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2012年 6月22日
発売 |
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『水危機 ほんとうの話』
How to think water crisis out
-
入試問題の参考として利用されました。
- 渋谷教育学園幕張高校2018年度入試問題 学力選抜試験 社会
(2018年4月)
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5刷が決まりました。
累計1万部です。
教科書としてお使いいただいている場合も多いようで、
大変ありがとうございます。
(2016年11月15日)
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姉妹編ともいえる『水の未来
──
グローバルリスクと日本』
が出版されます。
(2016年3月18日)
-
4刷が決まりました。
水文・水資源学会と土木学会のダブル受賞のおかげです。
ありがとうございます。
(2014年6月23日)
- 平成25年度土木学会出版文化賞に決定しました。
ありがとうございます。2014年6月13日に表彰式です。
http://committees.jsce.or.jp/pub_prize/
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3刷が決まりました。
田村耕太郎さんの『野蛮人の読書術』(飛鳥新社、2013年)で、
東大EMPの読書リスト200冊から精選された30冊、
としてご紹介いただいているおかげかもしれません。
ありがたいことに、
首都大学東京の松山洋先生にご指摘いただいた点を修正できました。
(2013年10月)
- 2013年(平成25年)9月に水文・水資源学会
学術出版賞を受賞しました。
- 電子書籍も販売されています。
- 無事増刷となりました。(2012年9月5日)
- 目次と「はじめに」をオンラインでご覧いただけます。
地球上の水はどんどん減っているのでしょうか。
外資が日本の水源林を買い占めて、
我々が使える水は無くなってしまう恐れがあるのでしょうか。
世界の水問題解決には私たちの日々の暮らしで節水をすれば良いのでしょうか。
本書では、
水文学(すいもんがく)の古典的な基礎知識や
今では専門家なら誰でも知っている常識、
さらにはウォーターフットプリントやグリーンウォーターなど
最新の概念を説明すると共に、
次のような疑問にも答えます。
- 21世紀は水紛争の世紀になるのか。
- 文明はなぜ限られた大河のほとりにしか勃興しなかったのか。
- なぜ日本の森林は山にあるのか。
- 水は誰のものか。
- ダムは無駄か。
- 貯水池建造による水資源開発におけるレバレッジ効果とは何か。
- なぜ都市の川は暗渠化されたのか。
- 空気(二酸化炭素)の次は水に課金される時代になるのか。
- 水道水がまずいからミネラルウォーターの売り上げが伸びたのか。
- 海洋深層水はなぜ高価なのか。
- 外国資本による水源林の買占めで日本の水資源は失われるのか。
- 水害はなぜ繰り返されるのか。
- なぜ地球温暖化に伴う気候変動ばかりが国内外で注目されるのか。
- 海水淡水化で水問題はすべて解決できるのか。
- なぜもっと人工降雨、気象改変が普及しないのか。
- 世界の水問題を解決するのに一般市民にできることは何なのか
そして、水と水循環、水問題や水ビジネスを理解するのに必要な
次のような基本原理について解説しています。
- 地球上の水は無くならない。
水は太陽エネルギーによって循環している再生資源である。
- 貯留されている量(ストック)ではなく、
流れてくる量(フロー)が持続可能な水資源である。
- 利用可能な水資源量は時空間的に偏在しており、変動も激しい。
その解消が課題である。
- 水は地域的な(ローカルな)資源である。だからこそ愛着が湧く。
- 水を使うということは汚して他人の利用可能性を奪うことである。
- 足りないのは水質が適切で、安価かつ大量に利用可能な水である。
汚れた水はないのと同じだ。
- 水資源は重さあたりで考えると非常に安い。
- 水資源はたくさん必要。
- 水は貯めておいたり運んだりする費用が相対的に高価なので、
必要な時に必要な場所に存在しないのなら、
利用可能な資源だとみなすことはできない。
- 水が得られないのは乾燥気候といった自然環境の問題ではなく、
どちらかというと社会の格差や貧困の問題。
- 誰かが水を浪費し過ぎているせいで水が使えなくて困っている人がいるというよりは、
社会経済的な理由により健康で文化的な生活を送るのに必要な水を使えない人がいるのが問題。
- 水が足りなくなるとお腹が減る。飲み水が足りなくなるのは最後。
一読していただくだけで、
地球環境と人間社会のある側面が腑に落ちてわかった気にみずからなっていただけると思いますし、
いくつかの内容はまさに目から鱗、
言われてみれば当たり前のコロンブスの卵で、
水・地球・人類を見る目が変わることとでしょう。
また、今後の水問題の解決や水ビジネスの展開にあたり、
より本質的な方向に注力していただけるようになっていただけるのではないか、
と期待いたします。
できれば、持続可能な社会の構築(sustainability development)を考える上で、
何がしかのお役に立てますように。
ようこそ、水文学へ!!
