General comments on the conventions : →原文| ↑ALMA データ規約へ
各表にある短い変数名は,重複がなく,また内容が容易に推測できるように決めたものです.複数のモデルの結果を支障なく解析することができるためには,全てのモデルが同じ変数名を使用して結果を出力しなければなりません.しかし,現状あるモデルの変数名を変えるのは極めて難しいということは承知しています.それはユーザの仕事の習慣を変えることを強制するからです.その問題の解決の一助となるのは,NCOパッケージにあるncrenameというプログラムです.これはnetCDFファイル内の変数名を変えることができます.これを用いて,相互比較センターに結果を送る前にnetCDFファイル内の変数名を変更することが可能です.ソフトウェア・バザールにあるデータチェックユーティリティの場合には,ALMA標準の名前をもつ変数が見当たらないときには,プロンプトを出して,変数のエイリアス名をユーザに尋ねます.エイリアスが与えられた変数は自動的にALMA基準に合うように名前を変更され,これによりそのnetCDFファイルは相互比較に使えるようになります.
この列は,変数の内容を適切に表現する長い名前long nameを記述しています.この名前はnetCDFファイルに含まれる必要があります.上記の短い変数名だけを書くより,この名前も書き込んだほうがずっと説明が十分になるからです.long nameは変数名よりずっと個人的好みによらないものです(安形注:意味不明.原文=The long name depends much less than the variable names on personal preferences.).
変数の説明に関するnetCDF属性はlong_nameです.
論理的に決められかつ解析にも便利な単位系とは何かという点についてたくさんの思考と討論が行われてきました.私たちは最終的に,どの場合にもSI単位系を用いることが適切であるとの判断を下しました.SI単位系は時として直感的でないため,ソフトウェア・バザールには単位系を変換するためのプログラムが用意されています.
単位に関するnetCDF属性は,unitsです.
ユーザの利便性のために,正負規約は二通りの規約の中からどちらかを選べるようにしました.各LSSは,この二つのうちのどちらかの規約に一貫して従う必要があります(変数ごとに従う規約が違うというのはいけません).それらのうちの一つは「慣習的」な規約です.これは,どの変数についても「主な」流れの方向が正となります.たとえば,降水と放射については地表面に向かう方向が正,蒸発・顕熱フラックス・流出については地表面から離れる方向が正となります.もう一つの規約が「数学的」なもので,水およびエネルギーの収支が成り立つように決められています.たとえば,降水と放射はこちらも地表向きが正ですが,一方で蒸発・顕熱フラックス・流出については地表から離れる方向が負となっているのです.
これらのうちのどちらの規約が使われているか示すのがnetCDFファイルのグローバル属性です.ソフトウェア・バザールにあるデータチェックプログラムは,この属性に基づいてデータチェックを行います.また,単位変換プログラム(これもまたソフトウェア・バザールにあります)も各変数の正負変換を行えます.
正負の規約に関するnetCDF属性は,SurfSgn_conventionです.
この列は,それぞれの変数の重要度の度合いを示します.「必須」となっている変数は,すべてのLSS相互比較用プロダクト(結果のファイル)に含まれている必要があります.「推奨」の変数については,多くの相互比較プロジェクトでは含まれることが奨励されます.「オプショナル」となっている変数については,特定の気候条件や適用範囲にのみ重要なデータに関するものですから,全ての相互比較用プロダクトが含む必要はありません.
この二つの温度は大差ないように見えますが,しかしこれら二つの変数の間には重要な違いがあります.前者はグリッドボックス内でスキームが行った熱収支計算の結果として得られた全ての地表面温度の平均となります.一方,後者はモデルがグリッドボックス全体からの外向き長波放射量を計算するために用いた地表面温度の平均となるのです.この「平均」の計算に当たって注意しなければならないことは明白で,それは平均化に際して外向き長波放射量が変わってはならないという点です.つまり,平均をとる値はT4なのです.(安形注:このあたりイマイチ自信がない:原文=This averaging process obviously needs to take into account the fact that the outgoing long-wave flux has to be conserved. It is thus the T4 variables which need to be averaged.)
