第1回復刻版タレス同人の報告



先週の金曜日(4/9)、第1回会合を東大生研にて開催致しました。学会 等との連携のない開催にもかかわらず、31名ものご参加をいただきました。講演者の立川先生、横尾さんはもちろん、ご協力・ご参加してくださった皆様方に は、篤く御礼申し上げます。

第2回の開催は、6月11日(金)を予定しております。(場所未定)まだテーマ・講演者は決まっておりません。自薦他薦を問いませんので、ご意見などあり ましたら芳村までお寄せください。

===記===
第1回復刻版タレス同人の報告
日時:4月9日(金)16:00−18:00
場所:東京大学駒場リサーチキャンパス プレハブ第5会議室
主題:流出モデル
講演者/タイトル/要旨(芳村記):
『洪水流出予測 モデルの発展と今後の展開』
河川流出における基準流域面積(流域内部での水文量の空間分布が具体的な位置の情報を伴っていなくてもよい流域サイズ、言い換えれば、ある 流域要素をその流域内部で入れ替えても流域下端での計算流量に影響を及ぼさない流域面積)に関して、分布型 Kinematic Waveモデルを用いて検討した。その結果、200km2 程度のスケールでは、内部でのパラメータ分布や降水分布が流域下端での計算流量に及ぼす影響は小さく、この程度の大きさは基準面積と考えてもよさそうであ ることを示した。また、このスケールでは、モデルパラメータの空間分布<降水分布<地形<流出プロセスのモデリングの順で影響が大きそうであることが分 かった。現在は、淀川流域スケール(7000km2)のサブ流域について検討中であるが、スケールによって影響を与える因子は影響度は異なることもあると 考えている。この他、モデルと現実(観測)のパラメータ値の乖離問題、不確かさの評価、人間活動(水工施設)の影響を考慮した河川計画策定、等々について 話題提供した。
『流出過程を反 映した流域スケール水収支式の紹介とその利用例−流域条件と流出過程が流況曲線に与える影響』
流況曲線の形状から流域の特徴および流域内で生起しているプロセスを読み解けるのかという命題について、仮想流域を対象とした数値実験に よって検討した。数値実験では、従来の水収支式に物理過程を導入した流域スケールの新たなモデル(Reggiani et al., 2000)を採用し、これに降水量と可能蒸発散量の模擬データを入力した。その結果、降水量と可能蒸発散量の最大値と最小値が季節的に同期している湿潤気 候下で、平均地表面勾配が大きく、透水係数が小さく空隙率の大きい土壌(シルト等)が多く分布する流域では、流出量が平均化されて流況曲線(片対数表示) の形状が平坦になる結果を得た。また、流路近傍の飽和地表面からの蒸発散量が流況曲線の末端部の形成に大きく影響している可能性があることを確認した。今 後は、観測データを用いてモデル構造の再検討を行い、水文データ不足流域における水文諸量の推定およびその物理的説明可能なモデルへの発展を焦点とする。
参加者(敬称略):
立川康人(京都大学防災研)・横尾善之(東京大学生産研)・小林公一(アジア航測)・ 山口悟史(日立製作所)・芳賀弘和・馬籠純(山梨大学工学部)・西村照幸(地球フロンティア)・猪俣広典・手計太一(土木研究所)・山本奈美(東京大学大 学院・新領域)・浅野友子(東京大学大学院・農)・若原妙子(東京農工大学)・白木克繁・吉武伸章・庄家尭・住吉綾(東京農工大学大学院・農)・松浦知 徳・中根和郎・黄文峰(防災科学技術研究所)・小松陽介(立正大学)・山本晋一(鳥取大学)・鼎信次郎(地球研)・沖大幹・宮崎真・Sirajul Islam・小松光・沈彦俊・小久保武・山田朋人・花崎直太・芳村圭(東京大学生産研) 計31名

(Sent: Thursday, April 15, 2004 8:39 PM)

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Written by Kei Yoshimura
(Last update: 2004/04/13)