沖 大幹のホームページへ戻る
水の世界地図
|
Robin Clarke・Jannet King著
沖 大幹 監訳、沖 明 訳
発行元 : 丸善(株)出版事業部
平成18年1月30日発行
ISBN 4-621-07644-2
(ほぼ)オールカラー125ページ
|
目次
- (巻頭)
-
- 監訳者まえがき
- 謝辞
- はしがき by トニー・クラーク(ポラリス研究所)、
モード・バーロウ(カナダ人評議会)
- 序
- Part 1 有限な資源
- 流れ去る水
- 世界の水のわずか2.5%が淡水である。
このうちの3分の2以上を人間は利用できない。
- 増える人口、足りない水
- 世界人口の3分の1以上が水不足で、状況は悪化している。
- 増大する需要
- 毎年より多くの淡水が、農業用、工業用、そして家庭用に取水されている。
- 水の収奪
- 世界人口の4分の1以上が飲用水を地下水に依存しているが、
補充されるより速い速度で利用されている。
- Part 2 利用と濫用
- 家庭における水
- 取水される全水量のわずか10%が家庭用だが、
使用量は国によって大きく違う。
- 食料のための水
- 全淡水取水量のほぼ70%が農業に利用されているが、
それでも何百万人もの人々が栄養失調状態である。
- 灌漑
- 灌漑用地は、灌漑されないところより、通常は生産性が高いが、
管理がまずいと水浸しとなり、不毛の土地となる。
- 農業による水汚染
- 工業化された農法、収量増大のための化学薬品使用は
世界の水供給問題を大きくしつつある。
- 工業用水
- 新興工業国は向こう25年二渡使用水量を増加させる必要がある。
しかし適切にコントロールしないと
水源をさらに汚染することになるであろう。
- 産業汚染
- 産業汚染物が世界の水をどんどん汚染するにつれて、
それが環境と地下帯水層に及ぼす長期的な影響が明らかになりつつある。
- 発電用水
- 水力発電は世界の再生可能エネルギーのもっとも重要な源であり、
世界の電力の約5分の1を供給している。
- ダムはダメ?
- 世界の45,000の大規模ダムは大河川の6割に影響を与え、
8,000万人の人々に移住を余儀なくさせた。
- Part 3 水と健康
- 水に手が届くか
- 10億人以上の人が依然として信頼できる水源を容易には利用できない
- 公衆衛生
- 公衆衛生の向上は疫病に立ち向かう基本となるものであり、
人々の生活水準改善の出発点である。
- 汚れた水で人が死ぬ
- 汚水は年間170万人の死因となっている。
これは、乗客の9割が子供であるジャンボジェット機が
毎日衝突しているのに相当する。
- 疫病のアジト
- 水は依然として世界中でもっとも人を殺すものの温床となっている。
- 密やかな水汚染
- 飲料水中の微量化学物質は体中で蓄積し、
健康に壊滅的影響を与えることがある。
- Part 4 自然界の改変
- 水を分かつ
- 世界の大河川で、自然のまま流れている河川はほとんどない。
たいていの河川はエネルギー、灌漑(かんがい)の供給に使われてきている。
河川によっては環境と人間に多大の犠牲を強いつつ、
もともとの流路から数百kmも離れたところを流れている。
- 湿地帯の干拓
- 湿地帯は世界の淡水資源の健全性の保全に寄与しているが、
急増する人口を吸収するために、干拓して土地開発しても
構わないと思われていることが多い。
- 地下水のくみ上げ
- 世界の帯水層は貴重な資源としてくみ上げられている。
地下水は莫大ではあるが、無尽蔵ではないため、
多くの地域で水位は急速に低下している。
- 拡大する都市
- 都市の急速な発展のため、すでに伸びきった水資源ストレスは
さらにひずみを増大させている。
- なりふり構わぬやり方
- 塩水を淡水化すること、淡水を必要とすところへ輸送することは
水ストレスのある地域では唯一の選択肢であることがある。
- 洪水
- 洪水によって、毎年数千人が命を落とし、
数百万人の生活が破壊されている。
洪水はますます頻繁に生じている。
- 旱魃(かんばつ)
- 世界人口の6分の1にあたる10億人の生命と生存が、
干魃と沙漠化に脅かされている。
気候変動が事態をさらに悪化させつつある。
- Part 5 水をめぐるあつれき
- 協調の必要性
- 水の供給を共有するには国家間の交流が必要である。
水が友情を固める場合もあるし、仲たがいをひどくさせることもある。
- 急所
- 希少な水資源は、国家間、国内、
そしてコミュニティ間、商業利権間の政治的緊張を増している。
- 戦争の武器
- ダムやパイプラインの計画的破壊や飲用水の汚染は、
政府やテロリストによって、軍隊相手にも市民相手にも
同じように用いられてきた手段である。
- Part 6 これから歩む道
- "水"商売
- 水は生きるために不可欠な天然資源であるが、
水を必要とする人に水を共有することは政府の課題である。
しかしながら営利企業にとっては、
水は大きなビジネスチャンスである。
- 水供給の保全
- 淡水はますます枯渇してきており、貴重な水資源である。
淡水はできるだけ最高率的に利用されるべきである。
- 優先順位付け
- 水資源は統合的方法で管理する必要がある。
───環境上の要求とならんで、
人々の社会的、経済的および健康上の要請を勘案しなければならない。
- 将来展望
- 将来、世界の水問題がどちらに転ぶかはわからない。
シナリオはいろいろであり、
地域間、国家間、国際間の政策と行動次第である。
- Part 7 表
- 需要と資源 : 国別総人口、
水資源にアクセスできる人口割合、水資源賦存量等の統計。
人口等に関しては将来予測を含む。
- 利用と濫用 : 国別の、
水使用量、灌漑面積、水力発電量等の統計。
- (巻末)
- 用語集
- 便利な単位の換算
- 便利な情報源 : 参考文献、データ源
- 参考資料 : 各章のデータソース一覧
- 監訳者あとがき
- 索引
地球上の水循環や地下水の状況はグローバルにどうなっているのだろうか?
