安形康[1]・金炯俊[2]・宮崎真[1]・金元植[2]・小森大輔[3](文責:安形)
[1]JST-CREST,東京大学生産技術研究所(日本),[2]延世大学(大韓民国),[3]東京農工大学(日本)
AGATA, Yasushi1,
KIM, Hynugjun2,
MIYAZAKI, Shin1,
KIM, Wonsik2 and
KOMORI, Daisuke3
[1]JST-CREST, IIS, Univ. of Tokyo, Japan,[2]Yonsei Univ., Korea, [3]Tokyo Univ. of Agri. and Tech., Japan
2002 Nov.作成,Revised:2003 Jan 30, 2003 Feb. 27
筆者らはタイ国Tak県にあるEGAT(Electricity Generating Authority of Thailand )タイの発電に関する政府機関)が管理するタワー,通称「Takタワー」に設置された気象等観測機材で得られたデータを,Internet網を用いたe-mail添付ファイルの形で毎日担当研究者のもとへ送るシステムを構築している途中です.このタワーには固定電話回線を引くことができなかったため,タワーにあるPCからInternetへの接続は携帯電話を使用したダイアルアップを用いています.電源の問題で長期安定運用にはいたっておりませんが,テスト的な無人データ送信には成功しております.2003年1月に電源関係を調整した結果長期安定運用が可能になりました2003年2月に再度システムを入れ替え,長期安定運用が可能になりました.
以下に記すのは,このシステムの技術詳細および実際の申し込み・設定作業です.これらの情報を現地で一から集めなおすのは(PC・携帯電話マニアのタイ人とお友達にならない限りは)相当に困難かつ時間がかかりますので,これらの情報を参考にしていただければ幸いです.
なお,本稿で記すのは,PCにファイルの形で格納されたデータをどのようにメールで送るのかということに関するもののみです.観測機材で得られたデータをどのように定期的にPCに格納するのかに関する技術情報については,ほかの資料を参考にしてください.ちなみに現在Takタワーでは,二つのデータロガー(CR5000とCR10)によって各種センサーからの信号を処理し,それを10分ないし1時間おきにPCに格納しています.
注意:タイでの携帯電話事情は「毎月変わる」と現地の方に言われたくらい頻繁に様子が変わるようです.下記の情報はあくまでも2002年10月段階でのものであることをご承知置きください.
諸般の事情により,Windows 2000 Professionalを搭載したPCがよいでしょう.データロガーとの接続のために十分なCOMポートを持つことが必要です.さらに,携帯電話との接続にUSBポートが必要です.USB給電でのみ携帯電話バッテリの充電を行う場合,このポートは常に給電されている必要があります.
タイの電気は電圧200Vですからそれに対応する電源が必要です(100/200V対応電源でも,電源ユニットのスイッチを切り替える必要があるでしょう).また,数秒の停電ならいつでも起こります.適切なUPS設置が必要です.復電時のシステム自動復帰も仕込んでおく必要があるでしょう(最近のマザーボードのBIOSには,電源オフ時にAC電源が入ったときにはスイッチを押さなくても自動的に主電源が入るように設定できるものが多いです.また,毎日決まった時間にもし電源が入っていなければ強制的にシステムが立ち上がるようにするオプションもあることがあります).コンセントの形は日本とちょっと違いますが,たいていそのままさせます.
タイと日本の携帯電話はまったく形式が異なります.日本や韓国で使われているPDC形式は世界的に見るとまったくのマイナーで,タイでも使われているGSM形式が世界の主流です.そのため日本国内で買った携帯をタイ国内で使うことは不可能に近いです.
携帯電話のメーカとして主流なのは NOKIA, ERICSSON, MOTOROLA, SIEMENSなどです (日本メーカのプレゼンスは本当に弱いです).
しかしこれらのメーカはまさに携帯電話というハードウェアを売るだけです.通信キャリアとの契約はまったく別の話です.
GSM携帯電話には内部にSIMカードという小さなICカードが入っていて,これはユーザが自由に抜き差しできます(写真).このカードにはユーザの登録情報が入っています.携帯電話を買い換える時には,このSIMカードを古い電話から抜いて新しい電話に入れるだけで,すべてのユーザ情報を引き継ぐことができます.このSIMカードを売るのが,通信キャリアです.
このキャリアは寡占状態です.最大手はAIS社,それを追撃するのがDTAC社です.ほかに新規参入組もあります.これらのメーカから,SIMカードを買います.
