第一日目 (3月17日)	話題提供者	内容
14:00-14:05		開会の挨拶
14:05-14:10	芝野 博文 東京大学愛知演習林長	愛知演習林について
14:10-15:10	山敷庸亮・Paulo Chaves 京都大学大学院	ラプラタ川流域環境研究管理ネットワーク(RIGA)と、 バハボニータ貯水池への最適化モデルの適用
15:10-15:20		休憩
15:20-16:20	瀬戸 心太 東京大学大学院	衛星からみる世界の土壌水分とアマゾン川
16:20-16:30		休憩
16:30-17:30	松山  洋 東京都立大大学院	パンタナール北部における雨季の循環場と安定同位体組成との関係
17:30-18:00	芝野  博文 東京大学愛知演習林長	白坂量水堰の解説
18:00-24:00		懇親会
19:15-20:00	四俵  正俊 愛知工業大学土木工学科	アマゾン川視察ビデオ
20:00-21:00	芝野  博文 東京大学愛知演習林長	愛知演習林における量水観測と 森林回復にともなう水収支の変化

 
 

第二日目 (3月18日)	話題提供者	内容
8:30-9:30	芝野 博文 東京大学愛知演習林長	愛知演習林の見学
10:00		解散

• 山敷庸亮・Paulo Chaves
  ラプラタ川流域は流域面積3.1万平方キロを有する世界で最も大きな国際河川の一つ である。流域はアルゼンチン、ボリビア、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイの5カ 国にまたがり、その水資源はこれらの国々の経済発展に不可欠である。支流のパラナ 川・パラグアイ川・ウルグアイ川におけるダム開発に伴い、過度の森林伐採、農業活 動や大都市の発展により、アオコの発生、堆砂、それに関連する水質悪化にみられる 水資源供給や保全上の問題を引き起こしている。1991年及び1994年に開催された貯水 池開発と管理に関する第1回、第2回ラプラタ川流域ワークショップにおいて、水資源 管理に関わる流域組織と専門家の間で水資源管理者間の相互協力や情報交換を推進す る必要性がのべられた。これをうけて日本政府及び日本のNGOを含む国際機関の援助 の元に流域の様々な組織が尽力し、ラプラタ川流域環境研究管理ネットワーク(RIGA) が設立され、その行動計画は2001年3月の第3回ラプラタ川流域ワークショップの開催 へと実を結んだ。この行動計画をうけてラプラタ川流域ではいくつかの国際プロジェ クトが進行しようとしているが、アルゼンチンの経済危機等その前途に問題は多い。 今後いっそう国際的な協力体制が必要とされる。 協力研究の一環として、ラプラタ川支流チエテ川のバハボニータ貯水池において、確 率論的手法を導入したダイナミックプログラミングを用いた最適化手法組み合わせ て、貯水池の水質の最適化を行おうという研究を報告する。

• 瀬戸 心太
  本発表の前半部では、熱帯降雨観測衛星に搭載された２つのマイクロ波センサ、 降雨レーダ（能動型）とマイクロ波放射計（受動型）を利用した、グローバルな 表層土壌水分量推定について紹介する。前者のセンサは、大気中の雨滴からの散 乱を計測すると同時に、地表面からの散乱を計測している。地表面での散乱強度 （後方散乱係数）の時間変化から、表層土壌水分の時間変化を推定する。広域に 適用するにあたり、地表面は植生面と裸地面のみからなると仮定した。後方散乱 係数の観測は複数の入射角で行われるが、植生の時間変動に影響をもっとも受け にくい１２度付近を使うのが最適である。そのほかの入射角は植生の時間変動幅 が小さい地域でのみ利用可能である。受動型センサを合わせて利用することで、 日単位の土壌水分情報を作成する。検証は、オクラホマ、サヘルなど代表的な特 性をもつ地域で順次行っている。 後半部では、アマゾンにおける後方散乱係数の時間変化について紹介する。一般 に森林部では土壌面の情報が得られず時間変動幅は小さいが、アマゾン川の河道 に対応した後方散乱係数の高い部分があり、その幅は明瞭な季節変化を示してい る（６月に最大となる）。土壌水分変動および流量変動にともなう河道幅の変動 の２つの原因が考えられる。

• 松山 洋 (都立大)、宮岡 邦任 (三重大)、増田 耕一 (地球フロンティア)
  パンタナール北部に位置するクイアバ (56.10W, 15.60S) では、IAEA (国際原子 力機関) による降水の同位体の観測が毎月 15 日に行なわれている。ブラジルの他 の地点での観測結果と比較すると、クイアバの降水は年間を通じて、軽いもの (そ の場の蒸発起源) から重いもの (高緯度または高標高起源) まで幅広く観測されて いることが分かっている。季節別に見ると、2 月 (雨季) の同位体の重さの年々変 動が最も著しい。そこで、南米大陸における 2 月の水蒸気フラックス (NCEP/NCAR 再解析データによる) と同位体の関係について調べた。 軽い降水が観測された年として 1963, 1968, 1978 年を、重い降水が観測された 年として 1966, 1983, 1984 年 を選んだ。2 月の平均場 (1961〜1990 年) として は、アマゾンからクイアバへの水蒸気輸送が卓越している。各年における偏差図を 作成したところ、1963 年と 1978 年については、50°W, 40°S 付近に中心を持つ 高気圧的な循環場の偏差が見られ、クイアバへはこれから連なる南からのフラック スの偏差 (高緯度起源) が生じている。また、1968 年については 10°S 以南で西 からの水蒸気フラックスの偏差 (アンデス = 高標高起源) が顕著である。 重い降水が観測された年の結果については現在検討中である。3 月 17 日の講演 当日までには、降水量分布との関係と合わせて報告する予定である。