編集者による背景紹介もあります。
http://www.shinchosha.co.jp/sensho/editor/2012/603711.html
- ...この本を、少し違う角度から読んでみると、
理系大学教授の日常が垣間見えてくる。
大学の先生は、頻繁に海外出張をしているらしいが、
いったい国際会議やシンポジウムで何をやっているのか?
- ...ある時、ストックホルムでの会議で、
バーチャルウォーターの提唱者であるアラン教授と会い、
こうした日本の研究に大いに関心を示されたことがうれしかったと、
沖さんは正直に書いている。
- ...こうした人が、未だ単著を書いていないことがとても不思議だった。
...その意味では、著者にとって「魔が差した」1冊といえるのだろう。
- ...「今、僕の脳みそにあるすべてです」と著者が言い切るほど、
中身の濃い一冊となっている。
最終的に掲載されなかったものも含めて、
講義用に利用可能な図表のPPTxファイルを用意しました。
本書をお買い上げの上、
教育目的にご利用の際にはどうぞご自由にお役立てください。
ただし、商用目的のご使用は別途ご相談ください。
なお、書籍その他にご引用などされる場合には
新潮社や本来の著作権者から
ご自身で許諾を得てくださいますようお願い申し上げます。
(2012年6月20日暫定版公開中。PowerPoint File, 約10MB)
- 書名は出版社の専決事項です。
「水危機はほんとうの話だ」という意味ではなく、
「水危機にまつわるほんとうの話が書いてある」という趣旨のタイトルです。
- 水分野を広く網羅。水ビジネスの背景をしっかりと理解したい方にも、
世界の水問題の俯瞰にも、これから水分野を学ぼうという方にもうってつけ。
- 全体の構成がすっと見え、そこを読むだけでも価値があるまえがき。
- 著者による要点が各章末にまとめられていて速読に便利。
- 章ごとにまとめられた参考文献、資料、インターネット上のリソース。
- 厳選されたキーワードから機械的に生成された出現頁を、
著者自らが厳選した「使える」索引。
- オンラインで取得できる図表集。
- 口述筆記ではなく、
20万字を超える書き下ろしから推敲・校閲を経て厳選、磨かれた文章。
400字詰原稿用紙形式にすると何と640枚にも及ぶ元の原稿。
当初384頁1680円という話もありましたが、
なんとか336頁1575円に収められました。
余談を削ったら256頁1200円とかも可能だったかもしれませんが、
それだと読んでいて面白くなくなっていたことでしょう。
- 現役の東大教授は何人いるの?
- 三四郎池の本当の名前は?
など、世界の水問題の理解にはまったく不要な薀蓄も盛りだくさん。
- 身近な水に関して、「何を不思議、疑問だと思うべきか」も学べます。
- 東京大学の学生さんなら、「地球水循環と社会」や
「環境講演会」(工学部)、
「東京のインフラストラクチャー」や
「国際プロジェクトを考える」、
「東京のインフラストラクチャー〜巨大都市東京をインフラから読み解く〜」や
「現代技術:環境とエネルギー」、そして
「世界の水安全保障と日本の科学技術〜「水の知」の貢献〜」
(駒場・総合科目)も、著者の講義分はこれ1冊でOK!
- はじめに
- 第1章 水惑星の文明
- 乾燥地にあった四大文明
- 地球は水の惑星なのか?
- 地球の水はどこにあるのか?
- 水の惑星でなぜ水が足りなくなるのか?
- 循環する水資源は無限か?
- 高い水、安い水
- いったいどのくらいの飲み水が必要なのか?