前述したように携帯電話にはSIMカードを入れて初めて使えるようになります.このSIMカードの形式はどの通信キャリアでも(というより世界中GSM形式である限り)共通です.ですから,「AIS用」「DTAC用」といった携帯電話は基本的にはありません.どのメーカの携帯電話も,すべてのキャリア用に使えます.このあたりは日本の人は少し戸惑うかもしれません.携帯電話メーカと通信キャリアはまったく別なのです.
さて,携帯電話の値段や性能はそれこそピンキリで,一般の使用のために買うときには結構迷うでしょう.しかし,今回の目的には,下に述べるUSBデータケーブルが使用可能である携帯電話が不可欠です.また,WAP(日本のiモードのようなもの)も使わず,Javaアプリも関係ありませんのでこのような機能はあっても無駄です.こうしてみるとかなり対象は絞られてきます.
さらに,市場での入手具合を考慮して,今回はSiemensのC45(写真)を選びました.価格は4500〜5200バーツ程度です.たいていの店には置いてあります.2003年2月,これをERICSSONのT39mに入れ替えました.理由は後述します.これの値段は9000バーツです. ちなみにもっとも多くの店においてあったNOKIAの3310という機種は,下記のケーブルではデータ通信ができません.
また,基本的に音声通信は行いませんので日本のAirH"のようにデータ通信に特化した端末を使ってもよいのですが,そういうものはまだタイではそれほど一般的ではありません.2003Feb追記:EricssonのGC75のようにデータ通信に特化したモデムも出てきているようです.
携帯電話とPCを接続する方法は3つあります.IrDA,シリアル(COM)ポート,USBです.
ラップトップを使う場合IrDAが非常に簡単という話を伺ったことがあるのですが,今回Takタワーで用いたデスクトップPCにはIrDAポートを増設していないので,選択肢はUSBかシリアルかということになります.
USBとシリアルの違いは,かなりクリティカルです.USBの場合は,接続した段階で携帯へDC電源が供給され,バッテリの充電が始まるのです.多くの場合,この種のケーブルは充電ケーブルと同じソケットを使用するので,両方を同時に使うことはできません.長期間放置する今回のような場合,この充電機能は絶対的に必要です.ですからシリアルではなくUSB接続を行なうことになります
さて,そのようなケーブルはSIEMENSでも出していますが,バンコクでは見つかりませんでした.その代わり,サードパーティのMobile Action Technology Inc.(台湾)が出している「Fone Data Suite」(写真)を1800Bで買うことができました.実はそれが売られているのを見かけたのは「バンコクの秋葉原」パンティッププラザ(写真)1階左奥にある店一軒のみでした.途方もない規模の携帯電話ショップ街があるMBK(マーブンクロンショッピングセンタ)4階で2時間歩き回っても見つかりませんでした.実のところを言うと,すべての店をつぶさに見るのは2時間ではまず不可能な代物ので,実はこのケーブルは(あるいは同等品は)どこかにあったのかもしれませんが.
さて,この社のケーブルは携帯電話メーカごとに種類が分かれており,次のような対応となっています.
(ただし最新情報はWeb資料を参考にしてください.多分たびたび変わります.)
Cable No.
Maker
Type
MA-8510
ALCATEL
OT501,OT701
MA-8610C
NOKIA
6210,6310i,7110
MA-8710C
SIEMENS
S25, S35i, SL45, SL42, S45, ME45, C45, M50, MT50, S2588, 3568i, 6688, 6686, 6618, 3618, 2118, 3118, C35i/3508i, M35i/3518i
MA-8810
MOTOROLA
Timeport T260, P7389i
MA-8820C
MOTOROLA
V60, V66, V70
MA-8910C
ERICSSON
R520, R320, T300
MA-8210
SAMSUNG
S100
MA-8310P
PANASONIC
GD87/GD88
ここに挙げられている機種は価格にも入手性にも極端に差があります.実はパンティップにもMBKにも見つからなかった機種もあります.そして,これらの中でもっとも多くの店で見かけ,かつ値段が手ごろだったのがC45であったというわけなのです(今回はC45はPhisanulokで買いました.こんな地方でも手に入るのです).ちなみに筆者の一人が調べた限りではもっとも安かったのはSiemensのS35i(MBKのある店で2600バーツ)なのですが,これはC45に比べるとはるかに入手性が落ちるものでした.また,ほかの機種の中で見かけることができたものに関してはどれもがC45より有意に高価でした(T39,SL45は6000B台,ME45,T68は10000B以上).
なお,前述のMBKには中古携帯電話ショップがあるようなのですが,今回は新品を使うことにしました.
結論として,今回は新品のSiemens C45とMA-8710(USBタイプ)の組み合わせを選びました.
