グリッドデータから等値線図を描きましょう

 GMTには,グリッドデータセットを作成できるユーティリティが含まれています.このセッションでは,そのうち二つを主に紹介します.まず始めに,すでにグリッドデータセットがある場合を考えます.GMTの付属アーカイブの中に,数種のパブリックドメインのグリッドデータ(たとえば,ETOPO5・地殻年代・重力・ジオイド・Continental USのDEM)からデータを引き出せるツールがあります.ここでは,grdrasterを用いてGMT用に使えるグリッドデータを引き出し,コンターマップ作成に使用することとします.そのやり方は:

% grdraster 1 -R-66/-60/30/35 -Gbermuda.grd -V

です.

 まず最初に,grdinfoコマンドを用いて,出来たファイルbermuda.grdの内容を見てみましょう:

% grdinfo bermuda.grd

 このファイルは,バーミューダ海域の海底地形データが入っており,深さのデータの範囲は-5475m〜-89mです.このデータからコンターマップを作ります.この作業はgrdcontourコマンドを用います.これまで説明してきたプロットコマンドと同様に,投影方法を-Jオプションで指定する必要があります.しかし,プロット範囲はデフォルトではグリッドファイルに含まれるデータ範囲そのものとなりますので,明示的に指定する必要はありません.また,コンターマップを描くには,どの数値の等値線を描くか必ず指定する必要があります.

 残念ながらgrdcontourは非常に多くのオプションをもつ極めて複雑なコマンドです.しかしここでは,その柔軟さに無理やり頼ってしまうことにして,主なオプションのみを紹介することにいたしましょう:

Table 3.1: grdcontourで最もよく使われるオプション類
オプション 機能と意味
-Aanot_int アノテーション(等値線に描く数値)の間隔
-Ccont_int コンター間隔
-Ggap アノテーションどうしの距離
-Llow/high 等値線を描く値の範囲
-Nunit アノテーションにつける単位名の指定
ーQcut 等値線を引く値の最低値の指定
-Ssmooth x_inc/smoothごとにリサンプルして等値線を描きます
-T[+| -][gap/length][:LH] 閉曲線となっているコンターで,値の小さい方にティック(ケバ)を付けます.
ティックの間隔と長さを指定し,さらに必要ならば閉曲線の中央に描く文字を指定します.
-W[a| c]pen コンターおよびアノテーションに使うペン属性の指定
-Zfactor[/offset] コンターマップを作る前に,データからoffsetを差し引き,factor倍します.
 

 さて,まず最初に簡単なコンターマップを作ってみます.アノテーション間隔1km,コンター間隔250m,7インチ幅のメルカトール図法マップで描くことにし,外枠に2度ごとに数値を入れます.これは例えば次のような指定となります:

% grdcontour bermuda.grd -JM7i -C250 -A1000 -P -B2 | ghostview -
Original Text by Dr. Paul Wessel
Translated by AGATASHI.