- 健康で文化的な生活に必要な水─生活用水
- 生産のための水─工業用水
- 食料のための水─農業用水
- 水と光合成
- 第2章 水、食料、エネルギー
- 世界の水危機
- 水ストレスとは何か?
- 仮想水貿易とは
- 仮想水貿易は世界を救うのか?
- 仮想水貿易の推計と日本
- 工業製品を作る水は輸出超過ではないのか?
- 空気の次は水に課金される時代に?
- 水と食料とエネルギーのネクサス
- 第3章 日本の水と文化
- 日本は水に恵まれた国か?
- 日本と世界の豪雨
- 日本は地震国か洪水国か?
- 日本には国際河川がないから水をめぐる争いはないのか?
- 日本は大量の水の輸入国か?
- 日本はダム大国か?ダムは諸悪の根源なのか?
- 水は誰のものか?
- 日本の水需給のこれまでとこれから
- 第4章 水循環の理
- 木を植えると山の水源が保全されるのか?
- 洪水はなぜ起こるのか?
- 洪水と水害
- 洪水被害を軽減するには?
- 100年に1度の洪水とは
- 第五章 水危機の虚実
- 地球の水は枯渇するのか?
- 瓶詰水輸入の功罪
- 水マネジメントの民営化と水紛争
- 地下水の枯渇
- なぜ気候変動問題なのか?
- 第六章 水問題の解決へ向けて
- 人工降雨─現代の雨乞い
- 雨水利用─水の地産地消
- 海水淡水化は万能か
- 水をきれいにするのは水を造ること
- 節水
- 統合的水資源管理とは
- 水をめぐる世界の政府の対応
- 水ビジネスは世界を救うのか
- 水問題解決へ向けて市民として何ができるのか?
- あとがき
- 参考文献、図表出典
- 略語一覧
- 索引
- オンライン書評
- 椎名誠『水論壇、待望の横綱』─沖大幹『水危機 ほんとうの話』(新潮選書)、
『波』2012年7月号50-51頁
(http://www.shinchosha.co.jp/shinkan/nami/shoseki/603711.html)
- ...本書は、そういう曖昧に錯綜する「水問題」を、はじめて網羅的に、
かつ科学的にとらえ、明確な分析と思考によって、
タイトルどおり「ほんとうの」水問題にはじめて真正面から切り込んだ、
いわば水の論壇界待望の横綱登場というに相応しい重要な一冊である。
- ...今、地球の水がどうなっているのか、非常に分かりやすく説明している。
それらの多くはもはや「法則」として認識しておいた方が、
今後の考え方に役立つ、と思えるものである。
- ...多岐にわたる指摘のひとつひとつが納得しやすく
わかりやすい記述なので、読み進むうちにきわめて自然に目下の水問題の
「ほんとう」が見えてくる小気味よさがある。
- ...この本を読んでいて知的カタルシスを怒涛のように感じるのは
「第五章 水危機の虚実」だろう。
- 編集者の言葉
(http://www.shinchosha.co.jp/sensho/editor/2012/603711.html)
- 「魔が差した」1冊
- この本を、少し違う角度から読んでみると、
理系大学教授の日常が垣間見えてくる。
大学の先生は、頻繁に海外出張をしているらしいが、
いったい国際会議やシンポジウムで何をやっているのか?
とか、学部の授業の他に研究室の指導教授として、
学生たちに何をどう指導しているのか、などだ。
- 沖さんは今では世界の「水文学」研究者のメインメンバーの
一人となっているが、こうした人が、
未だ単著を書いていないことがとても不思議だった。
その理由は、「あとがき」にも書いてあるが、
やはり「研究第一」の毎日で、書籍の原稿を書く時間あるくらいなら、
学生たちと飲みながら(この場合、もちろんお酒)、
テーマに関してディスカッションする方が、有意義で楽しいのだそうだ。
-
首都大学東京の松山洋先生が英文で書評を書いてくださいました。
(2014年2月)
- 題名は出版社がつけたものだそうだが、水問題について、
「危機などない」とするのと「人類社会全体がこわれる危機だ」
などみなすのとの両極端ではなく、現実的にとらえよう、
という意味なのだと思う。もちろん、現実的見通しのうちでも、
科学的認識の不確かさもあるし、人間社会の選択しだいで変わる部分もある。
しかし何もわからないわけではなく、科学者は不確かさを減らす努力もできるし、
社会は危機を軽減することもできる。
(http://macroscope.world.coocan.jp/yukukawa/?p=2672)
-
面白かったです.