2003年2月に携帯電話・ケーブルを入れ替えました.上記のように携帯はEricssonのT39m,ケーブルは同社純正品のDCU-10です.これはDCU-10の場合バッテリ充電をUSB経由ではなくACアダプタを介して行なう,すなわちAC電源経由の「本物の」充電とUSB通信が同時にできるという特色を持っているからです.
T39m,DCU-10ともに,バンコクではEricsson社支店で入手可能です.
今回は最大手であるAIS社の一般加入電話を選びました.
別にDTACでもよかったのかもしれません(少し安い)が,今回は設置場所の近くにアンテナがあり強い信号が入るAISのほうを選んだのです.
さて,キャリアへの登録は,要するにその登録情報が入ったSIMカードを買うことと同値です.これには実は二つの種類があります(SIMカードを使うという点はもちろん共通).「一般加入電話」と「プリペイド電話」です.
プリペイド電話はAIS社の「One-2-call」,DTAC社の「D-prompt」です.これは旅行者でも気軽に買えます.SIMカードを買って説明書(タイ語と英語で書いてあるのが普通)に従うと使えるようになります.しかし,この方法ではデータ通信ができないという重大な欠点があります.
したがって一般加入電話を選ぶことになるのですが,ここでひとつ厄介なことがあります.一般加入電話は,タイ人か,ワーキングパーミションを持っている外国人しか買えないのです(最近MBKあたりではこのルールがルーズになり始めているという情報もありますが).
したがって,ワーキングパーミションを持っていなければ,持っている方かタイ人の協力を得る必要があります.
今回は,業務を手伝ってくれているRID(Royal Irrigation Department, Thailand)の方に登録をお願いしました.
料金はいろいろなコースがありますが,音声通話を基本的には行わないためもっとも基本料金が少ないものにしました.ただし,基本料金にはある程度の無料通話時間が入っているのですが,データ通信のときにはそれとは関係なく3B/分かかります.
なお,高速データ通信オプション「GPRS」は今回は申し込みませんでした.C45自体がそれに対応していないためです.SonyEricssonのT39mはGPRSに対応しています.
ここが,今回最も苦労したところです.
上記の通常の申し込みをしただけでは,データ通信を行なうことはできません(モデムのセットアップを終了してISPのアクセスポイントにダイアルアップしようとしても,通信が始まる前にAIS側で回線を遮断される).
これを許可してもらうにはわざわざAISのコールセンターに電話する必要があります.電話番号は1175です.ここに上記の登録名義人が電話し,データ通信を申し込みますと,3時間後にデータ通信が可能になります.
この情報は携帯を購入した店では教えてくれず(さんざん「データ通信に使う」といったのですが),実につながりにくいAISのサポートセンターに散々苦労した末聞いてやっとわかったという次第です.
街中でプリペイドカードを売っています.今回はSukhothaiの街にあるPCショップに並んでいたCS Internetのプリペイドカードを買いました.一番高いものですと,79時間使えて700B程度です(最初の使用から一年有効).
カードにはアクセスポイント電話番号表が付属しており,そこにダイアルアップしてユーザID,パスワード(どちらもカードに書いてあります.ちなみにスクラッチカードになっているので,コインで覆いを剥がす必要があります)を入れればInternetにつながる,はずです.ちなみに56KBpsです.ホテルの電話等からは,30〜50Kbps程度のパフォーマンスが得られます(しかし携帯接続の場合はもっと遅い.後述).
どこかに書面を提出したり,FAXを送ったりは不要です.また,クレジットカードを持っている必要も身分証明書を見せる必要もありません.単にカードを買うだけです.なんとも気軽なものです.
なお,アカウントがexpireしそうになったときには,他のカードを買ってくればその分を旧アカウントにWeb経由で充当(refill)することができるそうです.また,あと何時間分使えるかはWebからわかります.カードさえ前もって十分買ってあれば,日本からでも多分操作可能.詳しくはCS Internetのオンラインサービスをご参照ください.
現在作成中.現地で取ったメモのみ下に記します.下記はPhoneDataSuiteの場合です.DCU-10の場合はまた違った場面となります
cable付属のCD-ROM 派手なオープニング 言語(English),機種(Siemens C45),ケーブル(MA-8710 USB)選択 MainMenuから How to setup modem選択 Help画面にやり方が出てくる. ・USBケーブルを接続 ・「あたらしいハードウェアの検索ウィザード」登場 ・CD-ROMは入れたまま ・「ソフトウェアを自動的にインストールする」をONにして(なっているはず)実行 ・Windowsロゴを取得していない云々がでるが「続行」 ・完了.「MAT USB-to-Serial Bridge」なるハードウェアが認識・設定された 電話を接続 コンパネ−システム−ハードウェア−デバイスドライバ 「ポート」でCOM4に入っている
・CD-ROMの\MdmSetup\MaMdmSetup_USB.exe 実行 ・COM4を選択.かならず明示的に選択すること.そうしないと有効なポートを全部使ってしまう. ・コンパネ−[電源とモデムの管理]−[モデム]で,SIEMENS_C45_2118 GSM Modemが加わっていることを確認. ・使用時に極度にシステム全体の反応が遅くなるなら, モデムの[プロパティ]−[詳細設定]の[ポートの詳細設定]から 「FIFOバッファを使用する」をアンチェックすれば多少はましになる.
