0707

霙水量推定のためのレビュー

     「霙水量」とは

霙水量(みぞれみずりょう)の推定について:落下する降水粒子は固体から液体に相変化する際、大気中の熱を奪う。現在の温暖化の影響は大気大循環モデルの結果を元に議論されているが、扱う降水粒子は「雨・雪・霰」の3種類であり粒子の相変化に伴う熱の吸収・放出は瞬時に行われる。鉛直方向の変化は100m間隔でも荒いと考えられるが、融解層が広く分布する場合には霙状態が長く続くこととなるし、衛星から地上降水量を推定する場合には重要である。実際の大気では雪から雨に変化する際、霙状態で寒気を上空から地上に輸送しており、霙は地上を冷却するのに重要な役割をしていると考えられる。そこで降水発生時における霙水量の変化を調べる。

霙水量は融解中の湖水粒子の総和(単位面積/単位体積あたりの質量)で定義し、非融解率[融け残っている氷の量](融解中の降水粒子の固体水量)/(固体水量+液体水量)で定義する。非融解率に着目することで、上空から地上への負の熱フラックス(寒気のフラックス=地面を冷やす効果)の計算が容易になる。

 

雲の中の降水粒子の状態として、雪、雨があり、それぞれは粒径分布で与えることが出来る。

0℃層以下の高度で融解を再現した一次元モデルにおいて、単一の粒子を対象として

雪粒子⇒霙粒子⇒雨粒子

と変化する。

これが異なる粒径を持った粒子が同時に存在する場合、併合を無視しすると

小さい粒子が先に雨になるので

雪粒子の分布⇒霙粒子の分布⇒霙粒子と雨粒子の分布⇒雨粒子の分布

と変化する。

地表面への降水による融解の潜熱フラックスを計算するためには、地上に降りてくる雨のうち

どのくらい融解しているかを知ることが必要である。

 

決めなくてはいけないこと。

最終的な雨の粒径分布:大きな雨があるときは落下速度が大きい。すべて融けきったらどの様な分布になるか?

遷移中の雨・霙境界:融け切った雨の方が落下速度が大きいので少し押し上げる。(Matsuo&Sasyoの計算を採用)

 

そこで、既往検討から融解中の粒子の再現計算について調べる。

     観測によるアプローチ

     計算によるアプローチ

それぞれ、地上からレーダによる観測を利用したもの、衛星から放射計を用いた観測を利用したものがある。

 

融解中の粒子を観測することの大切さ

     地上からの降水量推定について
ブライトバンドがあるところでは、降水量が課題に評価される。
定量的に知るためには、その構造をきちんと把握することが必要である。誘電率などの計算を実施する。

     衛星からの降水量推定について
広い範囲の降水量を調べるためには、人工衛星による観測は重要。しかし、融解中の粒子があると衛星で用いるマイクロ波帯は強烈な吸収帯となっているので、その分布を知ることは非常に大切。

 

続けること、月単位でまとめること、次につなげること7/12’7

木庭先生[学生さんであっても、きちんとしたreviewは書けるはず7/8,2007]

漠然としたレビューは難しい。目的を絞る。とすれば、霙水量を知りたい。

漠然としたレビューは難しい。目的を絞る。とすれば、霙水量を知りたい。

やりたいこと:熱と粒子の関係。冷やす関係を調べたい。

FMCWレーダであるMRRはおそらく直近の反射強度因子は設定によりごく近傍まで測定することができる。

融解状態とスペクトルを比較した例は少ない。定常状態を仮定することで粒子の融解状態を推定することが出来る。

スペクトルの振る舞いは融解状態を反映しており、融解率を推定することが可能である。これにより降水粒子による熱のフラックスが推定可能である。

熱の振る舞いとレーダ観測を関連付けた論文はない。ここでは100mと設定したが、最少10mまでレンジ幅を変更可能であり、ごく近傍の粒子状態が観測可能である。

(どうやって計算するのか)減率との差を粒子による冷却と考えるか?松尾1985に従うこと。

 

Combined Cloud–Microwave Radiative Transfer Modeling of Stratiform Rainfall

Peter Bauer,  A. Khain,  A. Pokrovsky,  R. Meneghini,  C. Kummerow,  F. Marzano, and J. P. V. Poiares Baptista

Journal of the Atmospheric Sciences  
Volume 57, Issue 8 (April 2000) pp. 1082–1104
DOI: 10.1175/1520-0469(2000)057<1082:CCMRTM>2.0.CO;2

[ Abstract ] [ Full Text ] [ PDF (495K) ]

これまでの粒子融解のモデルは、アクティブなレーダによるものであったので、受動型のセンサーについての調査は少ない。そこで、粒子について検討した。

9/27’7

人工衛星搭載のマイクロ波放射計データを元に、雲粒子の融解モデルを開発した。特に、融解層から下の粒子の融解に注目している。目的は以下。

1)      鉛直の解像度が増してきたので融解モデルを埋め込む

2)      いくつかの粒子融解モデルを比較する

3)      粒径・密度分布の依存性を評価する

4)      定式化したスペクトル分布で粒径分布を置き換えたときの影響を調べる

海上での放射・対流モデルの結果は、波長が10.7Gから85.5GHzの場合、融解が発生するとかなり輝度温度が増加した。その値は

組み込む誘電率のモデル、融解層より上の大きな氷粒子の数濃度、局所的な雲の状態

に依存する。

大気・氷・融解した水が粒子内に無作為にあると仮定すると、TB37G30Kまで増加する(天頂方向、層状雲)。融解した水が粒子の外側に存在すると、

どの周波数でもTBはありえない値となってしまう。このことから、大きな細い(tenuous)雪粒子については無作為に混合するモデルが適当であり、

小さい、密度の高い粒子については水の分布を非均質(nonuniform, randomとどう違うのか?)にしたモデルが適当だろうと考えられる9/28’7