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MAHASRI (Monsoon Asian Hydro-Atmosphere Scientific Research and Prediction Initiative:モンスーンアジア水文気候研究計画)

松本 淳, 2009年5月11日

1. MAHASRIとは?

WCRP(世界気候研究計画)/GEWEX(全球エネルギー・水循環観測計画)の中でのアジア モンスーンの変動予測のための国際研究プロジェクトとして1996年度~2004年度にかけて 実施されたGAME (GEWEX Asian Monsoon Experiment:アジアモンスーンエネルギー・ 水循環研究観測計画) は、シベリアから熱帯に至る広大なアジア大陸上での様々な大気・陸面 相互作用を解明し、国内外から高い評価を受けて2005年3月に終了した。その後継プロジェクト として2005年度から国際的に推進されているのがMAHASRI (Monsoon Asian Hydro- Atmosphere Scientific Research and Prediction Initiative:モンスーンアジア 水文気候研究計画)プロジェクトである。MAHASRIの科学プランは2006年1月のGEWEX-SSG (科学先導委員会)会議に提出され、アジアモンスーンに関する国際研究プログラムとして暫定的 承認を受けた。その後CLIVAR (気候変動及び予測可能性研究計画)からのレビューも受けて さらに改訂され、2007年の1月のGEWEX-SSG会議での承認を経て、 3月のWCRP-JSC(合同科学委員会)でWCRPの研究プロジェクトとして正式に承認された。 また、国内では2006年7月に日本学術会議、環境学委員会・地球惑星科学委員会、IGBP・WCRP合同分科会に MAHASRI (モンスーンアジア水文気候研究計画)小委員会が設置された。 MAHASRIは2008年-2009年の集中観測を含め、2015年まで実施される予定である。 なお、ホームページはhttp://mahasri.cr.chiba-u.ac.jp/ に作られている。

2. MAHASRIの目的・科学課題

MAHASRIの目的は「アジアモンスーンの変動機構理解による季節以下の時間スケールにおける水文気象予測システムの構築」とされている。対象とする地域は熱帯・チベット/ヒマラヤ・東アジア・北東アジアの4領域(図1)で、夏だけでなく冬のモンスーンも対象としている。以下の主要科学課題があげられている。

fig1
図1 MAHASRIで対象とする4地域の概要

MAHASRIは国際的な研究プロジェクトであり、以下の協調戦略が考えられている。

総合的なデータベース構築のためのデータ交換期待しうる成果としては、以下があげられている。

3. 参加国

MAHASRIへの主要参加国は、現在のところ以下の各国である。

日本・大韓民国・中華人民共和国・モンゴル・ベトナム・タイ・マレーシア・インドネシア・ バングラデシュ・ネパール・インド・アメリカ合衆国

以上の参加国からは国際実行委員が出されている。また、この他アジアモンスーン域に 含まれるフィリピン・ラオス・カンボジア・ミャンマー・ブルネイ・シンガポール・ブータン・ スリランカ・パキスタンなどの各国とも密接な協力を予定している。

4.国内参加組織

MAHASRIへの主要国内参加組織は、現在のところ以下である。

海洋研究開発機構・気象庁・防災科学技術研究所・農業環境技術研究所・土木研究所・ 宇宙航空研究開発機構・北海道大学・東北大学・福島大学・筑波大学・東京大学・首都大学東京・ 千葉大学・富山大学・名古屋大学・京都大学・熊本大学

これらの参加組織からMAHASRI実行委員会委員およびアドバイサリー委員が出されている。 なお、MAHASRI実行委員会委員およびアドバイザリー委員長は日本学術会議環境学委員会・ 地球惑星科学委員会合同IGBP・WCRP合同分科会のMAHASRI小委員会委員を兼ねている。

5.国際アジアモンスーン観測年の実施

2007年3月のWCRP-JSC(合同科学委員会)では、アメリカやアフリカも含む国際モンスーン観測年 (IMY:2008年-2012年を予定)の一環として、アジアモンスーン観測年 (AMY:2007年-2012年を予定)の集中観測を2008年度に実施することを提案した。 その後AMYワークショップでの議論を経て、2004年3月から2009年度にかけて実施することが決まった。 AMYは、MAHASRIの集中観測年と連携する形で中国・インド・アメリカ合衆国などの国内・国際研究 プロジェクトによる集中観測を組織的に実行(図2)して、これまでにない良質の大気観測 データを入手し、アジアモンスーンの理解の深化とモデルによる予測改善の資料にするこ とが計画されている。

fig2
図2 AMY で実行が予定されている国際的共同集中観測

MAHASRIではAMYの観測計画立案の中核を担うとともに、 地球観測システム構築推進プラン(JEPP)で構築されつつあるインドネシア海洋大陸・インド洋・ インドシナ半島やチベット高原での観測システム、および「みらい」を含む海洋研究開発機構 での観測によって、インドと中国の狭間に位置する東南アジア域を中心とした貢献が国際 的にも期待されている。またAMYおよびMAHASRIで日本が中心となって取得するデータに ついては、文部科学省が推進中のデータ統合解析システムを中心に統合的にアーカイブされ、 国内外の諸機関からの利用に供する予定である。

6.東南アジア諸国での共同研究の実施

主にGAME時代に構築された現地研究機関・気象水文機関と共同し、東南アジア諸国と は、下記の共同研究を推進している。

1) 地球観測システムによる共同観測研究の実施

平成17年度から文部科学省が実施中の地球観測システム構築推進プランの各課題によって構築される観測網とそれにより得られる観測データの活用を含む現地研究機関・気象水文機関との共同研究を実施中である(図3)。

fig3
図3 JEPP研究によるMAHASRI協力体制

fig4
図4 松本JEPPで構築された東南アジアにおける自記雨量計観測網

2) 地球規模課題対応国際科学技術事業による共同研究の実施

3) 日本学術振興会科学研究費補助金による共同研究の実施

4) EAMEX(東アジア気象観測実験)による共同観測研究の実施

台湾中央大学との共同研究により、冬季モンスーンに伴う豪雨発生機構の解明をめざし、 ベトナム・フィリピン・マレーシア・インドネシアにおいて、2008年度・2009年度の AMY強化観測の一部として、強化気象・海洋観測を実施(図5)

fig5
図5 EAMEX における冬季モンスーン強化観測網(2008・2009 年冬季実施予定)


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