できたばかりのモデム(COM4など)を使って,"CSInternet"の名でダイアルアップエントリを作る. 結構不安定なので,複数の電話番号を登録.接続に失敗したときには次の番号にかけるようにする. ・テスト.遅いのでびっくり.最高で9.6Kbps. ・ケーブルをCRTに近づけると画面が乱れる.出力が強いのか,シールドが足りないのか(両方?)
rasdialは自動ダイアルアップ・切断プログラムで,WindowsNT系のOSにはデフォルトで入っています(Win95にはありませんでした).Windows2000 Proにも当然入っています.
まずテストをしてみます.コマンドプロンプト(cmd.exe)から
rasdial "CSInternet" username password
これでconnected to CSInternetと出てくれば正常です.このとき,携帯電話のディスプレイにはデータ通信実行中であることを示す画面が出てきます(写真).次に
rasdial
これで,現在CSInternetに接続中と出てくるはずです.最後に,
rasdial /d
これで切断されます.数秒後に携帯電話のディスプレイにもcall endedと出て,切断されたことが確認できます.
現在作成中.というか説明の必要もないような気がするので詳しくは書いていません.ただしpkzipのDOS版はLongFileNameを使えません(8.3形式のみ).ちょっとハマりやすい点です.
Windowsでのメイル送受信はWindowsのグラフィックユーザインタフェースを利用したプログラムを使っている方が多いでしょうが,世の中にはコマンドラインからメイル送受信が可能なものがあります.今回はPDS(Public domain software,作者が著作権を放棄したソフトウェア)であるblatを用いました.
blatのありかはhttp://www.interlog.com/~tcharron/blat.htmlです.ファイルのインストール方法は,単にzipを解答すればblat.exeが入っています(C++のソースも入っていますので,メイルシステムの勉強にもなるでしょう).
ただし,使用前に次の儀式が必要です.:
blat.exe -install servername mailaddress [how_many_tries [ port]]
mailaddressはFrom:フィールドに書くアドレスです.CS Internetの場合,SMTPサーバはmail.cscoms.comですから(→資料)servernameにはこれを指定します.以上は必須です.一方,how_many_triesはオプションで,指定しなければ1となります.
次は,実際にメイルを送って見ましょう.c:\temp\test.txt(など)にメイル本文となる適当な文字列を入れ,Internetに接続したのち,
blat.exe c:\temp\test.txt -to agata@iis.u-tokyo.ac.jp -subject Test
添付ファイルをつけるには,
blat.exe c:\temp\test.txt -to agata@iis.u-tokyo.ac.jp -subject Test -attach c:\temp\test.zip
その他のオプションは,
blat
のみ入力すれば出てきます.
Windowsには標準でコマンドプロンプト版のftpクライアントが入っています.
ftp -s:filename
とオプション-sを与えると,テキストファイルから文字列を読み込み,それをftpコマンド入力と解釈して実行されます.
ftpはパスワードも含めて暗号化ということはされませんから危険といえば危険です.そのため暗号化通信を実現するSSHなどの手段が必要とされる場合もあります.SSHを介してリモートファイルコピーを行うにはscpクライアントと呼ばれるプログラムが必要になります.
Windows用のコマンドラインscpクライアントとしてはPuTTYに含まれるpscp.exeが定番です.
pscp -pw:password source_file [sourc_files...] user@remotehost:target
のように使います.
電話をかける−必要なファイルをアーカイブファイルに入れ圧縮する−アーカイブファイルを添付ファイルとしてメールで送る−電話を切る という手順を自動化するにはバッチファイルがお手ごろです.
MS-DOS伝統のバッチシステムは,UNIXのシェルスクリプトに慣れ親しんでいる方からは嘲笑を買いそうな代物ではありますが,それでも地道に進化を続けていて以前より多少は使いやすくなっています.
以下は,実際に現地にインストールしたものではなくその改良版です.注意:2003年1月段階ではさらに改良を加えました.下記は2002年11月版です.
