3月
3月1日(水)
   今日は朝から天気も良く、ポカポカ暖かだった。 そんな中、梅ヶ丘へ行ってきた。下北沢から自転車で10分足らず、と、意外と近い。 駅の近くに、羽根木公園というのがあって、ちょうど、梅が咲き乱れていて、 大勢の人手であった。 そして、僕は、公園へ遊びに来たらしい、綺麗な保母さんをはじめとする ちびっ子達に紛れて公園内を練り歩いた。 しかし、梅の木にとまっているカラス達に、”なんだおまえ?” という風に睨まれたので、おとなしく一人で公園を散策することにした。
   公園には、広場がいくつもあり、野球場、テニスコート、 プール、そして、端の方には森が広がっていた。 なかでも面白かったのが、”プレーパーク”といって、手作りの道具がおかれ、 でこぼこ穴だらけで廃材などが散在している雑然とした遊び場であった。 そこには、バーベキューしたり、置いてある廃車で遊んだり、なぜか卓球していたり、 ウサギにちょっかい出していたり、それぞれが思い思いのことをしていて、 活気あふれるところだった。 また、公園内、所々にベンチが設置されていて、ひなたぼっこを楽しんだり、 読書に勤しむ人々も見かけた。
   そして、やっぱり、こういう公園って、いいなあ、と思った。きっと僕は、 そういう、日常的な楽しみを得られるような、公園に憧れるのだろう。 そういえば、以前、文庫本なんかを持ち出し、家の近くの公園のベンチで 読みふけっている時期があったっけ。最近、そのようなゆとりもなかったし、 今住んでいるところには、そのような公園がない。ああ、いいなあ、公園。 とりあえず、この公園には、そのゆとりのようなものが流れていて、 束の間の幸せの一端を感じたような気がした。



3月2日(木)
   昨日の帰りに本屋で買った"MONSTER"を読む。 あんなに発売日を楽しみにしていたのに、昨日まで忘れていたのは、 なんだか問題あるなあ。
まあ、こんな他愛もないことならばまだいいが、 なんか重要なことを忘れてやしないかと、多少心配だ。

3月4日(土)
   話題の韓国映画、シュリを観てきた。いやあ、評判に違わずすごいの なんのって。
3月5日(日)
   久しぶりの実家は、特別変わったところは特にない。しかし、相変わらずの家族たちに、 非常に心和んだ。久しぶりの僕を迎てくれたのは、ご馳走の山、食いきれん、 そして、いろんな話をした。大変心休まる時間を過ごし、そして、 ずっとこのままだったらいいのにな、と思い、現実に帰りたくなくなってしまう。 しかし、その生活に浸りきってはいけないのだ、東京に置き去りにされた生活の続きを 演じなければならないのだ。いつまでも逃げっているわけにはいかない、 そう言い聞かせて、実家をあとにした。
   実家からの帰り道、ふとした思いつきで、一年程前引っ越すまで 約20年にわたって住み続けていたあの家へ行ってみた。あの頃と何一つ変わることのない その佇まいに、僕は思わず扉を開けて、ただいまー、 と言ってしまいたくなる衝動に駆られた。 しかし、良く見ると、そこにはあの頃とは違う明かりが灯り、見知らぬ誰かの生活が 営まれていた。当然のことだけれども、そこはもう、僕らのうちではない。
   今の実家には、昔から変わることのない家族がいる。しかし、その家は 一年前に移り住んできたものであり、たくさんの思い出の詰まったあの家はもうない。 実家の引っ越しから一年、実家を飛び出し独り暮らしを初めてから半年。 帰省の度に、実家は徐々にそれらしくなり、今ではだいぶ板についてきた。 猫の額ほどの庭にもだいぶ親近感が沸いてきた。ただ、長年家族の一員であった 金魚は、昨年の夏亡くなったし、数々の過去の思い出もそこにはない。 あるのは、”これから”、のみだ。そう、独り東京に住み始めた僕にあるのも、 やはり、これから、だ。それしかない。
   距離的にはさほど遠くはない、しかも、ごく短期間の帰省に、 妙に感傷的になったり、力んでみたり、忙しかった。精神的に不安定なのか、 相当弱っているからなのか、そんな風に思ったりもするが。 現実には、そんなことを言っている場合ではないのだろうな。 やらねばならぬ事は山積みだ、う〜む。



3月5日(月)
    村上龍のとある小説に、こんな一節があった。
ハイヤーが走りだし花々の香りのする湿った重い空気が車内に流れ込んできた時、
移動が人間に精気を与えることに気付いた。
わたしはモノを造らないのだから、とわたしは考えた。
わたしは移動し続けるべきなのかも知れない。
・・・
    移動が、逃避になってしまわぬように。。。