エネルギー収支の実装にあたっても,この二つの値の間にある違いを意識する必要があります.たとえば乱流フラックスと長波放射の計算に当たっては,同じ地表面温度が使われるというわけではありません.つまりここでも二つの異なる「地表面温度」を用いる必要があるのです.しかし,シンプルなモデルですとこの二つの値の差はたいしたことがないかもしれません.
この変数は速い流出特性をもつ流出の量を表します.つまり浸透が追いつかなくなって流出する地表流(Horton型地表流)や土壌が飽和することにより生じる地表流(飽和地表流)などによって起きた全ての地表流(またはその同値の変数)が含まれます.しかしそれだけにとどまらず,この値にはクイックフローを構成する速い側方浸透流も含まれます.モデル計算により,降雨イベントにおける速い流出の主成分を構成するのは,drainage componentや基底流成分ではなく速い側方浸透流とされています.
この変数は,河川水のうち流路を離れてグリッドセルのインタフェースに戻ってくる(安形注:意味がよく分からない.原文=streamflow which leaves the channel network and returns to the grid cell interface)水の量を表します.正負は,常に表面流出と逆になります.河川水浸透量が与えられている場合,この値は表面流出から引いてはいけません.
流出特性のうち遅い流出を構成する成分の流出量です.重力排水や遅い側方浸透流による流出が含まれます.
各計算タイムステップの最初と最後の間における何らかの貯留量(storage)のトータルでの変化量を表します.どの時間スケールにおいても,水収支を成立させるために必要な量です.貯留量自体のデータ(SurfStor, SoilMoist等)は,各タイムステップ間の貯留量の平均を表しますから,両者は異なるものです.
シミュレーションに使われる各土壌層のそれぞれについての土壌水分ないし温度が入ります.各LSSは,それらがどのように使われるときでも,土壌層の数やその厚さが異なります.多くの土壌層を設定して計算するLSSの場合は,結果の出力にあたってはそれらを統合して数層分のデータを出します.一方,土壌層の境界を明示的に指定しないLSSの場合は,どのようにして境界を設定するかはモデル設計者の判断に任されるか,そうでなければ,単純に深さ方向の平均をとる方法に従います..
これもまた上記の変数と同様に土壌層各層に関する値で,各層における凍っていない土壌水分量を表します.土壌の凍結を考えないLSSの場合,または土壌が凍っていない場合はこの値はSoilMoistに等しくなります.
各土壌層の土壌水分量のシオレ点水分量との差を合計し,総土壌水分量とします.その値を,土壌層が最大に含むことができる水分量とシオレ点水分量との差で割るとこの値になります.この値は土壌の飽和度の指標であり,表O.2にある総土壌水分量の値とあわせて,最大利用可能な土壌水分量の計算ができるようになります.
ここで言う海氷Sea-iceとは,大洋・海・そして湖の表面にできた氷の層のことです.海氷域の面積率は,このような氷面の面積のグリッドセル全体の面積に対する割合となります.これは海などの開水面がグリッドセルの一部しか占めていない場合でも同じです.
LSSに与える大気のフォーシングデータは2次元ですが,現実には3次元配列として与えています(ランク3).つまり,これらの値には垂直方向の軸,つまり高さ軸に沿っていくつかの値を与えることができるのです(もちろん値が1つの場合もありますが).垂直軸を含んだ形にすることは,次の二つの利点を持ちます:まず,フォーシングデータをとった点の高さに関するデータを,データファイル内に取り込むことができ,後に改良を行うことが容易になります.二つ目には,将来LSSの相互比較が,複数の高さの大気データを用いて行われるようになったとき,データフォーマットを変更しないで済みます.
qc_valuesファイルを参照してください.地表面の平均温度と平均表面放射温度
表面流出
河川水浸透量
地下水流出量
貯留量の変化量
土壌各層に関する変数(SoilMoistとSoilTemp)
液体としての土壌水分
全土壌水分含有量(Total Soil Wetness)
海氷(Sea-ice)
変数のランク(配列次元数)
各変数の値の範囲
地表面炭素循環に関する変数
Last modified: Wed Feb 20 12:36:42 CET 2002