2004/11/2

橋本さんのD論、参考文献より

Cloud Droplet Growth by Collection. E.X Berry, pages 688–701.  (1967)Journal of the Atmospheric Sciences: Vol. 24, No. 6

[Abstract] [Print Version]

 半径が4~200μの粒子成長を、流体力学的併合、電磁場における併合、幾何学的な吐き出し(sweep-out)によって代表される粒子(kernel)併合について計算したところ、粒子の成長率は核の大きさに比例し、成長のパタンは粒子の大きさに対する核の配分に依存する事がわかった。60μより粒子が小さいときには大きな核の派生は分布形を広げる結果となる。60μより大きな粒子には個々の核の派生は水が大粒子状に積み重なる事のできる共通の値まで小さくなる。このことが5分間雲水量が1g/m3であるときに、Golovinの非対称解に類似した自己保存分布につながる。診断的なモデルは成長率は連続モデルと同じであるが、大きな粒子についてはより多くの水を移動している。

 

RAINDROP SIZE-DISTRIBUTION IN HAWAIIAN RAINS Duncan C. Blanchard Journal of the Atmospheric Sciences: Vol. 10, No. 6, pp. 457–473. (1953)

 

 粒径分布測定について簡単な調査を報告する。本研究ではろ紙による測定を採用した。この手法をハワイの地形性降雨に対して適用している。
 雨の粒径分布の変化は雲から地上までの落下による変化として考慮できる。粒径の変化は風のシア、重力による分割、蒸発、粒子の衝突が影響している。蒸発による誤差は単独で評価可能である。ハワイの地形性降雨では小粒子の数が多く1000m足らずの雲の下の層で完全に蒸発する。雲底と雲の中について全ての地形性降雨を観測する事で、蒸発の問題は取り除いて、他の効果は最小化した。
 非地形性の稿での粒径分布は雷雨と低気圧性降雨によって得られた。水分量、中間粒径(median drop diameter)、レーダ反射強度のような直接関連する気象要素は他の調査による値とよく一致していた。
 氷晶過程を含まない地形性の降雨については、これらの値はかなり異なっていた。粒径分布は狭く、2mmを超える粒子はまれである。一般に強度が強くなればスペクトルの大きい方の粒子数が増える。しかし、0.4mmより小さい粒子については強度の増加に伴って粒子数が減少する。このような分布は連鎖反応過程がないことを示唆する。
 0.5mmより小さい粒子の数は40,000m-3をしばしば超えている。このような小粒子の数が多いことが中間粒径、レーダ反射強度を小さく、しかし、水分量が少ない事をもたらしている。
 粒径分布は三つに分類される。1)非地形性降雨2)雲底での地形性降雨3)雲内、雲頂での地形性降雨。それぞれの場合について降水強度の関数として気象要素が表現できるような回帰式を求めた。(11/6)

 

The Evolution of Raindrop Spectra in Warm-Based Convective Storms as Observed and Numerically Modeled

R.E. Carbone & Loren D. Nelson (1978)Journal of the Atmospheric Sciences: Vol. 35, No. 12, pp. 2302–2314. [Abstract] [Print Version]

 航空機搭載による光学的粒径観測装置でテキサスにおいて雨滴粒径の観測をおこなった。同時に10cm3cmのレーダ観測もおこなっている。雲底から大粒径の雨滴が出てくると小粒径の濃度がマーシャルパルマ-に比べて低くなる事がわかった。指数スペクトル分布のパラメータN0とλのシステマティックなパタンが時間と空間における「パラメータ循環」に寄与するとわかった。粒径分布は上昇流により、小粒径が分配されることの影響を受けている。粒子が自発的に壊れる事に比べて、粒子の衝突による破裂の重要度は低い。Srivastava(1971,1978)の結果を部分的に支持する。
 1次元的モデルを観測をシミュレートするのに用い、観測されるパラメータ循環を再現した。
 雲水量や反射因子といったスペクトルにかかわる項目の評価について述べる。(11/10)

 

Development and Structure of Winter Monsoon Cloud Clusters On 10 December 1978. Dean D. Churchill and Robert A. Houze Jr., pages 933–960.