3月7日(火)
    時折、ほんの覚え書きのために、メモをしたり、 頭の整理のために何かに書いてみることがある。 しかし、うちにいるとき、手元にはパソコンなどという、文明の利器はない。 不要な紙の裏側の白い部分に、書いては消し、書く場所がなくなったら丸めてゴミ箱 に捨てる。 右手の小指側は真っ黒になり、ゴミ箱はすぐに山になる。 やはり僕は、紙と鉛筆の時代遅れの人間なのかしらん、と思った。



3月8日(水)
   いろいろなことで頭が飽和状態になり、 混沌の果てに自分を見失い身動きが取れなくなったときには、和幸へ行くと良い。 そこで、分厚いトンカツと、これでもか、とでもいわんばかりにごはんと キャベツをお代わりし続けるのだ。 そうすると、しばらくは満腹で動けなくなるが、しかし腹が減っては戦はできぬというもの、 そして、肉はパワーだ。 数分の後に力がみなぎってきて、体が活動を欲していることを感じるだろう。 それに逆らってはいけない。 何も考えずに、行動を始めるのだ。そう、思考は、そのあとからついてくる。。。。 だろう。



3月9日(木)
   本屋でデビットカードが導入されたら大変なことになってしまうだろう。 そんなことを思いながら、紀伊國屋屋で財布が空になるまで買い物をしてしまった。 辛うじて家までは帰りついたが、さて、晩飯はいったいどうしたものか。。。。 はらへったなあ。



3月14日(火)
    トラットリアから定食屋に生まれ変わった、 東門前のCORO。 昨日、突撃計画が定休日のためにあっさりかわされたので、 本日再挑戦。



3月17日(金)
    久々晴れて、春の気持ちの良い朝だ。朝刊を読みながらアートペッパー をバックに朝食を摂る。 平和な春の一日の始まり、のはずだった。
    しかし、平穏は思わぬところで破られる。 次にかけた一枚は、クリフォード・ブラウン&マックスローチ、 この躍動感に乗せられて、部屋中の掃除、食器洗い、洗濯を 精力的にこなしてしまった。 おかげで、今日一日の予定は大いに狂ってしまうのだった。



3月18日(土)
   温泉イベント、ただのお風呂!
   の、前に、実は今日は実家からのスタート。 就職用の写真を撮りに急遽戻ってきていたのだ。その店は、以前からよく来ている店で、 なかなか感じのいいところ。 今回は、これでもかといわんばかりに誉め殺しにあい、気分を良くして 東京へ帰ってくる。
   アパートに着き、慌てて準備を整え、集合場所へと急ぐ。 途中、昼飯用におはぎを買うも、無事定刻前に着く。 夏のあの事件以来、遅刻というものの重大さを味わっている人々は、 集合20分以上前にもう既に集まっていた。 そして、海外逃亡中の一人を除き、全員集合。
    そして、電車を乗り継ぎ、やってきた、山と川、温泉だ。 で、旅館に着いたところ、 剣道部の合宿に鉢合わせになり、ビックリ。 休業中の自動販売機にがっかりもしたが、無事酒類も入手し、 夜の会が催される。 みんなよく飲み、よく話す。 消灯時間10時との掲示があったが、気にしない。

3月19日(日)

    二日目の今日は、盛りだくさんで、充実していた。 不思議な石のある川原を散策し、ぶらぶらと隣駅まで歩き、 ジェラート屋の看板に後ろ髪を引かれつつも通りすぎ、山へ登る。 山頂付近は、斜面一面の梅林がなかなか綺麗だった。 そして、山道に仕掛けられた 数々のわなも克服し、そこらの動物たちとの交流を楽しむ。
    山を降り、腹減ったので、ジャズの流れるそば屋へはいる。 この店はなかなかこだわりのある店らしく、 町内のそば協会には入らず、しかも、店の前にいる 飼い犬のK太郎へのしつけもなかなか厳しいようだ。 また、店先の窓から見えた、そば打ち職人の親父は、 ジャズも似合いそうだが、 それよりもメタルが合いそうな感じもして、なかなか怖そうだった。 食べ方間違ったら、「この野郎、おまえらわかっとらんな」などと叱られるのではないかと 、ちょっと恐る恐る店へ入ったのだが、 店の人たちはなかなか感じが良く、客の入りも上々であった。 座敷には年季の入った家具やオーディオセットがならんでおり、 一升瓶がところ狭しと並べられている。
    まあ、そんなわけでざるそばを大いに味わってきたのだが、 ちと腹が物足りない。 そこで、店を出て駅前で縄文おやきとやらを食べることにした。 しかし、ちょうど蒸し器の中にあるのが切れたところらしく、 そこで店の人は何をしたかというと、おもむろにそいつを取りだし、レンジでチン。 あまりのショックとおやきの熱さに涙し、 フウフウため息を吹き掛けながら食べたのだが、 お茶を出してもらえたので、まあいっか。
    気分を入れ替えて、温泉に浸かり、先ほどから気になっていたジェラートも食し、 満足して帰途につく。 途中、乗換駅にて、時間があまったので、土産物屋を冷やかしながら、 懐かしのコーヒー牛乳を飲む。
    帰り道、ヒョンなことから、国分寺のうまいそばやへ寄ることになった。 ほとんど皆花粉症に苦しむメンバーだったが、 さすがに町に出ると調子が良くなってくるらしい、くしゃみも減って、 横で見ている花粉症に縁のない僕もひと安心。 そして、再びそばを食べたが、昼とは違った感じで、 こいつもやはり、うまかった。 そこで、今回の反省会を行い、次回の計画を練る。 次回は、花粉症でも安心な、室内イベントである。

