スプラインを用いてグリッディングしましょう

 グリッディングのもう一つの方法として,大域的方法を用いることもできます.これは,GMTではsurfaceコマンドとして実装されているもので,標準的なMinimum Curvature法の種々の改良のうち代表的なものです.

 この手法では,グリッディングを行う(3次元的な)面に「テンション」を設定することができます.物理的にいうと,3次元空間の中で仮想的な薄い弾性板を考え,それが与えられた点の群(入力データを3次元座標としてとらえる)をすべて通るようにしたとき出来上がる曲面をもって,出力データ(グリッドデータファイル)とします.数学的に書けば,関数z(x,y)を考えたときに,この関数が次の条件を満たすようにします:

\( \begin{array}{ll}
z(x_k, y_k) = z_k, & \mbox{for all data $(x_k, y_k, z_k), k =1,n$ } \\
(1-t)\nabla^4 z - t \nabla^2 z = 0 & \mbox{elsewhere}
\end{array} \)

ここでtは「テンション」と呼ばれるもので,0≦t≦1です.また,基本的にはt→0のとき等高線の曲率が最小となり,t→∞のとき調和解harmonic solutionを得ます(このとき,たとえば出力データの断面をとると直線となっています).この手法の背景となっている理論はいささか複雑で,ここでは全てを説明する余裕がありません.ですから詳細については参考文献のSmith and Wessel [1990]をご覧下さい.

 このプログラムの重要なオプションは表3.3をご覧下さい3.1

表 3.3: surfaceコマンドの主なオプション類
オプション 機能と意味
-Aaspect 異方性を持つグリッドを設定します(アスペクト比を指定).
-Climit 収束限界を指定します.デフォルトはデータ範囲の1/1000です.
-Ttension テンション(上記参照)を指定します.デフォルトでは0です.
 
Original Text by Dr. Paul Wessel
Translated by AGATASHI.