GMT - The Generic Mapping Tools
Frequently Asked Questions
→原文(英語)
- GMTを開発したのは誰ですか?
- GMTを開発したのはPaul Wessel
と Walter H. F. Smithの両名で,スタートは1988年でした.GMTはその後数度のバージョンアップと根本的な改良を経験しています.現在のバージョンは3.3.5(2000年7月発表)です.GMTの開発にあたってはNational Science Foundation(NSF)の補助を受けています.
- GMTのユーザ層は?
- 2000年3月の時点で,世界中の約6000人の科学者・技術者がその業務のためにGMTを使用しているようです.この数字はftpのトラフィック量およびこの数年に送付された登録フォームの量に基づくものです.ユーザの多くは地球科学者のようなのですが,しかしGMTの応用範囲には,見たところ限りはありません.たとえば,私たちはGMTが医科学・工学・物理学・数学・社会科学・生物学,さらには地理学・水産会社・石油開発会社,そして様々な政府系機関に利用されている事例を知っています.
- GMTのY2K問題は?
- GMTにはY2K問題はありません.GMTはANSI準拠C言語とPOSIX標準でかかれています.
- GMTはどのUNIXワークステーションで動きますか?
- GMTは多くのUNIXにインストールされています.現在のところ,それらはCray, Sun, IBM, DEC, HP, SGI, Data General, Apple, and Next, all running some flavor of UNIXです(それ以外のシステムでは動かないということではありません).さらには,LinuxおよびMkLinux(それぞれ,PC用およびMacintosh用のフリーUNIXライクOS)にもインストールされています.また,Win32やOS/2環境でも動作します.GMTは移植性に富み,おそらくはほとんど全てのコンピュータ上でコンパイルできるでしょう.
- では,GMTをUNIX以外のコンピュータで動かすことができますか?
- これは可能です.たとえば,非常の多くのユーザが,PCにWindowsと同時にLinuxもインストールし,両方を立ち上げられるようにしています.といっても,PCにUNIX環境をインストールしたくないまたはインストールできないという場合もあるでしょう.その時の解決策は次の通りです:
- UNIX以外のOSからUNIX環境をエミュレートする方法.たとえば,Windows NTの上ではInterix(まだOpenNTと言った方が通じやすいでしょうか)をインストールすれば,POSIX標準のUNIX環境と通常よく使われるUNIXツール(各種シェル,awk,grep)を得ることができます.また,フリーのプログラムとしては,Cygwin(cygnus社−現在はRedHat社により買収されている−製品)があります.これまたPOSIX準拠のUNIX環境を得ることができ,すでにGMTがインストールできるという報告が得られています.一方,MacOSではMachTenがあります.これは上記のエミュレータと同様の機能をMacintosh上で実現するものです.GMTを使って何かをするというタスクは,通常はcsh, awk, grep, sedといったUNIX標準ツールの使用が不可欠となりがちですので,UNIX環境以外でGMTを使うには,上記のようなUNIXエミュレータをお勧めしたいと思います.
- GMTをWindows 95/98/NT/2000やOS/2に直接インストールする方法.これはコンパイラをお持ちであれば全てを手作業で組み立てるつもりさえあれば可能です(なお,GMTにはMicrosoft Visual C/C++によるコンパイル手順書が付属します).また,Win32用にコンパイルされたバイナリをftpしてくることもできます.ただし,現状ではMacOS用の同様の手段は用意されていません(ごめんなさい).ただし,MacOS X serverをお持ちなら,UNIXワークステーションと同様にGMTをインストールできます(もっとも,Mac OS X Clientの方でこの方式が通用するかどうかはまだ未確認です).
- ハードディスク容量とメモリはどの程度必要でしょうか?
- まずディスク容量についてお答えします.GMTはおおよそ65,000行のコードから成っています.SUNワークステーション上のSolarisでは,実行バイナリはおおよそ72MBとなりました.また,GMTでは別にサポートデータ(海岸線・河川流路・国境線など)が必要となります.デフォルトの配布ファイルでは,これらのサポートデータは中(itermediate),低(low),ラフスケッチ(crude)の3精度のものしか入っておらず,これらのサイズは約4.6MBとなります.普通のマッピングにはこれで十分です.しかし,ユーザは高(high)や完全(full)といったさらに細かい精度のサポートデータまでインストールすることも可能で,この場合にはそれぞれ12.7MBおよび58.2MBものディスクスペースが必要となります.さらに,PostScript,HTML,manページの各ドキュメントをインストールするとさらに27MB必要です.したがって,GMTのパッケージを隅から隅まで完全にインストールすると,ディスク容量は175MB必要となります.
