藤吉先生の最大粒径の論文の引用文献

http://stellar.lowtem.hokudai.ac.jp/research/papers/max-raindrop.pdf

(論文を読んだ感想)

霙大粒子と雨大粒子が同時に降るのは融解中という解釈が成り立つ。

霰大粒子と雨大粒子が同時に降るのはどのように考えるべきか?

 

 

引用文献

Atlas, D., R. C. Srivastava and R. S. Sekon, 1973: Doppler radar characteristics of precipitation at vertical incidence. Rev. Geophyscs. Space Physics, 11, 1-35.

 落下速度と粒径の近似式。

Beard, K. V., D. B. Johnson, and D. Baumgardner, 1986: Aircraft observations of large raindrops in warm, shallow, convective clouds. Geophys. Res. Lett., 13, 991-994.

 8mm径の雨滴の報告。

Beard, K. V., and C. Chuang, 1987: A new model for the equilibrium shape of raindrops. J. Atmos. Sci., 44, 1509-1524.

 大きな雨粒はまとまって降ってくる。(レインシャフト)

 降り始めであれば大きな粒子は小さな粒子にぶつからずに落下できる。

A New Model for the Equilibrium Shape of Raindrops

Kenneth V. Beard and Catherine Chuang

Journal of the Atmospheric Sciences  
Volume 44, Issue 11 (June 1987) pp. 1509–1524
DOI: 10.1175/1520-0469(1987)044<1509:ANMFTE>2.0.CO;2

[ Abstract ] [ PDF (1.42M) ]

雨滴粒子の等価形状をラプラスの方程式を用いて決定した。ラプラス方程式では粒子内部の静力学的気圧、外部の熱力学的な気圧を用いた。外部の熱力学に基づく気圧は球形に対する観測値を用いているが雨滴変形の効果により調整を加えている。・・・

 

(おそらく粒子に対する計算の話)11/13’7

 

 

Bringi, V. N., V. Chandrasekar, J. Hubbert, E. Gorgucci, W. L. Randeu and M. Schöenhuber, 2003: Raindrop size distribution in different climatic regimes from disdrometer and dual-polarized radar analysis. J. Atmos. Sci., 60, 354-365.

 TRMMによる雨滴粒径分布の気候学。

Chuang , C. and Beard, K. V., 1990: A numerical model for the equilibrium shape of electrified raindrops. J. Atmos. Sci., 47, 1374-1389.

 斜めに降ってくる大粒子の雨について。カンティング:「カント」とはカーブにおける道路の内側と外側の高低差。

Fujita, T. T., 1992: The mystery of severe storms. WRL Research Paper 239, University of Chicago, 298 pp. [NTIS PB 92-182021]

 ダウンバーストを起こした強エコーの報告。

Fujiyoshi, Y., I. Yamamura, N. Nagumo, K. Nakagawa, and K. Muramoto, 2007: The maximum size of raindrops and associated climatology. Part I Comparison between

Sapporo and Okinawa, Japan J. Atmos. Sci. (投稿中)

 本報告で用いた図の出典。

藤吉康志(編)、2005:雪片の形成と融解、気象研究ノート、207 号、127pp

 

Hobbs. P. V., and A. L. Rangno, 2004: Super-large raindrops. Geophys. Res. Lett., 31, L13102, doi:10.1029/2004GL020167.

 大きな雨粒はまとまって降ってくる。(レインシャフト)

 8.8mm径の雨滴の報告。

Abstract

congest;密集した

これまで観測されたと同じくらいか、それ以上の大きな雨滴がブラジルで畑を焼いたときと、マーシャル島で晴天時に、密集した積雲の中でレインシャフトとして観測された。巨大雨滴は雲水量が非常に大きい狭い領域で雲粒がぶつかって成長したと考えられる。ブラジルでは巨大粒子の初期成長は巨大な煙粒子への凝結成長であったと考えられる。11/14’7

 

Hu, Z., and R. C. Srivastava, 1995: Evolution of raindrop size distribution by coalescence, breakup, and evaporation: Theory and observations. J. Atmos. Sci., 52, 1761–1783.

 数値計算では、落下距離が長いほど大粒子の数は減ってくる。

Jameson, A. R. and A. B. Kostinski, 2001: What is a raindrop size distribution? Bull. Amer. Meteor. Soc., 82, 1169-1177.

[ Abstract ] [ PDF (103K) ]

 雨に定常状態がなければ、粒径分布とは何を意味する?

雨滴粒子の数というのは、ある観測空間の中にある粒径分布を、たまたま、粒径の関数として測定したものである。しかし、最近の観測では雨は「つぎはぎだらけ」であることがわかっており、粒径の関数としての分布を「明確に」定義することは不可能であると思われる。したがって雨は異なる強さの範囲で基本的な分布を持っていると考えられる。したがって、全観測の粒径分布とはこれらの「はぎれ」つまり、つぎはぎされたものである。

さらに、測定された粒径分布の解釈は、統計的に均質であるかどうかにかかわっているモンテカルロ計算によって、統計的に均質な雨というのは「はぎれ」の数が増えてくるということを示した。11/16’7

 

これらの発見は、次の二つの問題を暗示している。

     計算機が出力する粒径分布は、観測されたものと同じだろうか?

