風速がwのときのPの評価値、Pσ_wは分散σw^2で平均0の擾乱があるときのPの評価値である。捕足Ad2)d3)で示すように、LEMLETは現実的なw、σw^2についてはほぼ定数である。

本研究での関心は、絶対値ではなくて高度変化である。wに関連する不確定性はありそうな傾度を持つ正規化した誤差を乗じることで評価した。

最初は高さ方向に線形の依存性を仮定し、次に1kmの高度範囲で平均的な傾度を求めた。8/29’7

鉛直流の傾き±10cm/1km以内というのは保守的な(伝統的なconservative)評価であると仮定している。同様に鉛直流の分散も±0.2(m/s)^2/1km以内であると仮定している。後のほうの評価は下層数百メートルの長期的なレーダ観測との比較によって支持されている。分散の平均値0.2(m/s)^2と分散の標準偏差0.2(m/s)^2(Peters&Fischer,2002)は中立に近い大気で観測されたものである。擾乱が1.5km高度でなくなる条件では∇(σw^2)=-0.2m2/s2/kmと仮定できる。平均鉛直風と擾乱の効果を表A1にまとめる。[越田による注:鉛直流wは実測がないはずなので、おそらく、物理量を算出する際のvに鉛直流wを与えてPwを評価したものと思われる。Pσ_wは±σwの範囲で、η(v)を再配分して評価したと考える]8/30’7

鉛直風による誤差はマーシャルパルマーにより粒径分布を仮定して観測値Pを計算することによりシミュレートした。MP分布による降水強度はA16(観測した粒径分布の積分)でもA18ZR関係式)でもない。Torrers(1994)によれば、R,Rmp,Rzは相互に再解析不可である。だから、雨滴定数a,b(B,β)は最小自乗法であわせた。a=250,b=1.42となり、本解析ではこの値を用いている。

d2)平均鉛直風

MP分布であるA24A1,A2,A4(反射強度と粒径・個数の関係式)を用いてドップラスペクトルに変換した。ドップラスペクトルは5つのステップで±0.76m/s幅の鉛直風にずらして対応させ、平均鉛直風を再現した。9/3’7

結果は図A9に示す。降水強度、雨水量、減衰補正係数はwの広がりによる誤差が降水強度の広い範囲で見ることが出来るので、あまりRmpに依存していない。降水量は上昇流がある場合に過小評価される傾向にある。減衰係数は10mm/hより大きいところで3dB/(m/s)であった。Zwにあまり依存しない。下向きの鉛直流があると大粒子が計算範囲vmaxを超えてしまうので過小評価となる。

(p1945r,内容が読み取れない)Rz/Rw=0において1となるべきである。ZR関係式で雨滴定数のabはこの目的のためには合わせていなくて、むしろRz/Rmp1となるようにあわせている。だからRz/Rの平均は1から外れており降水強度によって波打っている。本研究の目的ではRz/Rの鉛直傾度の回帰誤差を比較するので(p1934r)、平均値の1からのずれには関心がない。保守的な見積もりで、表A1に示したように、wに対する最も高いRz/Rの感度はLEM-3.8dB/(m/s)であり降水強度が10mm/hより大きいところでおきる9/6’7

(下降流:wがマイナスのときは短時間で粒子が落ちてくるのでZRで求めた降水強度より小さくなる。RZ/R1より大きい)

A10:音響式風速計で測定した鉛直風と、その鉛直風により補正したRと実測のRの比の関係

ほぼ、Rcorr/Runcorは線形になる。変化率は4.3dB/(m/s)とシミュレーション【3.4dB/(m/s)】に比べて若干おおきい9/7’7

 

d3)平均が0の擾乱

平均が0でも渦があると次の2つの効果で測定値に影響を与える。1)降水強度と鉛直風の相関。2)鉛直風の回帰誤差が非線形であること。鉛直風と降水強度の相関は正:上昇流が強いと対流性の降水が多く発生する、負:摩擦で生じる下降流が発生して降水量が少なくなる、の両方がありえる。9/10’7

RzRの分布は全体的な粒径分布、減衰補正の取り扱い、レーダ定数に依存するが、それらの効果は分母・分子ともにでてくるので、Rz/Rにはあまり寄与しないと考える。だから、R/Rzというのは粒径分布の変化や、ZR関係式の高度方向の変化を調べるのに用いる。(A11によれば、擾乱はRz/Rに大きく影響しているが、高さの変化を見る場合は用いてよいだろう、と考える)9/11’7

 

捕足B:降雨データを平均するときの落とし穴

a)スペクトルの平均と降水パラメータ

平均の手法が変わったら、得られた降水パラメータはかわってくる。例えば、スペクトルの平均を取ってから降水パラメータを計算する手法と、すぐにスペクトルから降水パラメータへの変換をおこなって、降水パラメータで平均する手法がある。我々は即時にスペクトルの平均を6秒ないし56秒で行っている。それぞれは10秒ないし60秒の繰り返し期間に対応している(4秒のデータ転送時間・計算時間を含む)。それぞれの平均期間でパワースペクトルの数は150ないし1400である。夏について残りの平均は降水パラメータの高度で行った9/12’7

落下速度vdは正規分布(normal distribution)を示す。このときは算術平均というのは自然な選択である。R,LWC,Ze,Z,Zrは対数型の存在確率分布を示すので調和平均という選択肢もあったが算術平均した。理由は、ゼロや負の値が合った場合に調和平均がおかしくなるからである.9/13’7

 

 

捕足C:擾乱がある場合の平均ドップラスペクトルの、幅とエネルギー

粒子の落下速度のスペクトルは鉛直流の影響を受けるので、それらを分離することは難しい。停滞する大気中の粒子のスペクトルをガウス分布で与えて、算術平均を取るとエネルギーは保存するがスペクトル幅は広くなる。調和平均を取るとスペクトル幅は擾乱の影響を受けないが、エネルギーは減少する。(Why?)現実のスペクトルはガウス分布ではないので、調和平均が完全であると主張するつもりはないが、調和平均と算術平均を比較すると調和平均の方が、擾乱の与えるスペクトル幅への寄与を教えてくれると考えている。8/177

 

 

A Review of Convection Initiation and Motivation for IHOP_2002

Tammy M. Weckwerth and David B. Parsons

Monthly Weather Review  
Volume 134, Issue 1 (January 2006) pp. 5–22
DOI: 10.1175/MWR3067.1

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Critical Assessment of Microphysical Assumptions within TRMM Radiometer Rain Profile Algorithm Using Satellite, Aircraft, and Surface Datasets from KWAJEX

Steven T. Fiorino and Eric A. Smith

Journal of Applied Meteorology and Climatology  
Volume 45, Issue 5 (May 2006) pp. 754–786
DOI: 10.1175/JAM2336.1

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (4.16M) ]

 

Transition of the Rainfall Characteristics Related to the Moistening of the Land Surface over the Central Tibetan Plateau during the Summer of 1998

Hiroyuki Yamada and Hiroshi Uyeda

Monthly Weather Review  
Volume 134, Issue 11 (November 2006) pp. 3230–3247
DOI: 10.1175/MWR3235.1

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (2.89M) ]

 

The Role of Forcing in Cell Morphology and Evolution within Midlatitude Squall Lines

Brian F. Jewett and Robert B. Wilhelmson

Monthly Weather Review  
Volume 134, Issue 12 (December 2006) pp. 3714–3734
DOI: 10.1175/MWR3164.1

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (3.69M) ]