世界各国で、水は何にどのようにどれくらい用いられているのだろうか?
洪水や渇水、水に関わる疫病でどんな被害が世界のどこでどのくらい
出ているのだろうか?
ダムをめぐって世界はどう動いているのだろうか?
水は人間にとって単なる必需品なのか? それとも基本的人権なのか?
水の民営化や商品化の問題って何のこと?
水環境の保全と生態系との関係は?
世界の水問題の解決へ向けて今後どうすればよいのだろうか?
───こうした疑問に答えてくれるのがこの「水の世界地図」である。
日本でも2003年には第3回世界水フォーラムが京都を中心とした淀川流域で開催され、
世界の水問題への関心は一部で高まったが、
幸いなことと思うべきであるが、
良くも悪くも日本のように設備が整った国では水災害や渇水、
水に関連する衛生上の問題を実感する機会が少なく、
たとえ「21世紀は水をめぐる紛争の世紀になる」という文言に接しても
ぴんとこない人が大半であろう。
しかし、国際的には、貧困の削減、健康状況の改善、食料の確保、災害の軽減、
生態系の保全などと深く横断的に結びついている要素として
水問題の解決が極めて重要な課題となっており、
国連や先進国首脳会議などの場では近年繰り返し取り上げられている。
地球温暖化のような気候変動についても、
最も深刻な影響は水循環の変化として現れるのではないか、
とも言われているくらいである。
本書は世界の水問題にまつわる広範な話題について、
そうした国際的な場でしばしば取り上げられる
主要課題をほぼすべてバランスよく網羅している。
興味を引かれたタイトルのページを拾い読みするのも良いだろうが、
読み通すことにより、世界の水問題とその解決へ向けた取り組みについて、
基礎的な知識が体系だって得られるようになっている。
グローバルな視点に基づく世界の俯瞰と、
ローカルな視点に基づくケーススタディ的な話題の両方が
タイトルごとに示されており、
グローバルな状況を背景として把握していないとローカルな問題の本質を見誤り、
逆にローカルな問題の積み重ねとしてしか
グローバルな全体像が描けない水問題の特徴に即した構成である。
"はしがき"がBlue Gold(邦題「『水』戦争の世紀」(集英社新書))の
筆者らの手によっていることからもわかるとおり、
本書はどちらかといえば環境保護派の立場に立って
現状に警鐘をならす内容となっている。
しかし、警告は憂えるためではなく
そうならないように回避する行動を起こすためであり、
立場や思想信条に関わらず、
水問題、あるいは広く地球環境問題とその解決へ向けた取り組みに
興味を持つ多くの方々にとって、
本書は折に触れて参照する価値のある資料となることであろう。
2005年師走
沖 大幹
各Web Site
これまでにいただいた感想等
- 「沖さんご自身も沢山のデータをお持ちですので、
沖さんも"日本と世界の水"を出版されたらどうですか。」
- 千葉県匝瑳郡光町立図書館には2月10日入荷予定だそうです。
- 「こういう科学技術の一般への分かりやすい説明が、
今、国の科学技術施策には求められているんだ」
- 「僕、こういうの大好き」
- 「これ、図のパワーポイントファイルないの? もらえない?」
- 「20冊買うからよろしく」
- 「この本引用して、またみんな、
世界の水問題に関する本書いたりしてねぇ....」
- 「(僕はこの本はええわ....)」
- 「沖君は親孝行だね」
- 「あの本いいね」
- 「なんで著書じゃなくて訳本なんですか?」
- 「こういう本にはルビを振って、小中学生に是非読ませたい」
- 「こういう本は貴重だから、高校などでも売れ、
入試問題がここから続々出るでしょう。
日本のwater literacy解消の大きい牽引車になることでしょう。」
- ビジネスネット書店クリエイジでは、星5つだ。
- BONOさんの書評。
なんだかとっても誉められています。
でも、あとがきそのままの内容、とのこと、でした。
- ELLE DECO
とかいうページに紹介されていました。
-
-
-
その他
- (間違いを見つけられましたらお知らせ下さると助かります)
- 2月末に在庫切れ、となり、ご迷惑をお掛けしているそうです。
もしかすると、重版、ということになる可能性もあり、
その場合、修正が反映できると思いますので、
是非ご意見ください。
- 増刷になりました。微修正が少し加わっております。(2006年3月17日)
- 2刷ができあがりました。丸善が弱気で、あんまり刷ってませんので、
またすぐ品薄気味になるかもしれません。(2006年4月20日)
- おかげさまで重版3刷が9月にでます。(2006年8月20日)
このページには
May 2012に
36
回のアクセスがありました。
(Last updated at/on
November 2006,
by
沖 大幹
)