きっと,沖さんの立ち位置が独特なのが,その原因だと思いました.
水文学の本は,世の中にはけっこうたくさんあります.
けれど,この本ほど下世話な本はないように思いました.
下世話というのは,人間生活に寄りそっている,という意味です.
人間生活を考えるなら,水を単独で考えるのはあまり有効ではなくて,エネルギーや食糧とともに考えなくてはいけない,と沖さんは言います.
これはそのとおりだなあ,と思いました.
なぜなら,水力発電というのは水を使ってエネルギーを作ることですし,灌漑をするということは,水を使って食料を作ることだからです.
逆に,海水の淡水化は,エネルギーを使って水を作ることに当たりますし,食料を輸入することは海外から水を輸入していることと理解することができます.
水の話を,水の話だけ独立にするのではなくて,エネルギーや食糧の話に目配りをしたうえでするところが,沖さんの真骨頂なのだなあと思いました.
この本を読んで,自分もがんばろう,と感じました.
http://free-p.ddo.jp/hp/kmthkr/zakkan/zakkan_201207.html
-
新刊超速レビュー
(http://honz.jp/12938)
- 何とも意外な水のほんとうの姿を教えてくれる、水文学の入門書である。
水文学の研究対象は水にまつわる森羅万象であり、
本書の範囲も経済、気候、災害等と多岐に渡る。
これほど身近な水にこれほど知らないことが多いとは知らなかった。
どうやら世の中には、水に関する“ほんとうではない話”が溢れているようだ。
- ...
- 本書ではこれ以外にも多くの事実が、
図表とともに分かり易く解説されている。
また、その図表を作り上げるためのデータ収集、
仮説構築の過程も描かれており、その研究室生活が垣間見え、
無味乾燥な事実の羅列にとどまらない読み物としての楽しさも兼ね備えている。
図表はWeb上に公開されているので、
気になる図表がある人は是非本書の解説を読んで欲しい。
- 本書は、水を考えるさいには欠かせない一冊となるだろう。
- 緑の森と図書館 (http://takokakuta.asablo.jp/blog/2012/07/22/6518307)
- 水にまつわる学問水文学について最新の知見と著者の研究成果を
総合的に解説した本。
普段われわれが常識と思っていることが、
実はそうではないということが次々と明かされる。
- ...
- 断定的ではない独特の文体で、著者の考え方が素直に伝わってくる。
- 世の中には、間違っていないが正しいともいえないことがたくさんある、
という著者の意識。
- 危機ばかりをあおるのはよくない。
- 地球を救うのではなく、人類の未来を守るために地球環境を守る。
などのメッセージが伝わってくる。
- 普段あまり意識しない水をめぐる問題点が身近なものとして捉えられ、
浮彫りになる好著である。
-
東京新聞2012年7月29日(日) 石 弘之氏
(http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2012072902000157.html)
- 水は身近な存在だけにさまざまな言説がある。...