3月20日(月)

    深夜、T木からの飛び道具による攻撃をかわし、今日は、先月の秘密会議の際に計画された、 WEG秘密結社による下北探検実行の日。 一人が週末のゲリラ戦にて負傷を負って参加できず、 また、もう一人が花粉症と強風に負けて出てこられない、 というハプニングもあったが、無事人数も集まり、決行!
    日頃見過ごしてしまうようなところにも調査の目が入り、 収穫はかなり多い。 いろいろ怪しいものを買ってしまったやつもいたが、 名物のカレーパンも買えたので、満足だ、 今回も、大成功であったと言えよう。 次回のテーマも決定し、無事、会を終える。

3月21日(火)
    悲しい歌ばかり、行き止まりの路地裏で口ずさんでいた少年も、 まもなく23になる。 23といえば、椎名誠がストアーズレポートで編集者として働き始める年齢であり、 歌うたいがよく取り上げるように、ちょっとした節目でもある。

3月22日(水)
    誕生日にちなんで、晩飯をご馳走になる。 その後、久しぶりに、例のバーへ顔を出す。 知った顔も少しいて、なかなか楽しいひとときを過ごす。

3月23日(木)
<<衝動とその反動に対する一考察>>

動機:部屋のなかにおける行方不明者が多数いることが発覚、救出作戦に乗り出すことを決意。

準備:心の準備、気合

現況:
・部屋中至るところに山が出現、それらは日々成長しつつある。
・投球練習中のミスによるゴミ箱付近の紙屑の群落
・居住スペースは日に日に狭まってゆく。
・炬燵を中心とする半径1メートル圏の一極集中と、中心地におけるスラム街の発生、 治安の悪化。

出撃:
(1)万年床と化しつつある布団の回収とゴミ拾い
(2)炬燵の上の開拓
(3)机の上の山を掘削
(4)押し入れ探検

被害:
・天袋解放に際する崖崩れによる被害
・更なる行方不明者
・行方不明に際して新規加入したものたちによる逆襲

成果:
・忘却の危機に瀕していた様々な書類・資料等の発掘
・イ・ムジチ合奏団演奏によるヴィヴァルディの「四季」の発掘
・ヨーヨー・マ等、他にもCD数枚を救出

結末:
かつて大好きであった四季の冬、第一楽章が流れた時点で、 手がつかなくなったので、強制終了。

考察:
    そういえば、先週、表面的にではあるものの、整頓・掃除をしたことを思い出した。 片付けをしても、数日でこんなにも乱れてしまうという事実に驚愕するとともに、 生活のだらしなさを反省、また、この瞬間部屋乱雑化現象に対する原因の解明を急ぐ 必要性を感じた。

3月24日(金)

    そういえば、昨日の成果のもう一つとして、 ハードロック/へヴィーメタルのアルバムを封印したことも付け加えておかねばなるまい。 もうそろそろ、現実の世界の地に足をつけなければならないからね。

    セロニアス・モンクのソロ・ピアノ・アルバム、「Thelonious Himself」。 自由気ままに引き散らかしすピアノに聞き入る。 ウイスキーでも片手に聴きたいところであったが、取りあえず、紅茶片手に ピアノの音色に身を任す。 部屋の明かりを小さくし、目をつぶると、もうだめである。 俗世の雑事も忘れ、至福の時を感じながら、静かな春の夜が更けてゆく。