     異なる分解能で観測が実施された場合、最適な粒径分布とはなんだろうか?11/19’7

 

Jameson, A. R. and A. B. Kostinski, 2002: When is rain steady ? J. Appl. Met., 41, 83-90.

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (137K) ]

 雨の定常状態とは?

しばしば雨量強度によって定義されるが、雨(研究)によって定義は異なる。ここでは包括的な定義を提案したい。11/14’7

隣り合う雨滴同士の相関がないことが問題。粒径分布を決めるにはあらゆる粒子についてはポアソン過程に従うものとする。11/20’7

ポアソン分布―――――――――――――――――――――――――――――――

単位時間の中で(例えば1時間)のなかで、平均でλ回(e.g.6回)発生する事象がκ回(求めたい変数)だけ発生する確率(1回しか発生しない確率は低くて、当然6回発生する確率が高い、10回位派生する確率はまた低くなる)が次の式で表される。

PN=κ)=(exp(-λ)*λ^κ)/κ!

ポアソン過程

ある時刻tについて、時刻tまでに発生した事象の回数の確率分布は、平均発生回数をλtとみなしたとき

PNt=κ)=(exp(-λt)*λt^κ)/κ!

で表現できる。

ポアソン過程では、ある事象の発生確率がほぼ同じ時間間隔で起きていると考える。11/21’7

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

したがって、定常な雨というのはポアソン過程である。降水強度の分散についての明示的な方程式群を作成する。これらの方程式は「雨滴が密集すること(raindrop clustering)は、一般に、雨の分散が強められて、ポアソン過程の分散を超える」ことを示している。(相関の高い雨とはraindrop clusterginによって、特定の粒径の粒子数が高くなっている。ポアソン過程の雨では相関が低い。p84)また観測からは、雨が統計的に定常でない場合、この強化がかなり議論の余地があることが示されている。11/23’7

統計的に定常性を評価する指標としてσr^2/σp^2を提案する。また、最小の標準偏差として、降水強度の平均を平均粒子数で割ったものを考える。観測例は、ビデオ粒子計と比較する。11/27’7

 

Joss, J., and A. Waldvogel, 1967: A raindrop spectrograph with automatic analysis. PureAppl. Geophys., 68, 240–246.

 音響式ディスドロの説明。

Kobayashi, T. and A. Adachi, 2001: Measurements of raindrop breakup by using UHF wndprofiler. Geophys. Res. Lett., 28(21), 4071-4074.

 ウインドプロファイラによる雨滴粒子の観測。

Abstract

UHF帯のウインドプロファイラにより非常に興味深い雨滴粒径分布の鉛直分布を観測した。つくばにおける対流性の降雨で観測されたものである。ウインドプロファイラでは粒子の落下速度と周辺の風の場を観測でき、ドップラスペクトルから粒径分布が計算される。観測されたドップラスペクトルは高度によりかなり変動があった。かなり高濃度で6mmを超える大粒子が高度3.25kmに観測された。これらの大粒子は2.75kmでは消えて、1.5mmより小さい粒子の数が増加していることが観測された。この変動は大粒子の破裂によるものと考えられる。11/28’7

 

Marshall, J. S. and W. M. Palmer, 1948: The distribution of raindrops with size. J. Meteor., 5, 165-66.

 雨滴粒径分布の基本。

Mason, B. J., 1971: The Physics of Clouds, 2nd ed., 671pp, Clarendon, Oxford, U. K.

 雲物理の基本。

Pruppacher, H. R., and R. L. Pitter, 1971: A semi-empirical determination of the shape of cloud and rain drops. J. Atmos. Sci., 28, 86-94.

 9mm以上の粒子は、自身の振動により破裂してしまう。

Rasmussen, R. M., V. Levizzani and H. R. Pruppacher, 1984: A wind tunnel andtheoretical study on the melting behavior of atmospheric ice particles: III.Experiment and theory for spherical ice particles of radius > 500 μm. J. Atmos. Sci.,41, 381-388.

 雹が融ける時は、融けた水は粒子から離れる。

Schönhuber, M., H. E. Urban, J. P. V. P. Baptista, W. L. Randeu, and W. Riedler, 1997:Weather radar vs. 2D-video-distrometer data. Weather Radar Technology for Water Resources Management. B. Braga Jr. and O. Massambani, Eds., UNESCO Press.

 2DVDについて。

Seifert, A., A. Khain, U. Blahak, and K. D. Beheng, 2005: Possible effect of collisional breakup on mixed-phase deep convection simulated by a spectral (bin) cloud model. J. Atmos. Sci., 62, .1917-1931.

 数値計算では、落下距離が長いほど大粒子の数は減ってくる。

DOI: 10.1175/JAS3432.1

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (1.67M) ]

 

 

 

Takahashi, T., K. Suzuki, M. Orita, M. Tokuno, and R. de la Mar, 1995: Videosonde observations of precipitation processes in Equatorial cloud clusters. J. Meteor. Soc. Japan, 73 (2B), 509-534.

 ハワイでのビデオ観測。

吉野文雄、2002:レーダー水文学、森北出版、175pp

 ZDR法について。

 

 

 

Matsuo, T et al, 1985

つくばでのC帯レーダとゾンデ観測の比較。

9つの事例。内、6事例が冷気層あり、3事例が冷気層なし。冷気層の上下端での減率は湿潤断熱に近い12/10’7