MRRで雪を観測した場合に見られるZの飽和について 12/23'7 ・レーダ雨量計は距離減衰のため、レーダアンテナ近傍がもっともエコーが強い。 ・レーダシステムのハードとしては距離によって受信感度を変えることができないので、「適当な」受信レベルを設定している。 ・このため、レーダアンテナ近傍に強いエコーが存在する場合は、受信電力値が測器の感度を超えてしまい(受信感度が飽和してしまい)ハードの受信感度値が記録されることとなる。 ・この値は、距離によって一定なので、距離補正を行った結果(雨量換算後など)では距離方向にr^2の放物線の分布となる。アンテナに近づくにつれてr自乗で小さくなるような分布を示す。 では何故 ☆MRRでは、雨の時間帯には50dBZも記録されているのに、雪の時間帯では30dBZで飽和しているような分布を示すのか? ・MRRでは、受信電力からFFTによって周波数分解し距離の情報を作成し、2次FFTによって、ドップラ速度毎の受信電力を得ている。 ・ノイズ除去は、レンジビン毎にドップラスペクトルについて「最大値の抽出・平均値の計算」を繰り返し、平均と最大値がほぼ等しくなった値をノイズレベルとしている(ウインドプロファイラと同様の計算)。 ・信号を記録するダイナミックレンジは信号強度によって変えている(e.g.ノイズレベル〜ノイズレベル+80dbm)<<メーカ未確認>> ・この結果、あるドップラスペクトルにのみ強い信号があった場合(e.g.融解中の雪で3m/sに強い信号が記録される)ノイズレベルは低く(感度がよい状態)信号が強い状態となる。このような場合には強いドップラスペクトルの信号が「ダイナミックレンジで飽和」してしまう。 ・反射強度因子は信号をドップラスペクトルについて積分した値なので、あるドップラスペクトルのみに強い信号がある場合(分散が小さい融解中の雪の場合)は、ドップラスペクトル範囲に広く大きめの信号が分布している場合(分散の大きい雨の場合)に比べ、「飽和」によって値が小さく観測されると考えられる。