3月24日(金)
教訓:空腹時は買い物するべからず。
    腹が減って、食欲が満たされない状態で物を見ていると、その満たされぬ食欲を物欲を満たすことにより 解消しようという潜在意識が働くようだ。 レコード店に入るや否や、CD達をむさぼるように買い求め、ついには懐が寒くなるまで続けるのである。
    だが、それが、音楽という文化的充足を求めるように働いたのは幸いであった。 おかげで、財布が空になった代わりに僕の心は非常に満たされた。
    その夜は、ずっとジョアン・ジルベルトのボサ・ノヴァを全曲リピートで流し続す。 平和なひととき。暖かい気持になって、床に就く。

3月25日(土)

    ミニコンポのアンプが末期的症状を呈したので、諦めて電気屋に新しいのを見に行く。 高い!、しかし、背に腹は変えられん。しかもこれまで持っていたのよりグレードアップしている。う〜む。 なけなしの金をはたいて購入。

    先日の衝動買いの産物の一つであり、今回の目玉でもある、村治香織演奏による、ホアキン・ロリーゴ作曲の 「アランフェス協奏曲」を聴く。 相変わらず、購買意欲をそそらないジャケットではあるが、演奏は、 クラシックギターなので、オーケストラの共演は、イングウェイ・マルムスティーンの「エレクトリック・ギターとオーケストラ のための協奏組曲」よりはいい。

3月26日(日)

    天気のよい日曜日。谷村有美が、そんな予定も何もない日曜日のちょっとした非日常をウキウキとうたっていたことを 思い出しながら、鼻唄でもうたいながら、家事をこなす。 そんな風にして街に出かけ、さて。
と思った瞬間、電話が鳴る。K太郎からだ。 どうやらのんびりはさせてもらえないらしい。 彼は、都会の風に当りに出てきているという。 そして、急遽臨時会合が開かれ、第一次:喜多方ラーメンの店、そして第二次:モス・バーガーにておおいに語り合う。

    夜、日曜劇場のビューティフルライフ、北川悦吏子の術中にまんまとはまる。 悔しいので、発掘されたばかりのヨーヨー・マ演奏による、ゾルターン・ゴダーイ作曲「無伴奏チェロ・ソナタ」 に聴き入り、ばかになる。

3月27日(月)
ミート・ローフ「地獄のロックライダーII」で目覚める。 ひどい人生だ、金返せ! なんて拳を振り上げて朝が始まるのも妙ではあるが、 無為の輩は、フライパンの中から何よりも高らかに立ち上がるのである。 取り敢えず、そんなわけで、元気に一日が始まるのであった。

    研究室内部での引っ越し。無事に新しい部屋(旧:段ボール山積み物置部屋)へ移る。 この部屋もようやく人が住める雰囲気になってきたか。

3月28日(火)

    アートペッパー・ミーツ・リズムセクション。ジャズのことあんまりよくわからない初心者の僕にとっては、 非常に分かりやすいアルバムだ。今日も軽快に一日が始まる。

    <新居メモ>
    少ない荷物も無事移動させ、なんとか、この新しい部屋に住めそうだ。

3月29日(水)

    朝の始まりの音楽として、似合うものとそうでないものとがある。 そして、それによって、朝からつまずいてしまうこともあれば、調子に乗って始まることもできる。 間違っても、ヨーヨー・マは、朝の音楽として聴いて、今日も一日爽やかに行こう、となることはない。 今朝の目覚めは、ヨーヨー・マ。 そのまま聴いていると、部屋の外へでられなくなるので、口直しに、ギルバート・オサリバンを聴き、 辛うじて、軽やかに家を出る。

    今日の収穫;

  • 電車から見た新宿御苑には、桜が咲き始めていた。
  • 会社説明会にてSと出くわす。
  • 御茶ノ水のとある喫茶店にて臨時会合を開く。
  • 神保町の本屋にて立花隆氏らしき人物を目撃。


3月30日(木)

    レッド・ツェッペリンの「Immigrant Song(移民の歌)」、これが大好きなんだなあ。 何気なくJーWAVEをかけていたら流れてきた。もうたまらん。 HR/HM封印も解くべし! ロックは拳だ!魂だ!などと調子に乗っていたら、 台所にて毒ガス発生。瀕死の状況に陥る。

    <新居メモ>
    プリンタを奪ってきた。少しずつ整備されてきたぞ。

3月31日(金)

    昨夜、T木の急襲に会うも、見事な圧勝。 ただし、共同ミッションは失敗に終わってしまう。 今朝はなだめるためにごはんを炊き、バター醤油ごはんをご馳走する。

    新入生がやってくる。それに便乗していろいろ回り、昼御飯もご馳走になる。

    <新居メモ>
    新しい机がはいる。ついでに荷物も整理し、ずいぶん綺麗になる。 ただ、ものが少ないので、ずいぶん殺風景な部屋である。 今後の健闘が期待される。


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