こうした言説に一つずつ丁寧に説明する。
例えば水資源は貯留されているストックではなく、
流れているフローが問題であること、
利用可能な水資源は時間空間的に偏在していること、
水不足は自然環境の問題ではなく社会格差や配分、
貧困の側面が大きいことなどを挙げる。
- はたして全人類をまかなう水資源はあるのか。
著者は、水・食料・エネルギーの三者は相互に関連していて、
この相乗作用として水資源が逼迫(ひっぱく)する危険を指摘する。
それは、絶対量が不足するというよりも、
社会経済的な理由から手にすることができない人が増えるという形になるとみる。
この書評は、紀伊国屋Booksの「新聞書評ピックアップ:今週の1冊」
でも取り上げていただきました。
http://www.kinokuniya.co.jp/20120730113405.html
-
読書メーターviolins
(http://book.akahoshitakuya.com/b/4106037114)
淡水であろうと太陽エネルギーによって駆動している循環資源である水の枯渇を
心配する必要はない。
しかし時間的・空間的に偏在しているローカルな資源
(単価が安い分、運ぶコストは割高になる)であり、
有効に利用するには相応のインフラや資金が必要。
「節水=環境にいい」といった「水の七不思議」などに見られる
「イメージ」をしっかり否定し、専門家の「常識」を提示する骨太の書。
各章最後に箇条書きのまとめもあるので、振り返りやすくまた、
購入検討しやすくなっている。
-
週刊東洋経済書評、2012年7月28日号 (http://www.toyokeizai.net/life/review/detail/AC/9ce4d093156ec35c259878213766b80c/)
地球上の水は循環し決してなくならない――
『水危機 ほんとうの話』を書いた沖 大幹氏
(水文学者、東京大学生産技術研究所教授)に聞く
巷間にあふれる水に関する誤解や思い込みを、
「水文学(すいもんがく)」の立場から正すという。
これだけは知っておきたい“水に流せない話”とは。
- Q: 「水文学」の研究者とあります。
- Q: 水ブームです。
- Q: 海洋深層水も売り物になっています。
- Q: 地球上の水の97.5%は海水だと習いました。
- Q: 循環資源の水は、地球規模で見ればなくならない……。
- Q: 水が原因で起こされた戦争は歴史的になかったとも。
- Q: 日本の水ビジネスは儲かっていないといわれます。
- Q: 水関連での成功例は。
- Q: 逆に、日本では外資による水源林買いが話題になっています。
- Q: 水質維持は大事ですね。
- Q: ダム建設については。
- Q: 一方で、自然災害が繰り返されています。
- Q: 喫緊の課題はありますか。
-
安井先生のブログ
(http://www.yasuienv.net/WaterCrisis.htm)
- 温暖化という表現は、誤解を招きやすいので、正しくは、
気候変動という言葉で表現すべき問題なのであるが、
日本では依然として地球温暖化と呼ばれている。これだと、
温度上昇だけが問題のように思われるが、そもそも気候とは、
温度だけでなく、降水量を合わせた2つの因子で決められるものであり、
気候が、その地域の人間活動を決める大きな要因なのである。
実際の人間活動は、気温が決めるというよりも、
むしろ、降水量に依存する部分が大きい。
したがって、水の勉強は極めて重要である。
- 本日のポイント:水に関しては、誤解も多い。
- 多様な知識を身につける以外に方法はない。本を読むのが確実。
- 気候変動(いわゆる温暖化)の影響は、
水が関わった形で現れることが予測される。
- その最終型は、農民の生活の場が水不足、
水過剰によって破壊され、移住を強いられることか。
- 中味が本格的なので、いささか本の題名が柔らかすぎるような気もするが、
一読をすることをお薦めしたい。これだけの中味ならば、お買い得である。
- 様々な指摘がなされている。水について、
正しい理解をしていると思っている人であっても、
この本を読むことによって、これまで誤解していたことに気づくだろう。
- ...
http://www.yasuienv.net/WaterCrisis.htm
安井先生の見解も示していただいて大変光栄です。
-
日経新聞2012年8月26日(日) 滝順一 氏
(http://www.nikkei.com/article/DGXDZO45397260V20C12A8MZC001/)
- ...水問題を理解する客観的で多様な視点の提供に徹している。
そこに類書とは異なる「ほんとうの話」のすごみがある。
- ...ああ言えばこう言う。そんなまだるっこしさがないわけではない。
そこが一筋縄ではいかない水問題の難しさであり、ある種の魅力、
魔力を備えるともいえる。
- ...問題の多面性を知り理解への一歩となる一冊だといえる。
-
Booklog
(http://booklog.jp/item/1/4106037114)
- 環境問題に絡む話は、論者の主義主張に左右されて
客観的事実に基づかないものもあるようだが、本書は、
書評や実際に読んでの実感からは、科学的な内容のように思う。
...本書のテーマを超えた著者の主張や科学者のエピソードなどに
脱線する部分も多いが、
水問題と聞いて思い浮かぶような一種の常識が次々と覆されて、とても面白い。
...手を広げすぎの感がなきにしもあらずだが、
水をキーワードとした包括的な入門書として、一読の価値があると思われる。
- インフラの民営化ってどうなんだろう。
- いっていることが全う。....そこまで大胆にいうのであれば、
治水ももう大規模構造物を新たにつくるよりも、
既存の施設の更新、長寿命化に投資をする、むしろ治水、
津波、地震などの災害についても、構造物ではなくて、
避難によって命を守る投資に特化すべきではないか。
- ...21世紀の水にまつわる様々なトピックに触れているので、
なかなか興味深く読めると思います。
-
Amazonでの書評 (http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4106037114/ref=pr_all_summary_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1)
- ...断定的ではない独特の文体で、著者の考え方が素直に伝わってくる。
- 世の中には、間違っていないが正しいともいえないことがたくさんある、
- という著者の意識。
- 危機ばかりをあおるのはよくない。
- 地球を救うのではなく、人類の未来を守るために地球環境を守る。
などのメッセージが伝わってくる。
普段あまり意識しない水をめぐる問題点が身近なものとして捉えられ、
浮彫りになる好著である。
- ...私は、本書を読んで、水問題を多面的に理解することができた気がしました。
新潮選書で300ページ以上の本であり、
著者も「新書3冊分の内容」と書いているとおり、
かなり読みごたえがある本です。少し根気のいる本ですが、
良書であり、読む価値のある本と思います。
- ...水と水循環に関する基本原理...などをしめし,
次に常識と思われていることをいくつか示す。...
