Global-scale river flood vulnerability in the last 50 years

はじめに

洪水の影響は人口増加、経済成長、気候変動により上昇すると予想されています。

したがって、効果的な洪水緩和策を実施するために、リスク要素(強度、暴露、脆弱性)の物理や時空間変動特性を理解する必要があります。

研究方法

本研究では、災害データベースに報告されている洪水損失や被害を、全球河川洪水氾濫モデルによって推定された洪水の暴露との比から、洪水死者および経済被害に対する脆弱性を定義し、これらの長期変動を全球規模で分析しました。

結果と考察

洪水死者に対する脆弱性は、どの所得レベルでも減少していることが明らかになりました。これは、過去の洪水対策により、洪水被害を軽減することができたことを意味します。

経済被害に対する脆弱性は所得レベルにより異なる変動を示すことがわかりました。中所得および低所得レベルにおける長期変動は逆U字型の変動パターンを示し、これは経済成長と過去の様々な被害軽減努力がバランスしたためと考えられます。

また、本研究では、洪水暴露人口が過去の人口分布の変化の影響を調べました。その結果、それは最大48.9%の脆弱性を変えることがわかりました。これによる脆弱性の増加・減少傾向は様々な国々で見られ、人口分布の変化を考慮した人口シナリオは将来の洪水プロジェクションに影響を与えると考えられます。

詳細は下記論文を参照ください

TANOUE M, Y Hirabayashi, H Ikeuchi (2016) Global-scale river flood vulnerability in the last 50 years. Scientific Reports, 6, 36021, doi:10.1038/srep36021. [PDF]


Figure 2. 洪水死者および経済被害に対する脆弱性の長期変動。