次にメモリ量ですが,GMTプログラムはどれも動的メモリ割り当てを行なうので,おそらくはPCのようなそれほどメモリを大量に積んでいない環境でも動かすことは可能でしょう.しかし,グリッディングや大規模データの処理等はもっと大量のメモリが必要になるかもしれません.GMTの各プログラムは,十分なメモリが使用可能で,タスクをいくつかの部分に分割する必要がないという前提のもとでコーディングされています.なお,OSのメモリスワップ領域を増やすことで,メモリ不足の問題を回避できる場合もあります.
- GMTの実行に当たっては,また別に必要なものはあるのでしょうか?
- まず,パッケージのコンパイル自体にはCコンパイラが必要です.普通,UNIXには組み込みのコンパイラとしてccが用意されているはずです.そうでなくてもGNUのgood guysが作ったコンパイラコレクションgccを取得することが可能です.さらに,GMTはnetCDF ライブラリを使用します.このライブラリはGMTのインストール前にインストールしておく必要があります.
- GMTには「メニュー」や「ボタン」類がないのでしょうか
- ありません(きっぱり).GMTは,コマンドライン命令の集合体として配布されるのです.これは,故意にそういう仕様にしています.というのは,グラフィカルユーザインタフェース(GUI)は時としてユーザができることに制限を加えてしまうことがあるのです.もちろんその代わりに,GMTシステムはユーザフレンドリーなものに近づくでしょうけど.私たちは,両者を比較して,柔軟性とパフォーマンスのほうが重要であると考えたのです.コマンドラインインタフェースにしてある場合,ユーザはGMTを他のプログラムに用意に結合でき,ユーザ独自のユニークな結果を得ることができるようになるというのが私たちの経験です.GMTとシェルスクリプトを組み合わせれば,極めて強力なプログラミングが可能となり,繰り返し作業の自動化が容易となります.
ただし,GMTはGUIから呼び出すことも容易ではあります.すでに「サードパーティ」からいくつかのGUI版GMTツールが提供されています:
- iGMT(interactive Mapping of Geoscientific Datasets): Tcl/TkでかかれたGUIインタフェースです.
- Win4GMT:Windows 95/98/NT用のGUIです.
- GMTを用いる別のソフトウェアがあるのでしょうか
-
- GISシステム,とりわけARC/INFOやArcViewを動かしているユーザならば,Arc/INFOとGMT間のデータ変換ツールであるarcGMTに興味を持つかもしれません.
- マルチビーム型ソナーの熱心なユーザのためには, スワスソナー(帯状探査ソナー)データの処理や可視化を行なうパッケージMB-Systemが用意されています.
- GMTについてもっと資料を欲しいのですが,どこで読めるでしょうか?
- GMTに関する最良の文献は,作者のWessel と SmithがEOS, the transactions of the American Geophysical Unionの1991年10月8日号に載せた論文です(Wessel, P. and W. H. F. Smith, Free software helps map and display data, EOS Trans. AGU, 72, 441, 1991). また,私たちはバージョン3.1に関するニュースリリースを同じくEOSに発表しています(Wessel, P. and W. H. F. Smith, New, improved version of the Generic Mapping Tools released, EOS Trans. AGU, 79, 579, 1998).さらに,EOSのオンライン増刊号に,GMT3.0を取り扱っている号があります.
GMT各プログラムのmanページはもちろんのこと,131ページのテクニカルリファレンスおよびクックブック(たくさんのGMT使用例が載っています)もGMTパッケージに入っています.
また,GMTで使われているグリッディング手法の一つに関しては,Smith and Wessel, Geophysics, vol. 55, pp. 293-305, 1990があります.
謝辞
訳語不明な点について,GMTユーザーメーリングリストを通じて堀さん(筑波大)・古宇田さん(地質調査所)・沖野さん(東大海洋研)にご教示いただきました.
ここに厚く御礼申し上げます.
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