これらの頭の体操をしてから,水問題に取り組んでいる。...
- 水資源に関する、最近の知見が展開され、連想が広がり、
知識の輪がつながる本。
わかりやすく理解できるように工夫されていて、
この分野にしろうとの方々にもお勧め。...
- 磯貝 彰先生(奈良先端科学技術大学院学長)の学長推薦図書
- ...また、著者は意識して、研究者を紹介しながらその業績を記載している。
それは研究を物語として語るためでもある。中には、
卒業論文での業績などもあり、
教育としても優れた教育をしているのだという印象を持った。
- ...新潮選書としてはかなり厚い本であり、
著者の言いたかったことがこの本にまとめられている。
読み応えのある本である。
- 本が好き!!
- 「水」について、知らなかったことが多かったという印象です。
星4ついただいております。
(2017年6月21日)
- 椎名誠、週刊文春2012年6月21日号92〜93頁、「風まかせ赤マント」1087
- ...乗り過ごしては大変だからそのための「仕事」をもってきた。
東大の沖大幹教授の『水危機ほんとうの話』
(新潮選書─六月刊)のゲラを読んでいくのだ。
その書評というか感想文をまもなく書かねばならない。
- 昨年ぼくは同じく新潮選書で『水惑星の旅』という巷間言われている、
やがてやってくる世界水戦争などの問題を自分が世界で見てきた実体験をもとに
一冊にまとめたが、
その折りに水問題の権威、沖教授に二回お目にかかり、
非常に科学的かつ精密で説得力のある「水の未来」の本質的な問題を取材した。
そのおり水問題についての本を四十冊ほど読んだが、
今回の沖教授の本はついにその決定版の登場、
という胸わき踊る高揚感があった。
この「水文学(という)」論壇の最強横綱の登場という構図だ。
- 夢中になって読んでいるうちに...