ちなみにデバグ中にはコマンドプロンプトを使うと思いますが,Windows2000のコマンドプロンプトにはcommand.comとcmd.exeの二つがあります.このうち,後者のほうがヒストリ管理ができ(上矢印キーで直前の入力内容がでるなど),またファイル名補完がきくので楽です.
[Control Panel]の[Tasks]から,上記のバッチファイルが定期的に実行されるようにします(コマンド名はバッチファイル名そのもの,あるいはcmd.exe /e:ON /c bacth_file_name).いつ,どの程度の間隔で行うかは研究の目的によるでしょうが,もちろんISPの混んでいる時間やロガーからのデータ取得時間ははずしたほうが無難です.
C45の場合,電源供給が途絶えるとバッテリは2日くらいしかもちません.したがって電源供給に関してはいろいろと気を使わねばならないことがあります.
[control panel]の[電源オプション]で,一切の電源管理をしないようにします.
そして,スクリーンセーバも無効にします.
Ctrl+Alt+Deleteダイアログで行なうスクリーンロックも行ってはいけません.
これだけやっても,常にUSBに電源が供給され,携帯電話のバッテリの心配がなくなるかというと実はまだ関門があります.
実を言うとまだこの点に関しては安定運用にいたっておりません.つまりUSBに接続して,携帯電話の画面には充電マークが出ているのに,運用中に電源が切れてしまう「事故」が発生しているのです.何回か電池切れにいたったバッテリですのですでにヘタっているのか,USBからの電源供給が予想以上に弱いのか,まだ真相は藪の中です(これをconfirmするには現地で数日試験をする必要があります).
ちなみにノートPCのUSBポートに接続したときは,PCのバッテリの減りが極度に早くなったように感じられました.消費電力は意外と大きいのでしょう.ですからPC本体のUSBポートに直接接続するよりは,AC電源がついたUSBハブを介したほうがいいのかもしれません.また,ポートごとの電源供給量を最初に確認しておくべきだったでしょう.
どうしてもUSBケーブルでは電源供給が安定しないようならば,携帯の充電ケーブルをつけっぱなしにし,PCとの接続にはIrDAを使うことを考慮する必要があるでしょう. ですから,次回のTakタワー訪問時は電源つきUSBハブ(220V対応)と拡張IrDAモジュールを持ってゆくつもりです.2003年1月に著者の一部(金・金)が電源関係に手を加え,AC電源つきUSBハブをかませた結果,長期間毎日定期的にファイルが転送されるようになりました.なお,2003年1月段階ではファイル転送はメール添付ではなくscpで直接韓国のサーバに送るようになっています.
SonyEricssonのT39mと純正USBデータケーブルDCU-10を用いた場合は,携帯電話自体の電源については極めて安定して運用されています.当初はUSB給電のみで充電するタイプのケーブルを使っていたのですが,経験上これではバッテリが涸渇する例が珍しくありません.DCU-10のようにAC電源を別にとり,ACからの充電とUSB通信を同時に行えるように工夫されたケーブルを,当面は使うべきでしょう.
TakタワーはGAME-T(Phase1)のころから重要な観測拠点として使われてきました.ゼロの状態から小屋を整備し,発電機やバッテリを設置し,長大な電源ケーブルを張り巡らし,人材を教育し,ステーを置き,観測機材が少しでもいい状態で動くように整備してきたのは京都大の大手さんや戸田さん(現・森林総研),筑波大の西田さんをはじめとするGAME-Tのフラックスチームです.彼らの努力に大いに敬意を表したいと思います.また,貴重な研究の場を提供してくれているEGATにも感謝の気持ちを伝えたいと思います.
現在の観測の主体はGAME-TからKoFluxに移りましたが,観測機材などの資金は文部科学省総合地球環境学研究所(地球研)に出していただいています.
2002年7,10,11月および2003年1,2月のデータ通信試験時にはRID(Royal Irrigation Department, Thailand)のThadaさん,Panyaさん,Witchaiさん,TMD(Thai Meteorological Department)のPerapolさん,東京大学生産技術研究所試作工場の米良さんに,ご多忙なところ多大なる協力をいただきました.また,アジア工科大学(AIT)の本多先生と岩男先生にはPCの置き場所を提供していただくと同時に,貴重な情報を教えていただきました.Chulalongkorn大学の橋爪先生には,タイの研究活動・社会情勢・人材育成など,長年バンコクに暮らされた体験に基づく多くの助言をいただきました.
その他各種学会・シンポジウム・現地調査時には多くの方から有益な意見を頂き,その多くが実際に上記のシステム構築に役立っております.
上記の方々に深甚なる感謝の意をあらわしたいと存じます.