Journal of the Atmospheric Sciences VOLUME 41 NUMBER 6 March 1984

[Abstract] [Print Version]

 冬季季節風実験(WMONEX)のデータを用いて南シナ海における19781210日のクラスターを研究した。クラスターは強い対流性のセルグループから始まりメソスケールのシステム、つまり、対流性のセルと層状性の降水からなるシステムへの生涯を経験した。クラスターのセル領域では氷晶の濃度が(8kmあるいは−17℃高度で)1リットルあたり数百個である事がわかった。局所的な対流の上昇流は417m/sであり、粒子成長は雲粒補足が卓越している。層状雲の領域では氷晶の成長は昇華および凝集により、観測された氷晶の構造は中上層で弱いが全域に広がるメソスケールの上昇域を示している。一方で調査データから未飽和の下降流が中下層で示されている。層状域の8km高度における氷晶の濃度は対流域より1,2桁小さい。弱い層状性の雨の領域は1リットあるあたり110個、強い層状性の領域で2070個であった。層状性雲の構造は水平距離10100kmにわたる氷晶の存在する領域の変動で示される。

 

doi: 10.1175/1520-0469(1980)037<2486:ADMMWA>2.0.CO;2 Journal of the Atmospheric Sciences: Vol. 37, No. 11, pp. 2486–2507.

A Detailed Microphysical Model Within a Two-Dimensional Dynamic Framework: Model Description and Preliminary Results

William D. Hall [Abstract] [Print Version]

2次元の非弾性モデルで水と氷を扱えるモデルを提案する。水相での計算は、凝結、準統計的な衝突、抜け落ちと破裂を含んでいる。氷相での計算は氷粒子の、拡散、水(蒸気?)の沈着(accretional growth)による粒子成長を含んでいる。(11/16) 2つの雲についてのシミュレーションを報告する.最初は海洋性の凝結核を含む暖かい雨のみの降水について。モデルの予測する過飽和度は上昇域で水に対して5%より大きくなっていた。二つ目のケースは冷たい雨の事例で、大陸性の凝結核を想定して霰の成長も含めている。二つ目のケースでは雲の上部にある活性化に適した領域から雲水量の多い沈着成長の領域へ氷粒子が輸送されるのに寄与する、雲の鉛直運動が重要である事がわかった。モデルと観測が合わないところについて議論し、モデルの応用について述べる。

 

 

doi: 10.1175/1520-0450(1986)025<1070:RSD>2.0.CO;2 Journal of Applied Meteorology: Vol. 25, No. 7, pp. 1070–1074.

Raindrop Size Distribution M.C. Hodson [Abstract] [Print Version]

 

 

doi: 10.1175/1520-0450(2003)042<1031:RSDEOG>2.0.CO;2 Journal of Applied Meteorology: Vol. 42, No. 7, pp. 1031–1034.

Raindrop Size Distributions: Exponential or Gamma—Does the Difference Matter? Paul L. Smith  [Abstract] [Full-text Article] [Print Version]

 Γ関数は、雨滴粒径分布の特徴を,特に、小粒子の部分で特徴を表すのに利用される。しかし、用いられている測器では小粒子の領域では一致しないし、多くの目的で、この部分のスペクトルは重要でない。大粒子の部分では、サンプリングの限界が信頼性のある限界を妨げる(impede)。したがって、瞬時法(moment method)が一致関数に対して、変数を決定するために用いられる場合には、実験的な不確実が、結果としてガンマ分布と対応する指数分布の間にある、バルクの値(降水強度や反射強度)における違いより大きくなる傾向にある(瞬間値で粒径分布を決めると、Γ分布と指数分布の違いによってもたらされる反射強度/降水強度の差より、観測の違いが大きくなる)。これは、Γ分布か指数分布のどちらかをもちいるか、はあまり違いがなく、指数モデルが多くの目的の場合にふさわしいと言える。12/1’04

 

Drop-Size Distributions Associated with Intense Rainfall. Paul T. Willis and Paul Tattelman, pages 3–15.  [Abstract] [Print Version]

激しい降雨の発生確率についてレビューを行った。激しい降雨の場合の粒径分布を熱帯低気圧、台風のデータより調べた。平均的な粒径分布を激しい降雨について示し、正規化した粒径分布をΓ分布にあわせて示した。この合わせ込みは、雨が強い場合の典型の粒径分布について基本となるものである。モデルとのよい一致をいくつか地形の条件が異なる地点でのドロップカメラの測定から比較した。指数分布の傾きを合わせることを、降水強度が一致するように実施して、一般に強度が大きくなると傾きがきつくなる事がわかった。12/2’04