- 経済ジャーナリスト、永井隆
- グラスの中の経済学、日刊ゲンダイ2012年10月9日朝刊
- 水問題を正しく理解する上での"教本"だろう
- 読者が考えるための材料を、総合的に提起しているのが特徴
- よくぞ書いてくれた。
話題が豊富で登場人物も多く、
非常に面白かった。新しい知見も得られた。
(高橋裕、東京大学名誉教授)
- (父の知り合い、70歳代男性陣から)
- 水問題というのは、現代社会が見過すことを許されない重要な問題です。
自然・人間・社会にまたがる、
これまでの学問とはまったく違った総合性をもった学問がつくりだされています。
そうした学問の第1人者である著者は、
これまでの日本や世界の研究の成果をまとめるだけでなく、
自ら新しい研究を切り開いてきています。
この本では、当然、
水問題が多面的にまた系統的にこれまでの研究成果にもとづいて
明らかにされていますが、それだけでなく、
そうした研究を切り開いてきた状況も明らかにされています。
そこには国際的な研究交流や、国際的な取り組みが、
著者自らの活動を通して示されています。
また、著者の研究室の学生たちの若いエネルギーが
研究を切り開いていく上ではたした役割も具体的に示されています。
なかには私たちがこれまで信じてきたことがらをひっくり返すようなことも
たくさんでてきます。
これまでの学者が書いたものとは
ちょっと違う印象を持たれるところもあるのではないかと思います。
それは、きわめて素直に、
しかも的を外さない主張をいろいろとされているところです。
文章もわかりやすいものになっています。ただし、
一部には多くの分野の学問用語も使われていますので、
それらに慣れていない者にとっては、いくらかの抵抗感があるでしょう。
また、300ページを越えるという分厚さもあります。したがって、
全部を完全に理解しようと思って読むのは必ずしも薦められませんが、
核心部分を理解しようと思って読むならば、
大きな満足感が得られることと思います。私にとっては、
水問題についての理解もですが、
新しいタイプの学問が生まれ発展しつつある様子を知ることができました。
私たちの身近に、
こうした意義のある仕事をされている人がいることを誇りに思うと共に、
読むことで満足を覚える本として、皆さんに読んでみられることをお勧めします。
(大学名誉教授、数学分野)
-
今マスコミで騒いでいる水危機(人口増大による飲料水の汚染・枯渇、
砂漠化による水源減少など)をまともに受け止め、今後、
水を巡る国際紛争の多発や水ビジネスの活発化を私は予想していました。
それは私が雨の降らない香川県出身で、
隣の水量の豊富な吉野川持つ徳島県と永年に亘る水紛争を経験していたからでした。
ところが、東大教授の沖大幹氏が近著「水危機、ほんとうの話」
(新潮選書:1500円)で、この常識と思える説を覆してしまいました。
その本は、世間ではあまり知られていないが、
水の研究者にとっては常識であることばかりを解説・証明してくれています。
多くの資料や実例を挙げてやさしく説明してくれていますので、
私には「目からうろこ」だったり、「コロンブスの卵」だったりするのです。
その興味ある主なものは次の通りです。
- 水は将来枯渇するか、
- 木を植えると洪水も渇水も解消されるか、
- ふるい地下水ほど良質であるか、
- 21世紀は水紛争の世紀になるか、
- 海水淡水化で水問題は全て解決されるか、
- 水ビジネスは良い投資の対象となるか、
- 節水は善行か、
- 中国や多国籍企業が北海道などの水源を買収するのは悪か
等々です。
これらの諸問題を、最新データを元に、
- 水・食料・エネルギー、
- 日本の水と文化、
- 水循環の事実、
- 水危機の虚実
などから多面的に解き明かしてくれています。
そして最後に、これらの水問題の解決を、水供給を増やす、
水需要を減らす、水質を保全するの3視点から、
国内外の水問題解決の枠組み、
そして水ビジネスの組織的取組にも言及しています。
グローバル化した21世紀は水ビジネスが主流になると私は思っていましたから、
マスコミ報道に踊らされるのではなく、
専門家の公平な目で見た世界的視野の事実情報を知ることが大切だと
今回痛感しました。この良著をお勧めします。2012/07/22
- 水文学の読み方も知らない小生が本を読み終わったとたん
すっかり水文学者になった気分になってしまいました。
未だ読んでいない妻に
"何故日本の利根川が古代文明の発祥地にならなかったかわかる?"
なんて質問してしまいました。
読んでいて楽しかったです。
各章毎の要点項目リストはわかった積りがそうではなくて、
もう一度頁をめくり返したりしながら
学生気分になってしまって嬉しかったです。
- 水文学は教養課程の必須科目に加えるべきだと思いました。
勿論教科書は本書です。
既に科目に加わっているのであれば日本も捨てたものではありませんが。
- 図1-4(いろいろなモノの重さあたりの価格)(41頁)のコメント
(312頁)を見つけて昭和14年生まれも
時々はよい知恵を出すものだと感心しました。分かり易い図です。
- 水のみならず幅広い知識をベースに書かれているので
読み易い素晴らしい本だと思いました。
- 老眼でも読めるような大きさの文字や図形だともっと嬉しいのですが、
近所の町医者に言われ慣れている
"加齢によるもので無理を言ってはいけません。"が浮かんできました。
- 地球物理的な知識から経済学的知識まで、
さすが「水文学」の学識の深さがよく表れている名著だと思います。
(新聞編集委員)
- 内容を詰め込み過ぎ(独立行政法人、研究員)
- 60ページほど読ませていただきましたが、
とても面白く一気に読んでしまいそうです。
小職のステレオタイプ的偏見かもしれませんが、
理科系らしく大前健一さんのようにとても豊富なデータを使って、
優しく水文学を解説されているのが印象的です。
(銀行勤務)
- 幅広い分野が網羅されており、
一般の方にも興味深い内容となっていると感じました。
どれだけ幅広く、分かりやすく一般読者に伝えるか、苦労されたことと思います。
(商社勤務)
- 身近な水の話や現地調査結果などからの説明が私にも分かりやすく、
大変興味深く読んでいます。(建築家)
- 199頁あたりの斜面水文学への記述も、
飽和不飽和でのパイプの役割の差への言及などさすがうまく書かれていますが、
斜面土層内の飽和不飽和浸透流のもたらす貯留変動の影響が
さらに検討を要すると思っています。(大学教授、森林水文学)
- 忙しい中、本を書くなどなかなかできないことは身に染みているので、
あらためて感心しております。刺激になります。
さっそく読ませていただきました。勉強になりました。
知り合いの方の著書は、読んでいると声が聞こえてくるように感じるので
一段と楽しめます。(東京大学准教授、水環境工学)
- 遅まきながらご高著『水危機 ほんとうの話』を落手いたしました。
残念ながらお手伝いの機会を得ませんでしたが、
待ちに待った単著で嬉しく拝見しました。
新書のように軽きに流れず、専門書のように敷居を上げることなく、
重要なテーマを読者に訴えるには
選書というのは良い選択だったのではないでしょうか。
(編集者)
-
ある意味、水問題の百科事典のような本で、いろいろなことが分かりました。
これまでの知っているように思っていたことでも、
きちんと事実を整理されてみると
自分の理解がいい加減だったことが分かったことが多々ありました。特に、
水問題は、
時間的空間的需給のミスマッチの問題として捉えるべきことということが理解
できたことは、
CFP(カーボン・フットプリント)などと同様のセンスでWFPを取り扱おうと
考えていた自分の浅薄さに気づいたという点で収穫の大きなものでした。ま
た、人工降雨をめぐる総合科学技術会議内でのドタバタの部分は、
ああ、そんなこともあったと懐かしく読みました。
巻末のURLに掲げられていた水問題に関するさまざまな図表も
早速ダウンロードさせていただきました。これは、
社内などで使う啓発資料として、
是非、利用させていただきたいと考えています。
(元内閣府参事官)
-
本の中にたくさんの登場人物が出てきて、
大変楽しくかつなつかしく読ませていただいています。
先生の研究室での研究生活は本当に楽しかったです。
ないものねだりではありますが、
私の今の非常に泥臭い仕事を考えると、
とてもそう感じてしまいます(笑)
でも、水問題についても、自然科学と政治学の接点であると、
この本から改めて思いました。
(卒業生)
- Twitter:
増刷では修正されているはずです。
さっそくお読みいただいた皆様からのコメントに基づき、
下記以外にも30ヶ所以上修正し、より信頼度が上がっているはずです。
三島由紀夫全集以来の増刷時の大修整だ、と嫌み(?)を言われました(笑)。
- p.38:「コルモフ」は「フロモフ」(または「クロモフ」) Chromov
(http://macroscope.world.coocan.jp/yukukawa/?p=2672)より。
クロモフ、の方がカタカナ表記では一般的な様なのでそう修正します。
- 194頁: 小松光先生は発売時点で京都大学でした。
- 287頁8行目:排水→配水
- 310頁: 最初に新潮社と打ち合わせたのは2008年ではなく
2007年でした。
- 325頁: 「Nakatani, J., M. Fujii, Y. Moriguchi, M. Hirao, 2010:
Life-Cycle Assessment of Domestic and Transboundary
Recycling of Post-Consumer PET Bottles, Int. J. Life Cycle Assess.,
15(6), 590-597.」よりは、
「三木暁子・中谷隼・平尾雅彦, 2010:
消費者のためのライフサイクル評価による飲料水利用のシナリオ分析,
環境科学会誌, 23(6), pp. 447-458.」
の方が適切な文献でした。
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(Last updated in August 2018)